日産GT-R試乗(Model Year 2025)
最後のGT-Rに試乗してきました。
一昨年試乗したMY2023のT-specとの一部比較も含めて久々の(ほんと久々の!)試乗記を書くことにしました。
GT-R、しかも最新の年式にどこで乗れるの?というあなた、
こればかりは関東在住のメリットなのです。
つまり「日産グローバルギャラリー」@横浜みなとみらい
日産のグローバル本社付属のギャラリーでは、無料で車のプロ同乗の試乗ができちゃうんですよ。
試乗車
販売しているものではないので、同乗してくれた方のコメントをそのまま信用してグレードと装備を検索し記載しました。後から思うと色々信用できないところもあり、うーん…
GT-R Premium edition:1558万7000円
オプション:
・ブルーヘブンインテリア(前席・後席セミアニリン本革シート)
・ナッパレザーインストパネル、ファッショナブルインテリア(前席・後席セミアニリン本革シート)
・ナッパレザーインストパネル
走行系のオプションは無いとのこと。タイヤもランフラットのまま。
とは言え、見た目からマフラーがオプションのFUJITSUBO製チタン合金製マフラーのような気もしますが、、、まあ良いとしましょう。
仕様
◾️寸法・重量
全長 4710mm
全幅 1895mm
全高 1370mm
ホイールベース 2780mm
トレッド 1590/1600mm
最低地上高 110mm
車両重量 1770kg
◾️エンジン
エンジン型式 VR38DETT
最高出力 570ps(419kW)/6800rpm
最大トルク 65.0kg・m(637N・m)/3300-5800rpm
DOHC・V型6気筒ターボ
総排気量 3799cc
内径×行程 95.5mm×88.4mm
圧縮比 9.0
燃料タンク容量 74リットル
使用燃料 無鉛プレミアムガソリン
◾️足回り系
ステアリング形式 電子制御パワーアシスト付ラック&ピニオン式
サスペンション形式(前) 独立懸架ダブルウィッシュボーン式
サスペンション形式(後) 独立懸架マルチリンク式
ブレーキ形式(前後) ベンチレーテッドディスク式
タイヤサイズ(前) 255/40ZRF20
タイヤサイズ(後) 285/35ZRF20
◾️駆動系
駆動方式 4輪駆動
トランスミッション
GR6型デュアルクラッチトランスミッション
(ファイナルドライブ一体型トランスアクスル方式)
◾️燃費その他
WLTCモード 7.8km/L
市街地モード 5.2km/L
郊外モード 8.4km/L
高速道路モード 9.3km/L
トランク容量 315L
最小回転半径 5.7m
◾️ボディーカラー
アルティメイトメタルシルバー
これはGT-Rが2007年に登場した時から(さらに言うと試作車の時から)のイメージカラー。
定番でよく見かける色ですが、やはり似合いますよね。
以下、それぞれの項目に沿っていつもの通り全くの私見でお送りします。
外観
無いものねだりになっちゃうんですが、個人的にはコンセプト/プロトタイプのデザインが好きなんですよ。
今見ると不格好なんですけどね。そこがイイ。
そもそもGT-Rって一般的な「美しさ」とは違う方向性でデザインされてますよね。
そういう意味でも、最もその思想が純粋なコンセプト/プロトタイプに惹かれてしまうのは仕方ないと言うか。もう少しヘッドライト周りのデザインが引き継げなかったかなあと思ってしまいます。今のLED前提のデザインであれば、もっと細長くなっていたのかな?
構成に面や線が多いのは好みかどうかと言えば好みではないのですが、これはもうGT-Rの個性と割り切る必要があるのかな、と。箱スカの時代から32R〜34Rでも全て線多めですからね。
内装
内装ではこのライトブルーの使い方が気に入りました。シートのみならずドア内張、ステアリング、ダッシュボードまで色味もよく揃えられていて、外観のゴツさとのギャップも良い感じです。しいて言えば、シートのサイドサポートはもう少し広い範囲でライトブルーを使った方が、車内のコーディネート感がもっと増したように思います。
機能面で一番気になったのは運転席正面のメーター。
340km/hまで振られているのは良いんですよ。そもそも300km/hをアマチュアドライバーが無理なく出せるのをコンセプトの一つに挙げていたくらいなんですから。
でも、ちょっと問題が。
日本のみならず常用域とされる20-100km/hの範囲が、ちょうどステアリングのホーンの影になるんです。私は比較的着座位置を高めにしているにもかかわらず、です。これはいただけないですよ。ステアリングの隙間から手前の機器類、ステアリングの上は外部の視界と言う視野設計をしているのならまだしもです。
また、走行モードの切替スイッチがセンターコンソールの奥まったところの、とても操作しにくい場所にありました。自分では走行中に間違えそうなので、今回は助手席の説明員兼ナビゲーターに操作してもらったくらいです。確かに実際に所有したらしょっちゅう切り替えるものではないと思いますが、それでも走行シーンで(つまり走行中に)操作する機能だと思います。それがこの扱いでは、どうかなと。
シートその他
シートは良くも悪くも普通です。写真からでも伝わるかと思いますが、サイドが高くて座りにくいとかは全然なし。
良く言えば違和感が無い。悪く言えば特別感が無い。まあ特別感は上にニスモがあるのでそちらをどうぞ、ということなんでしょう。
ただ、少なくとも今回の試乗30分で腰が痛くなるとかズレが気になるとかは一切無かったことはコメントしておきます。
それから狭くてほぼ上から出し入れする形ですがしっかりしたトランクも付いてきます。
近頃の同じくらいパワーのあるハイパフォーマンス乗用車はバンパーレベルからトランクが開くのですが、これは違います。
記憶をさかのぼると190Eがこの形で、出し入れする時にいったん肩くらいまで荷物を持ち上げる必要があり、鍛えられたのを懐かしく思い出しました。
走行
コースは市街地のみです。どうやら高速道に連れて行くと、気が大きくなって踏みすぎる人が多いからなんだそうです。(ほんとかな?)
