2024春アニメ 4月9日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年春アニメのうち、4月8日深夜に録画して4月9日に視聴した作品は以下の5タイトルでした。

 

 

アイドルマスター シャイニーカラーズ

第1話を観ました。

この作品はアイドルマスターシリーズの新作アニメで、このシリーズは基本的にはゲーム原作ということになります。どの作品も登場人物が多くて、いかにもソシャゲアニメだという印象です。ただ既存のアイドルマスターシリーズのアニメ作品は意外とソシャゲアニメ感が希薄なのは、主人公のキャラがかなり立っていて序盤から物語を動かしていきストーリー性が高めな印象だったからなのでしょう。それに比べると、この作品の主人公の櫻木真乃はだいぶ大人しくて受け身な印象なので、1話を観た印象では話があんまり動いていない。基本的に群像劇で色んな個性的なキャラが登場してくるのでそんなに退屈はしないのだが、物語の核が不明な感じで、そのぶん「いかにもソシャゲアニメ」という印象が強めになっている。

現状はストーリーの向かう方向としては、283プロ所属の複数のデビュー前のアイドルユニットがWINGというアイドルフェスみたいなのに出場を目指すというものになっていて、事務所で2人だけユニットが決まっていなかった風野灯織と八宮めぐるをこのまま2人だけのユニットでデビューさせるかどうか迷っていたプロデューサーが真乃に出会ってアイドルにならないかと勧誘して、一旦は無理だと思って断った真乃が思い直して「新しい世界」に興味を抱き、プロデューサーにアイドルになりたいと返事して、灯織とめぐると3人で「イルミネーションスターズ」というユミットを結成し、WING出場を目指してレッスンに励むという話が今回は描かれました。

まぁそんな感じでアイドル物語としてだいぶオーソドックスな感じの1話だったんですが、分割2クール作品であるようですし、スロースタート気味なのでしょう。これから徐々に盛り上がってくるのだと期待しています。現状はCGの出来の良さが目立つ印象ですね。CGはCG感を感じさせない素晴らしい出来で、ある意味では画期的なものではないかとは思います。

 

 

終末トレインどこへいく?

第2話を観ました。

今回も相変わらずよく分からない話でしたが、壮大な仕掛けが施してある作品であることは分かります。ただ現時点ではそれが何なのかは分からないようにしてあるので、当面はあんまり深く考えずにワケの分からなさを堪能していけばいいんじゃないかと思っています。おそらく次回か次々回ぐらいには何かが見えてきて、折り返しの6話ぐらいでかなり謎は解けてきて、クール後半は一気に面白くなっていきそうな予感がします。そういうタイプの作品というのは割とあるものです。

問題はクール前半よく分からない期間をどういう面白味で繋ぐかということになりますが、それが前回は見えてこなかった。今回も実はあんまりそういう面白味が見えてこなかった。だが2話面白くないというのはまだ十分に許容範囲内なのでいいです。1話で「これ大丈夫か?」と思わせておいて、2話で「やっぱ無理だわコレ」と思ってしまうと先行きは暗いですが、2話で「まぁ大丈夫だろう」と思えるぐらいなら希望は持てる。この作品の場合は後者ですね。少なくとも今回は旅が始まって、外の世界の得体の知れない感じと、それに対する少女たちの反応を見て十分に楽しむことは出来た。当面はこうした少女たちの珍道中を堪能するだけで数話は楽しめそうです。そうこうしているうちに謎解きが進んでいくでしょう。

前回は細かい伏線がバラ撒かれていたのだろうと思いますが、細かすぎて何か伏線なのか伏線じゃないのかもよく分からない。意図的にそうしてあるので、そこを現時点で細かく詮索しないのがこの作品の制作者が指定している正しい鑑賞法なのです。だから私は現時点で詳細な考察はしない。考察ではなくて、前回の描写から自然と導き出される解釈としてざっくりと言うならば、まず現時点の2年前に起きた異変は7G回線の暴走によって引き起こされたものであり、その震源地は池袋であった。そして、それを引き起こしたのはおそらく主人公の静留の友人である葉香です。

