ノックノックス「人魚姫」あとがき1 | ノックノックス

ノックノックス

花と緑と音楽を愛する演劇ユニット ノックノックスです

 

こんにちは。ノックノックスのヤストミです。

キャストのみんなが用意してくれたサプライズプレゼントをようやく額に飾ることができました。

自分で作っておいてなんですが、大きなポスターなのでどこに飾るか迷いましたが、

自室の良く見える場所に飾りました。大切な宝物です。

 

今日からしばらくは後日談と言いますか、エピローグと言いますか、

上演前にいろいろ言いすぎてしまうと個人的に美しくないと思っていたお話をしていきます。

 

まず、そもそもなぜ今回海のものがたりを創作しようと思ったのか、

というところからはじめていきたいと思います。

 

前々回の公演「幸せの標本」から、ノックノックスは環境をテーマに作品づくりを進めてきました。

「幸せの標本」では環境指標生物であるミツバチを取り上げ、東京だけでなく大阪、名古屋、

そして沖縄で上演され、多くの方に楽しんでいただきました。

ちなみに今回アレキサンダー・ガブリエル役の藤谷みきさんは「幸せの標本」ではゴリライモという名前の犬の役でした。

つまりノックノックスでは二本連続で動物の役なのです。

(言い換えればノックノックスでは動物の役しか演じていただいてないです。)

 

「幸せの標本」の沖縄ツアーをする頃、私はよく沖縄に通っていました。

と言いますのも、私は沖縄のママさん劇団の主宰も務めておりまして、

(劇団ヒナタグチと言いまして、今回のマリーナの衣装を手掛けてくれたのは劇団員の一人です。稽古日記の十五日目に登場しております。)

稽古などでかなりの頻度で足を運んでいたのです。

そういった生活の中ではやはり海に触れる機会が多く、

ただぼーっと眺めてみたり、きれいな貝殻を探してみたり、砂浜に寝転んで昼寝をしたり、

普段の生活の中に自然とそんな時間の過ごし方が組み込まれるようになりました。

同時に、マイクロプラスチックの問題をはじめ海の汚染のニュースにも敏感に反応するようになりました。

打ち上げられたクジラの胃の内容物がビニール袋ばっかりだった・・・というニュースも、

確かこのころ報道されていたような気がします。記憶が定かではないですが。

(ちなみに、沖縄の美ら海水族館ではイルカの胃の内容物が展示されており、胃袋いっぱいに詰まったビニールなどのゴミを見ることができます。)

もともと環境三部作(・・・と勝手に自分の中だけで題しています。)として、

ミツバチ、海、植物、の三作品は創作する予定でいましたが、

今こそ創作しなければ!と思い立ったのはこのころだったと思います。

 

ただ、ノックノックスとして創作するにあたって抑えなければならないポイントがいくつかあり、

子どもが観ても楽しめること、でも子ども向けになりすぎないこと、

音楽が生演奏なこと、歌があること、植物が舞台にいること・・・などなど、

数え上げればきりがないのですが、とにかく大事なのが説教くさくならないこと。

海はきれいな方がいいですし、汚さない方がいいに決まってます。

ですがだからと言ってそれを全面に押し出してしまうと、

たとえ芝居とはいえ授業であったり勉強会みたいになってしまいそうで、

私はそれだけは避けたいと思っています。

特に子どもさんには楽しみながら大切なことを学んでいただきたいですしね。

大変でも植物を運んだり、砂を敷き詰めたり、歌のシーンが多かったのもこのためです。

そんなわけで、海を大切にしようという大きなテーマがあるにも拘らず、

それだけをアピールする宣伝の仕方はしませんでした。

とにかくカントワールの村人をまずは気に入っていただいて、

お客様ひとりひとりが客席にいながらも村の住人になって、

マリーナを一緒に愛して、そしてものがたりを最後まで見届ける。

このプロセスをとにかく大事に大事につくりました。

結果多くの方にカントワールの村人たち、そしてマリーナを愛していただき、

私はとても良かったと思っています。

小学生のお客様が家に帰ってから海のことを考える作文を書いた、という嬉しいお話も聞きました。

こういう小さな積み重ねが、私たちの生きているこの環境を少しづつでも良い方向へと導いてくれると信じています。

 

さて、次回はものがたりの登場人物について少し触れていこうと思います。

もう少しだけお付き合いいただければと思います。