ともあれ法定速度に準じて運転せざるを得ないので、ほぼ時速60km以下で走ることになります。
この車の本領発揮するシチュエーションではないものの、実際に所有したら大部分はこのような市街地を走ることになるでしょうから、その観点では意味があるのかな?
気を遣うのはまず歩道の段差。スポーツモデルでは定番の注意ポイントですが、GT-Rは視界が乗用車寄り(適当に見晴らし良好)なので油断しがちです。
試乗開始直後、日産の敷地から出るところが特に要注意らしく、助手席からゆっくりゆっくりでお願いしますと何度も声を掛けられました。
室内への音の侵入は少なめです。これをプラスと捉えるかは微妙なところですが、最近の騒音規制(車外に放出する)を守ると、剛性を上げるべく密閉度の高い構造になっている今どきのクローズドな車では自動的に車内に漏れてくる音も少なくなり、苦肉の策としてスピーカーで補助しているとのこと。そうか、あれはサウンドチューニングをごまかしているのではなくて、規制による弊害だったのねとなんか納得。ちなみにGT-Rはスピーカー使っていないそうです。
実は印象がもう薄れてきているので単独での試乗記は書けないのですが、一昨年MY2023のTスペックに一度試乗しているんですよ。同じコースで。
その時の印象のほうが遥かに良いんですよね。初GT-R試乗でバイアスがかかっていた可能性はありますが、少なくともエンジンの感触だけは、Tスペックのほうが良かったと断言できます。それは単なるプラシーボ効果ではなく、やはり1台1台手組みで精度を高めていたからだと想像しています。いやあ、V6でもこんなに滑らかに回るんですねと試乗している間に何度も言ってましたから。
それが今回のMY2025ノーマルGT-Rでは全く感じられなかったんですよ。
同乗された方はTスペックはブレーキがセラミックなだけでその他は変わらないと言っていましたが、後から調べてみると真っ赤なウソではないですか。仮にもプロとして試乗サポートする立場なんですから、このくらいの基本事項は抑えておいてください!とこの場で強く要望してしまいます。しかもですよ、私がその答えに強い疑念を示したにもかかわらず、です。さらに言えば足回りのチューニングも違っているはずですよね。そちらは正直なところ走行モードの切り替えで紛れてしまうところもありましたが、並べて比較したらきっとわかったと思うんですよ。
正直なところ、同乗される方は広報や販売のプロと言う訳ではない(レーサーやテストドライバーが多い)ので、一部仕方ない面はあるけれど、こういうところでガッカリさせて欲しくはないです。
いずれにせよ、エンジンに粒立ちの揃った滑らかさが欲しいのであれば、T-specだと思うんですね。
逆にちょっと粗さがある方が実感があってイイと言う方にはT-specだと物足りなさがあるかもしれません。このあたりは日本酒に喩えると澄み切った中に絶妙な味わいが隠れている「大吟醸酒」か、荒々しい飲みごたえを求めて「普通酒」かみたいな?自分は圧倒的に大吟醸酒側なのですが。わかるようなわからないような喩えですみませんが。
あと街中を走っていて思ったのは、ステアリングのギア比がちょうどいいなということ。最小回転半径5.7mって今の基準からはすごく小回りが利かないイメージなんですが、交差点から左折する時などは自然に回っていくんです。これって普通の乗用車なら普通過ぎて書くことでもないんですけど、一部のスポーツカー系ではうまく曲がりにくかったりすることがあるんですね。左側面の死角や巻き込みが怖かったり。
そういうところも含めて、GT-Rって価格に似合わない庶民的な面を持っているなあと。諸々の同格スポーツカーって、セカンドカーが前提だったりするじゃないですか。(乗用車やSUVベースの速いのは除く)
そういうのに比べるととっても「乗用車」。1台持ちでもなんとかなる日常性があります。
まとめ
視界が乗用車寄りと書きましたが、パフォーマンスや位置付けは明らかにスポーツカーしてるところが、やはりGT-Rの個性なんだろうなと。前の世代(R34以前)は常に乗用車ベースの域を出なかったので、AMGやMのカテゴリー。それなら日常性が不可欠なのもわかりますが、GT-Rとして独立したR35でどうしてそこまで日常性との両立にこだわったのか、水野さんに伺いたいものです。(どこかに書いているかな?)
ともあれこれでR35世代は終了、次のGT-Rが果たして生まれるのかどうかさえ不透明な状況ですが、他のメーカーではGT-Rが作れない以上、日産に期待するしかありませんね。
最後になりましたが、GT-Rにはプレステのグランツーリスモシリーズにハマっていた頃、攻略に大変お世話になりましたこと、付け加えておきます。
【追記】