2年前に葉香は静留と何らかの理由で喧嘩をして1人で黙って吾野から池袋に来ていて、7G回線の開通式典に巻き込まれて開通ボタンを押した。7G回線は脳に浮かんだ思考を読みとり全てのデバイスに繋がるものらしいので、おそらく2年前の異変は葉香の思考を反映して引き起こされたものなのでしょう。つまり葉香の心に何らかの闇があり、それが異変の元凶なのであり、異変の解決のカギは葉香の心の闇を知ることなのだといえる。静留は2年前から行方不明となった葉香を探しており、前回、葉香が池袋に居ることを突き止めて、池袋に向かって出発した。つまり静留が池袋に辿り着いては葉香に会い、葉香の心の闇を解消して7G回線にアクセスして異変を解決することがこの物語のゴールだと思われる。

では、その葉香の心の闇はどういうものなのかというと、それは現代起きている異変の内容が葉香の心の闇が反映されたものなので、そこにヒントがあるのだと思われる。その全貌はまだよく分からない。前回は吾野にいる静留たちの視点でしか物語が描かれていないので、吾野以外の外の世界がどうなっているのかはまだよく分からないからです。ただ、そういう状況自体がヒントになるようにも思える。つまり、町と町の間の物理的距離が大きく広がってしまった上に通信まで途絶してしまい、町と町がバラバラにされて孤立状態となってしまっているということです。これは葉香の心の闇の反映なのでしょう。それはつまり強烈な孤独感や孤立感なのかもしれない。

また、少なくとも吾野に関して言えば、21歳と3ヶ月で人間は動物になってしまう。実は吾野はまだマシな状況みたいで、吾野の場合は動物化した人々は人間性は保っているが、他の町では人間性が無くなってしまっているようなところも多いようだし、人間が植物になってしまった町もあるらしい。だから吾野の状況だけで葉香の心の闇を全て推し測ることは出来ないが、しかし吾野は葉香の住む町であり葉香にとって特別な町なのですから、この「21歳3ヶ月」というタイムリミットには何かの意味があるようにも思えるし、大人だけが動物化することや、それでも人間性は保っていることなども何らかの象徴的な意味合いはあるように思える。ただ、今回の冒頭の場面を見ると葉香は小学生の時に転校してきたようなので、もしかしたら葉香にとって特別な場所は吾野以外にも外にまだ他に存在する可能性はある。

静留はそんな大きな絵図を描いて葉香に会いに行こうとしているわけではなく、ただ単に行方不明になった友人の葉香を心配して会いに行こうとしているだけです。2年前の異変が原因で遠方には行けなくなっているので、まさか葉香が池袋に居るとは想像していなかった静留は2年間ずっと吾野の近辺で葉香の行方を探していたのだが、クロヒョウキャラバンの荷物の包装紙となっていた1ヶ月前の新聞の写真に葉香が映っていたのを発見して葉香が池袋に居ることを初めて知った。

なお、このクロヒョウキャラバンというのは異変後の世界でも町と町の間の生活物資などの運搬をしている業者なのだが、前回は静留の友人たちである撫子、玲実、晶の3人がクロヒョウキャラバンからそれぞれ荷物を受け取っており、これらもまた何らかの伏線なのだと思われます。その品物は撫子の場合は銀梅花の苗木であり、玲実の場合は「練馬の国のアリス」というアニメ番組のムック本であり、晶の場合は「黒魔術の手帖」というタイトルの文庫本であり、おそらく小説だと思われる。これらはそれぞれ彼女らの精神世界を象徴するものなのかもしれません。

