2024春アニメ 7月3日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年春アニメのうち、7月2日深夜に録画して7月3日に視聴した作品は以下の1タイトルでした。

 

 

忘却バッテリー

最終話、第12話を観ました。

今回は氷河高校との練習試合の9回表の小手指高校の攻撃、ツーアウトの場面から始まります。2対1で氷河が1点リードした状況での9回表の小手指の攻撃で、ツーアウト1塁から千早が相手投手の巻田から四球を選びツーアウト一二塁となり、要に打席が回ってきます。要が打ち取られたらゲームセットで小手指の負けという状況ですから、要は焦ります。智将の要なら打つ場面なんでしょうけど、要はアホに戻ってるので打てる自信が全く無い。

しかし、清峰に「普段、誰の球を捕ってんだ?」と言われて、要は巻田の速球よりも清峰の速球の方が速いことに気付く。それを普段から捕ってる自分なんだから何とかなると思って落ち着いて球をよく見てバットを振ると、ちゃんと当たってライト線のファールグラウンドに打球は飛んでいった。ちゃんと当たったのは、記憶を失った後も要なりに練習をちゃんとやってきた成果です。その練習の結果、要のバッティングフォームは昔と同じ綺麗なフォームを取り戻していた。その練習通りのスイングさえ出来れば、たとえ記憶が無くても要は打てる。そうして次の球、要の打った打球は右中間に落ちて、二塁ランナーの鈴木に続いて一塁から千早が俊足を飛ばしてホームインして小手指は3対2と逆転します。

それで気落ちした巻田から続く清峰がツーランホームランを打ち、9回表の攻撃で小手指は氷河を5対2と3点リードし、9回裏には清峰が氷河打線を抑えて小手指がそのまま勝利した。これが小手指野球部にとっての初めての勝利だった。勝利打点をあげた要は「今日のヒーロー」だと皆に称えられ、最後のタイムリーヒットの感触を思い出し「野球の試合で勝つとこんなに気持ちいいものなのか」と感動します。

試合後、巻田は自分が9回乱れて負けたと認めて、小手指ナインに「次は負けない」と言い放つが、桐島が出てきて「夏は俺が投げる」と言い、再戦を望みます。そして巻田は別れ際に千早に「もう辞めんなよ」と声をかけ、千早も「はい、もう辞めません」と応えて、ようやく2人とも互いに少しは素直に向き合えるようになったようで、良いシーンでした。

そして小手指ナインはデニーズで初勝利の祝勝会をささやかに行い、要は「試合に勝つとこんなに嬉しいんだ」と知った。そして帰宅した後も、夜になっても初めてヒットを打った感触を思い出して歓喜していた。要は記憶喪失になってからずっと野球が嫌いだったが、この日、初めて野球を楽しいと思ったのでした。そうして楽しい気持のまま要はぐっすり眠った。

しかし、ここから要の過去が描かれる。記憶を失う前、智将だった頃の要は、実は野球を苦しいと感じていて、野球を忘れたいと思っていた。何故なら、自分と清峰のバッテリーが対戦して打ち破ってきた数多くの選手たちの夢を打ち砕かれて絶望して野球を辞めていった、そういう顔がずっと脳裏に浮かんでいて、夜も眠れなかったのだ。その中には山田や藤堂や千早の顔もあった。彼らの恨みの対象となり続けることが辛くて、要は野球のことを忘れてしまいたいと思っていた。要が記憶喪失になった理由は、きっとそういう想いがシニア時代の要の中にずっと在ったからなのだろう。

