茫(ボウ) | 心から

心から

その日その時に感じたままを、筆に託して表現してみます。
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梅雨明けもまだだというのに、一気に真夏がやって来たみたい。

 

本日も30度を超えている。

 

この湿気と暑さでは、さすがに食欲も今一つ。

 

そんな折に嬉しい差し入れは、揚げ餅。

 

 

 

低音でジワーッと芯まで揚げてある。

 

軽い塩味と微かな紫蘇の風味。

 

土用はまだ少し先だが、この時期餅を食べる習慣は昔ながらで、母が喜んだ。

 

お嫁ちゃんのお母さんの、素朴さが嬉しいお心遣い。

 

季節を丁寧に過ごしていらっしゃる。

 

 

空き家になっていた近くの古家を壊して約一カ月。

 

あっという間に草ぼうぼう。

 

 

 

「茫」。

 

「艸」+「芒=亡:無い・何も見えない」の会意兼形声文字。

 

心が虚ろでぼんやりしているさま・果てしもなく虚ろに広がったさま・慌ただしく気を取られるさま。

 

 

猫じゃらしが揺れている。

 

 

 

壊れかけた家が無くなり、整地され、視界が広くなったと思っていたが、

 

ここに来て、繁る速さに息を飲む。

 

乾いてむき出しになっていた土地が

 

雨を得て緑が美しいと眺めていたのも束の間だった。

 

エノコログサの穂についた滴が光る時は美しい。

 

風にそよいでたてる音はカサカサと、

 

それも昔の記憶と重なるものがあり、どこか懐かしい音。

 

が、家々の間に出現した狭い路地の緑の一角は、どこか不自然で異質。

 

住人の平均年齢のかなり高い街ならではの気がかりがどこかに潜んでいる。