ちなみに銀梅花は「神聖な愛」の象徴とされ、旧約聖書の創世記ではアダムとイブが楽園を追放された際に神様から持ち出すことを許可された3つの植物のうちの1つとされています。「練馬の国のアリス」はもちろん劇中設定の架空のアニメ作品ですが、2年前の異変の前まで埼玉で放送されていたカルト的人気を誇っていた、かなりぶっ飛んだ内容のアニメだったらしいが、おそらく異変のせいで未完のままなのでしょう。「黒魔術の手帖」に関しては晶が手にしているのがチラッと映っただけであり深い意味は無いのかもしれないが、何せ「黒魔術」という言葉にインパクトがあるのでどうも気にはなります。

それはともかく、葉香が池袋に居ると分かっても池袋に行く手段が無いので静留は困っていたわけですが、西武電鉄の運転士の善治郎に西武2000系の電車で池袋に行って様子を見て来てほしいと頼まれたので、そのついでに池袋で葉香を探すことにしました。善治郎はどうやら元々は7G回線の計画に関わっていた人物らしくて、計画に反対したので脳改造手術を受けてボケ老人にされてしまって吾野に戻ってきたらしい。善治郎が吾野に戻ってきたのが異変の後だったようなので動物化はしていない。その善治郎は車掌帽をかぶると1日に5分間だけ正常に戻るので、それで静留は何日もかけて善治郎とコミュニケーションをとって善治郎から池袋の様子を見て来てほしいと頼まれて、2000系の運転の仕方も教えてもらったようです。そうして静留が池袋に向けて出発する際に、撫子と玲実と晶と、それと葉香の飼い犬のポチさんも一緒に乗ってきてしまい、一緒に旅立つことになったというところで前回は終わりました。

そして今回は旅が始まって、まずは外の世界の異様な感じが描かれ、それに対して反応する電車の中での4人の遣り取りが主に描かれました。トンネルを抜けると大きな川の上を延々と続く鉄橋の上を走ることになり、鉄橋は途中でクネクネと曲がっていたりして明らかに普通の世界ではない。玲実はやたら楽観的で、晶はやたら悲観的で、静留はまだ運転に不慣れなので運転に必死であり、そうしてワーワー揉めてギスギスしそうな空気を一番年長の撫子が宥めて調整します。

勢いで電車に乗ってきた撫子と玲実と晶は旅の準備が明らかに足りておらず、ちゃんと準備してきたつもりの静留も足りないものが多く、旅は早くも前途多難となります。色々と文句を言い始めた玲実たちに対して静留は「無理して一緒に来なくて良かったのに」と言います。もともと1人で池袋に行って葉香を探すつもりだったのであり、別に撫子たちについて来てほしいと頼んだ覚えは無い。勝手に3人が乗り込んできただけなのです。

それでちょっと嫌なムードになりますが、静留が電車内に持ちこんでいたゴーヤの苗が急成長して蔓を伸ばしてきたりする奇妙な現象も起き、更に電車の周囲には霧が立ち込めてきて一体どこを走っているのか分からなくなってくる。それで一旦鉄橋の上で電車を止めると、川の上をスワンボートに乗った変な老人がやって来て、池袋から来て何か色々と調べていると言うが、池袋の現状はよく分かっていないようで、どうにも要領の得ないことばかり言う。その老人は「7G暴走が原因で西武池袋線沿線以外の世界が消えてしまったかもしれない」とか言うが、それも本当のことなのかどうか分からない。また老人は池袋はとんでもないことになっているかもしれないから行かない方がいいとも言うが、それも根拠があるわけではないようだ。それで静留たちはもう老人と問答するのはやめて出発しますが、その際に老人は自作の地図を渡してくれました。

そうして再び出発した後、静留がどうして池袋に行こうとしたのかについてまだ理由を聞いていなかった撫子たち3人は、それが葉香を探すためだったのだろうと言い当て、撫子は静留に「静留が勝手にいなくなった葉香を心配したのと同じように、静留が勝手にいなくなったら私たちも心配になる」と指摘し、「無理して一緒に来なくて良かったのに」と言ったことを謝るよう求めます。3人は静留のことを心配してついて来たのであり、同時に葉香のことも静留と同じように心配していた。だから無理してついて来たなんて言われるのは心外だったのだということです。それを聞いて静留も反省して、改めて4人で一緒に葉香を探しに行こうということで意見はまとまる。

