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1 フォロー講義
今回の講義で、パワーポイント041を使って、判例を読み解くための判例「フレーム
ワーク」をご紹介していきました。
今までの憲法では、①保護範囲と②制約とをあまり区別せずに議論してきましたが、
最近の三段階審査では、①と②を区別して判例を読み直しています。
この①②が、行政書士試験でも頻出している訳ですが・・・
最近の憲法の本試験問題で、受験生の皆さんが、あまり得点が取れないのは、
こういう「視点」をきちんと学習していない方が多いことも、ひとつの原因ではない
かと思います。
判例は、ただサビの部分と結論(合憲・違憲)を「記憶」するような勉強だと、すぐに
忘れてしまうのが関の山です。
しかし、判例「フレームワーク」に沿って、ロジカルに「理解」する勉強をしていけば、
忘れにくく、同じロジックであれば、他の判例にも、応用することが可能になります。
フレームワーク思考☆
憲法は、問題数が少なく配点も低い(28点)ので、あまり時間をかけることができな
い科目ではないかと思います。
そこで、受講生の皆さんは、
憲法の勉強時間を短縮していくためにも、是非とも、判例「フレームワーク」に沿っ
て、判例を、ロジカルに「理解」する勉強を心がけてみてください!
フレームワーク思考☆
このように、フレームワーク思考でロジカルに「理解」していく勉強法が、まさに、時
間のない社会人のための大人の勉強法です。
ただ知識を「記憶」していく勉強法だと、無数の葉っぱの知識を記憶しなければなり
ませんが、フレームワーク思考だと、記憶する量が激減していくはずです。
なお、実践講義マスター憲法で使用している「憲法学読本」を、よりよく「理解」した
い方で時間のある方は、「憲法学読本」の筆者の一人の宍戸教授が書かれている
本を参照してみるのもいいのかもしれません。
まあ、憲法に勉強時間を割ける方はあまりいないかと思いますが・・・
憲法は、問題を沢山解いてもできるようにはならないので、それよりも、問題作成
者の「視点」をインプットしておくことが大切です。
2 復習のポイント
① 「憲法上の権利」の限界(2)
まずは、パワーポイント038で、有力説が唱えてきた二重の基準について理解す
るとともに、憲法学読本p77以下で、二重の基準に関する批判について、ざっくり
と理解しておいてください。
判例は、有力説が唱えてきた二重の基準(審査基準論)は採っていませんので、
ざっくり見ておけば十分です。
次に、パワーポイント041で、審査基準論に変わる「三段階図式(審査)」について、
そのフレームワークを理解しておいてください。
日本の最高裁判所は、
有力説の唱えてきた二重の基準論は採用しなかったため、それに変わるフレーム
ワークとして、試験委員の石川教授を中心にして、三段階審査の本格的導入が試
みられています。
日本の最高裁判例は、
パワーポイント041の判例「フレームワーク」で説明した方が説明しやすいものが
多いため、今後は、この「フレームワーク」が、判例を理解するためのツールとし
て普及していくのではないかと思います。
現に、法科大学院・司法試験の受験生の間では、だいぶ浸透しているようですが・・・
実は、試験委員の石川教授が、この三段階審査導入の急先鋒ですので、行政書
士試験でも、この判例「フレームワーク」と関連する問題が頻出しています。
行政書士試験の受験生には、
ほとんど馴染みのない「フレームワーク」かもしれませんが、判例を理解し、問題を
解くためのツールとして、かなり使えると思います。
特に、次回お話していく、思想・良心の自由、信教の自由については、第二段階の
「制約」の「視点」が問題となり、最新判例も出ていることから要注意です。
この「制約」の「視点」から分析すると、どうして、平成20年度の多肢選択式におい
て、オウム真理教解散命令事件の判例が出題されたのかもよくわかると思います。
② 包括的基本権
まずは、憲法学読本p83で、憲法13条後段が「新しい人権」を生み出していく母胎
的な役割をしている意味を、「公共の福祉」に関する学説とともに理解してみてく
ださい。
「公共の福祉」に関連する問題は頻出していますので、カード043の「公共の福祉」
に関する3つの考え方を、問題13とともに整理しておいてください。
次に、パワーポイント045で、プライバシー権の二つの側面について理解した上で、
自己情報コントロール権と行政機関個人情報保護法をリンクさせておいてください。
行政機関個人情報保護については、一般知識で詳しく見ていきますが、憲法13条
のプライバシー権と関連する法律であることを理解しておいてください。
なお、平成23年度のプライバシー権に関する問題(問題17)の出題の「視点」は、
憲法学読本p89(3)の保護範囲の箇所に書かれています。
このように、憲法学読本には、 本試験問題の出題の「視点」が至るところに書かれ
ており、出題のネタ本と云えます。
受講生の皆さんは、講義中に指摘したものは、是非、出題予想のマークを入れて
おいてください。
憲法学読本p89の「趣旨」「精神」の部分も、平成16年度・18年度・25年度に出題さ
れた問題の「視点」です(この点は、前回のブログに書いてあります)。
憲法は、見た目は全く違う問題ですが・・・
聞いている「視点」は同じという問題が、結構出題されていますので、過去問で出
題された「視点」は「アタマ」の中に入れておいてください。
問題作成者(試験委員)との「対話」☆
なお、プライバシー権については、平成23年度に直球で出題されていますので、
今年は、お休みかと思います。
最後に、パワーポイント046で、自己決定権について、問題14のパターナリステック
な制約とともに、他者加害と自己加害の「視点」からよく理解しておいてください。
パターナリステックな制約、他社加害・自己加害という「視点」も、憲法学読本p94
に書かれています。
③ 法の下の平等
まずは、憲法学読本p97以下で、平等に関する各概念の意味と判例の見解を、問
題20とともに、よく理解しておいてください。
次に、憲法学読本p102の順に、カード045以下で、14条関連の判例を、もう一度、
事案→争点→結論→判旨の順に読み込んでみてください。
14条について、判例は、立法目的と立法目的達成手段とに分けて、判旨を組立て
いますので、皆さんも、このラインに沿って判例を理解してみてください。
法の下の平等については、プログレカード048の最新判例が、要注意判例ですの
で、もう一度、判例のロジックを、平成7年の判例と比較しながら整理しておいてく
ださい。
法律を勉強する際に気をつけなければならないことは、事実は同じでも、価値判断
は、人や時代とともに変わるということです。
昔は合憲だった法律が、時代とともに違憲になる。
価値感が多様化している現代においては、自分の中の「正しい」・「間違い」という
「視点」だけでモノゴトを決めつけるのは危険です。
自分以外の多様な価値判断が存在することを理解した上で、そういう多様化な価
値感を尊重していく、それが個人の尊重であり、憲法の最も大切な理念(憲法13条)
です。
多様な価値観の尊重
憲法を学ぶ本当の意味は、このあたりにあるのではないでしょうか。
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