シニアの頃、そうして夜も眠れない日々の中で要が深夜に部屋のテレビを点けると、そこには中学生女子2人が出てきて他愛ない話をしていた。高校生になったら恋をしたいとか、友達もいっぱい作るとか、コンビニ行ってお菓子を買うとか言って、2人でポテトチップスを食べていた。吉祥寺に行ってラーメンを食べたいとか、自分たちのことを「ラブ&ピース」だとか言っていた。シニア時代の要はそんな「誰からも恨まれることも嫌われることもなく、勝ちも負けも存在しない世界」「野球の存在しない世界」に酷く心惹かれた。そうして要はその後、記憶喪失になり、野球のことを忘れて、野球に拒否反応を示すようになり、高校生になったら友達をたくさん作って可愛い女の子と恋をして「ラブ&ピース」で生きるとか言い出すようになり、ポテトチップスをよく食べ、よく吉祥寺にラーメンを食べに行こうと言い出すようになったのでした。

こんなふうにシニア時代の要は野球をすることに苦しんでいて、その逃避として記憶喪失となり、記憶喪失になる前に秘かに憧れていた「野球を忘れた自分」の理想の姿を投影したものが現在の記憶喪失後のアホ要だったのです。氷河との練習試合前に要の記憶が戻ったのはインチキ催眠術が効いたからだったのでしょうけど、その後再び記憶喪失状態に戻ってしまった理由は、おそらく智将モードの要は無意識にやはり野球を拒絶しており、再び記憶喪失になって野球から逃避したかったからなのでしょう。それで急にまたアホ要に戻ってしまったのです。

そうして現在、結局は野球部に入ってしまった要ですが、昼休みに藤堂たちはどうして記憶を失っただけで智将だった要がこんなにアホになったのかと不思議がる。すると清峰が要はもともとアホな子供だったと教えて、それで藤堂たちはもともとシニア時代の要が無理をして自分を律していたのではないかと言い、山田はそれで要は高校入学当初はあんなに極度に野球を拒否していたのかもしれないと言う。そういう話を聞いて、清峰はシニア時代に自分とバッテリーを組んでいた頃の要が本当は自分と野球することを苦痛に感じていたのではないだろうかと考え、それなのに自分が要を再び野球の道に引き戻したことは本当に正しかったのだろうかと罪悪感を覚える。

それで部活が終わって下校する途中で清峰は要と公園でキャッチボールをして、「シニアの時、俺と野球やるの嫌だったのか?」と問いかける。だが要はその頃のことを覚えていないと答える。だが同時に「でも今は野球楽しいぜ」と言う。そして、きっと昔も楽しかったに違いないとも言う。この前氷河との練習試合で1回勝っただけで最高の気分だった。ならば、シニア時代は最強バッテリーで勝ちまくっていたのなら、メチャクチャ楽しかったに決まってると要は言います。実際はそうして勝ちまくっていたからこそ、自分たちが葬り去ってきた敗者たちの顔が忘れられずシニア時代の要は苦しんでいたのですが、まだ1勝しか経験していない今の要にはそんなことは理解できない。1勝でこんなに楽しいのだから、勝ちまくっていた頃はもっと楽しかったに違いないと思うのです。

そう考えると、要はシニア時代の「智将・要圭」みたいにもっと野球を楽しみたいと思えてくる。それでキャッチボールしながら、要は「打倒・智将・要圭だ」「俺は俺を超えてみせる」と言う。結局、要は記憶喪失になってまで忘れたかった苦しい野球の世界に戻ってきて、遂には「野球は楽しい」と思うようにまでなってしまった。結局は野球から逃げることが出来ず、また同じ苦しみを味わうことになってしまうのかもしれない。しかし、今の要ならばシニア時代の要が超えられなかった壁を本当に超えてしまうかもしれない。そう思えてきて、清峰の心は少し軽くなり、笑みがこぼれる。

そうして最終話は終わるのですが、とても爽やかで良い最終話だったのですけど、どう考えても物語の途中で終わりました。実際、原作漫画の物語もこの後も続いていく。どう考えても2期が必要なんですが、2期の告知はありませんでした。オイオイ頼むぜ。絶対ここからもっと面白くなるに決まってるやん。是非とも2期をやってください。