そして、そういうことなら一旦吾野に戻ってちゃんと4人分の旅支度を整えて再出発しようということになり、吾野に戻ろうとするのですが、いつの間にか川の水位が増してきて鉄橋の上の線路が水没し始めており、善治郎からの定期連絡のモールス信号で水に浸かると電車もモーターがヤバいと知り水から逃れざるを得なくなる。さっき貰った地図を見ると落書きみたいで全然役に立たず、そして吾野方面から津波みたいなのが押し寄せてきたので全速力で逃れて吾野とは逆方向、池袋方向に進むことになり、津波を逃れた後で来た道を振り返ると線路は水没してしまっており、吾野には戻れなくなってしまう。

これでもう池袋に向かうしかなくなり、4人は電車を再び出発させて池袋に向けて荒野みたいな場所を突き進んでいく。そして町が見えてきて、東吾野の駅に着き、そこで電車を降りてみると、ホームに女の人が出迎えに出て来て、その頭にはキノコが生えていたというところで今回は終わり次回に続きます。

 

 

転生したら第七王子だったので、気ままに魔術を極めます

第2話を観ました。

今回はロイドが魔術の稽古をしたり、ダンジョン攻略に出かけたりする話で、相変わらず展開はありきたりで目新しさは無い。ロイドが王位争いになど興味は無くて魔術の研究に没頭したいので無能のフリをしたり、自分の分身を作って周囲を騙してコッソリ外出してダンジョンに行ったりするというストーリーは、こういう異世界主人公最強モノには非常にありがちなものであり、ベタベタな展開といえます。

ただ、この作品の場合、そのベタベタな展開を作画と演出で魅せてくるのが特徴で、とにかくキャラが可愛くて、動きが凄くて、演出もド派手です。今回はまず前半パートの魔術稽古の場面では二重詠唱の魔術の場面の演出が凝りに凝っていて凄かった。そして後半パートのダンジョン攻略編では、新登場ヒロインの語尾が「アル」のチャイナ娘のタオがムチャクチャ可愛かった。なんというか、顔といい身体といい衣裳といい最高にどストライクでしたね。格闘アクションも凄くて、まるでドラゴンボールでした。また性格もチョロくて面白くて、この手のバカなアニメにおいては最高のタイプのヒロインといえる。

最後はダンジョンのボスを倒して開いた宝箱の中から怪物が出てきてロイドとタオがピンチになったところで次回に続きますが、こういうベタで分かりやすい話で作画と演出に全振りするという戦略は、一般的にはあまり感心はしませんし私の好みではないですけど、こういう異世界なろう系アニメを好むような層には一番刺さるだろうと思うので、正しい戦略だと思います。むしろラノベ原作の場合は話が進むにつれて妙にストーリーが難しくなっていき、話が分かりにくくなっていくのが心配だといえます。

 

 

Lv2からチートだった元勇者候補のまったり異世界ライフ

第1話を観ました。

この作品はなろう系ラノベが原作で、異世界転生モノですが、現実世界から異世界への転生ではなく、かといって「第七王子」のロイド様みたいに同じ世界で生まれ変わったわけでもなく、異世界から別の異世界に召喚されるという、ちょっと珍しいパターン。まぁ召喚された本人にとってはどっちにしても同じことなんでしょうけど。

とにかく主人公のバナザはとある異世界で商人をしていた。その世界には魔法があったり亜人が住んでいたり、典型的な異世界という感じで、そこからある日突然に別の異世界に魔王と戦う勇者候補として召喚されたのだが、一般人並みのステータスだったので魔王軍の潜む森に追放されてしまう。ところが森でスライムを倒したところレベルが2に上がり、すると突然に全ての数値が無限大になったりして、すごい魔術を使えるようになる。

このあたりの描写は、もともとバナザが現実世界ではなくて魔法という概念のあった異世界出身であったので魔法の扱いに違和感が無いというのは設定としては上手だと思う。ただバナザの元いた世界には魔王は存在しておらず、上級魔法を使えるのは高位の魔法使いだけだったので、バナザはあくまで商人である自分がそんな凄い魔法が使えるのは、この世界が誰でもそんな魔法が使える設定になっているからだと勘違いし、自分が他人よりも強いという意識は無いままです。

それで自分を追放した国王にバレると面倒だと思って魔法で姿を別人に変えて「フリオ」と名乗って街に行き冒険者ギルドに登録しようとして訪ねた際に、森に行きたいという亜人の少女がいたので、騎士団の女たちと一緒に手助けして一緒に森に行ってやったところ、その亜人の少女は実は魔王軍の四天王の1人の妹で、フリオたちを騙していた。それでフリオは仕方なく少女が変身した巨大な狼と戦うことを決意したところで今回は終わり次回に続きます。まぁ現状大して面白くなくて、典型的な無自覚最強系のお話で、ゲームみたいなステータス表示とか、好みでない要素も多くてちょっと困ったものですが、女の子はみんな可愛いのでとりあえず次回に期待しようとは思います。

 

 

狼と香辛料 merchant meets the wise wolf

第2話を観ました。

今回はロレンスとホロの旅が始まって、2人の遣り取りを色々と楽しめるエピソードでした。まだ物語が転がり始める段階ではなく、まずは一緒に旅を開始した全く立場の違う2人が色々と喋ったりしながら互いを理解し合っていく過程が描かれたといえます。こういうじっくりした作劇は良いと思います。

まず荷台でテンの毛皮にくるまって寝ていたホロがノミを見つけて、ロレンスがテンの毛皮が最上級だからという意味でノミが居るのは当然だという話をしたらホロが自分の尻尾の話と勘違いして、ロレンスがそれに調子を合わせて心にも無いのにホロの尻尾を褒める。するとホロは尻尾だけでなく耳も自慢だと言い、自分の耳はあらゆる危機とウソを聞き分けると言う。

その後、雨が降ってきてロレンスは教会に寄付をして泊めてもらい、ホロにはフードを被せて自分の妻だと教会に説明し、顔に火傷痕があるから隠しているのだと言い、ホロが賢狼だとバレないようにする。だが部屋で2人きりになると、ホロはロレンスが教会についたウソを揶揄してくる。そもそも顔に火傷があったとしてもホロは隠すという発想が無いと言う。耳や尻尾だって自分の特徴なのであり隠すつもりはない。実際は教会にホロの正体がバレると面倒だから当然隠さなければいけないのだが、それはそれとして、都合次第で平気でウソをつくロレンスの生き方自体をホロは少し揶揄しているようです。

またホロが宿っている小麦は脱穀して麦粒にしてホロ自身が袋に入れて首から下げて身に着けることになるが、もともとは新品種として他の村に売り込もうと思っていたものだから少し残しておきたいとロレンスは言うのだが、ホロは作物はその土地だから実のであって別の土地に持ち込んでも枯れるだけだと否定的です。どうも農耕神であるホロと商人であるロレンスでは根本的な考え方が違うようです。

その後、雨に濡れた衣服を乾かすために広間に行き、他の宿泊者と会話となり、ロレンスは商人の世界特有の信用為替の面白い話をして地方の農園の領主夫妻と仲良くなります。領主夫妻が部屋に戻っていった後、それを聞いていた駆け出しの行商人と自称するゼーレンという男がロレンスに儲け話を持ち掛けてくる。もともと領主夫妻に儲け話を持ち掛けようとしていたようですが、どういうわけかロレンスに持ち掛けてきたようです。それは銀貨の銀の含有量の差を利用した投機話でした。

その後、部屋に戻ったロレンスはホロに脱穀した小麦を入れた袋を渡したり、教会に頼んで用意してもらった芋の料理などを与えるが、もともと村で貢物を無料で貰うのが当たり前の生活を送っていたホロが経済観念が無いことにちょっとイラッとして、ちゃんと代金を払うようにと言ったりします。

そして、ロレンスはホロが自分の耳がウソを聞き分けられると言っていたのは本当なのかと問い質す。それに対してホロはロレンスが自分の尻尾を褒めた時にウソをついてたことには気付いていたと言い返してロレンスをやり込める。図星をつかれたロレンスは確かにホロの耳はウソを聞き分けられるのだと認めたが、それならばどうしてさっきのゼーレンの話についてホロが何も言わなかったのかと不審に思う。

ロレンスはゼーレンの投機話はウソなのだろうと見抜いていた。もしホロの耳が本当にウソを聞き分けられるのならゼーレンのウソに気付いたはずなのに何も言ってこなかったので、もしかしたらホロがウソを聞き分けられるというのは冗談だったのかとも思った。だが実際にホロはウソを聞き分けられるようだ。それならば何故ホロはゼーレンのウソに気付いていながら自分にそのことを教えようとしなかったのだろうかとロレンスは不審に思ったのです。

しかしホロはゼーレンがウソをついていたことには気付いたが、ゼーレンがロレンスを騙す理由が不明である以上、何か裏の事情があるはずであり、それを探ることが新たな儲け話に繋がるはずだとロレンスが考えることまで見通していたのです。実際に、だからロレンスはその場でゼーレンにウソをついたことを指摘せずに適当に話を合わせて騙されたフリをして腹を探ろうとしていた。ホロはきっとロレンスはそうするだろうと見越して、ゼーレンのウソを指摘するような野暮なことはしなかったのです。それは確かにロレンスとしては助かる配慮ではあったが、おそらくホロ自身はそんな騙し合いのようなことは好まないはずであるのに、ロレンスならばきっとそういう騙し合いを好むのだろうと見下されて子供扱いされて掌の上で転がされたように感じてちょっと腹が立ったのでした。

その翌朝、教会の礼拝にホロが参加しているのを見てロレンスはホロの顔に火傷が無いことがバレて自分がウソをついたことが教会にバレるのではないかと動揺し、その動揺をまたホロにからかわれてしまう。その後、ホロは自分が北からこの地にやって来た頃は教会はこんなに幅を利かせていなかったと言い、「万物は神が作った」などというウソを堂々と喧伝などしていなかったものだと述懐する。しかし今は時代が変わり教会が平然とウソを言う。こんなことではきっと北にある自分の故郷も変わってしまったのだろうと寂しそうに言うホロに、ロレンスはホロ自身が変わっていないのだから大丈夫だと言って慰める。

その後、ロレンスはゼーレンと港街で落ち合う約束をして教会を出発するが、その道中でホロとお喋りをして、「時は金なり」と言うロレンスの言葉に対してホロが農民たちは時間に従っているのではなく自然に従っているのだと説き、時間に振り回されているロレンスは経験が足りないと揶揄する。それでロレンスはホロの方が頭の中が古いと言い返すと、ホロはちょっとムキになったのか、狼が手強いのは頭が良いからなのだと言い、それは人間を襲って人間の頭を喰っているからなのだと冗談を言う。

しかし、かつて旅の途中で何度も狼の群れに襲われて仲間も犠牲になった経験のあるロレンスは冗談でもそんなことは言ってほしくないと言って怒り、ホロは冗談が過ぎたと思い反省してシュンとなる。そして、ホロは本当は狼は人間を自分達を狩る脅威だと認識して怖がっており、だから人間が来ると必死で知恵を巡らせて戦う、だから手強いのだと打ち明ける。それを聞いてロレンスは、自分が狼によって心が傷ついたのと同じように、ホロもまた人間によって傷ついてきたのだと気付く。そして、そんな正反対な境遇でありながら似たところもある2人が今こうして一緒に旅をしているのだと改めてお互いに実感する。今回はそういうところで終わり次回に続きます。