2024冬アニメ 2月25日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2024年冬アニメのうち、2月24日深夜に録画して2月25日に視聴した作品は以下の4タイトルでした。

 

 

結婚指輪物語

第8話を観ました。

今回は水の指輪編の続きで、とりあえずハッピーエンドということになりましたが、最後に何やら帝国に不穏な動きも出てきましたね。この後は土の指輪編で2話分を経て最終2話で深淵王と戦うということになるのかと思っていたんですが、もしかしたら帝国との争いなんかがあったりして深淵王との戦いまで行かずに中途半端なところで「俺たたエンド」でアニメ版は終わるのかもしれませんね。原作漫画も連載が続いているわけですからそういう可能性は高いような気がする。まぁそういうのは原作付き作品の宿命のようなものですから、Sランクで上位争いをしているというのならともかく、この作品の現状の順位ならば、それはそんなに致命的な問題ではありません。それなりに上手くまとめてくれればA+ランクは維持するでしょう。

今回はまずマルス皇子がサトウを殺して指輪を奪い帝国に帰還するよう占い師に唆される。占い師がマルスの父親の皇帝の意思だと言ってマルスに魔剣を渡して、それを使ってサトウを殺して指輪を奪い帝国に帰還すればマルスが指輪王となることで皇帝にも認められてサフィラ姫とも結婚出来ると言う。指輪王となる使命を放棄したことで父親から見放され、サフィラからは不信感を持たれて絶望していたマルスは自分が価値を示すにはもうその道しかないと思って、その誘いに心動かされてしまい、その隙を突かれて魔剣によって操られてしまう。

そしてまた占い師の予言通りに魔物が出現して帝国の部隊が討伐に向かい、サトウは王宮に留守番で残る。すると想定外の場所に魔物が現れて王宮に迫り、サトウが対処することになるのだが、そこでいきなりマルスが魔剣を抜いてサトウを不意打ちで襲ってくる。サトウは予想外の出来事に驚き、魔物をアラバスタが食い止めている間にマルスと対峙して事情を聞こうとする。スルトマルスは指輪を奪って帝国のものとするしか自分には道は無いのだと言うばかり。アラバスタはマルスが正気ではなく操られていると見抜きますが、どうやったら正気に戻るのかは分からないと言う。

とりあえずマルスの攻撃を受け止めるのに精一杯なサトウは指輪の魔力でマルスを攻撃してみるが魔剣に弾き返されてしまう。そこで指輪がまた話しかけてきて指輪の魔力の全力で攻撃すればマルスを滅することが出来ると助言してくるが、サトウはマルスを殺すつもりはないと言って拒否する。そしてサトウはそもそも自分の剣の腕でマルスの攻撃を受けて無傷で済んでいること自体が不自然であると気付き、マルスが魔剣に操られていても、それでも友である自分を傷つけることに躊躇っているのだと気付き、やはりマルスは優しい男なのだと信頼してマルスの剣をわざと避けずに腕に受けます。

それでマルスはサトウを斬り殺すことが出来ず、結局はサトウを殺して使命を果たして父親やサフィラの信頼を取り戻すことも出来ず、更には自分をこのように信頼してくれている友であるサトウを傷つけてしまった自分には何の価値も無いと絶望して、自分を斬るようにとサトウに言う。しかしサトウは自分はマルスを好きだと言う。マルスの優しさに救われたから自分はこの世界で生きているのだと言い、サトウ自身にとってはマルスは決して無価値などではないということを示す。そしてこの世界で生きる価値を自分にくれたお返しにサトウは、そんなに価値が無いというのなら自分がマルスに価値を与えたいと申し出ます。「伝説の指輪王と共に世界を救う仲間」という価値を示してサトウはマルスのことが必要だと言って手を差し出し、それによってマルスの心は動かされ、同時にサトウは指輪の助言に従って魔剣の柄の宝石を破壊してマルスを魔剣の支配から解放する。

するとそこに占い師が現れて魔物を操ってサフィラ姫を捕えて人質とする。占い師は魔物と繋がっており、サフィラ姫の命を盾にとってマルスに再度サトウを殺して指輪を奪うよう指示する。しかしマルスはもう迷わないと言い、自分の意思に従い、自分と自分の大切な人のために生きると決めたのだと言い、それが自分の「価値」だと言う。その上でマルスはサフィラに向かって堂々とプロポーズして、意外な展開に呆気にとられる占い師の隙を突いてサトウが魔物を攻撃してサフィラは解放されてマルスによって救助される。

ここで追い詰められた占い師は深淵の騎士としての正体を現して魔物と一体化して襲い掛かってくる。だがサトウがマルスとサフィラを結び付けたことに喜んだサフィール姫はサトウのことを真に指輪王として、夫として見直して、改めてキスをすることで水の指輪の本来の能力を引き出す。それはサフィール自身が巨大な龍となってサトウのために戦うというもので、サフィールは魔物を瞬殺します。そして深淵の騎士は逃げていきます。

そうして水の国は魔物から守られ、サトウの味方となってくれた。帝国の第一皇子のスリュダーは人格者であり、帝国による水の国の支配は望んでおらず良き同盟国として支援すると言ってくれた。マルスは帝国の皇子ではなく指輪王の騎士として生きていくと宣言しサフィラ姫とも結婚したが、スリュダーは兄として弟にいつでも帝国に戻って来るのを待っていると温かい言葉をかけて去っていった。しかし同時に深淵の騎士であった占い師が帝国と繋がっていたことが気がかりだと言い帝国に向かう。その帝国では皇帝が逃げてきた深淵の騎士を殺していた。深淵の騎士は自分が深淵王と繋がっていることを隠して皇帝に取り入っていたのだが、皇帝はそれを見破った上で水の国を奪いサトウから指輪を奪うために利用していたようです。そして役に立たないと分かれば殺したわけですが、皇帝はどうやら深淵王も指輪王も排除して自分が世界を支配しようと考えているようです。今回はここまでで次回に続きます。おそらく次回は土の指輪編になるんでしょうけど、帝国の動向も気になりますね。

 

 

ゆびさきと恋々

第8話を観ました。

今回は最初は雪が逸臣に親友の心を紹介してもらう話が描かれましたが、その後は主に心の回想シーンでエマや逸臣との高校時代が描かれました。最初の紹介シーンはどうなることか最初はちょっとハラハラしましたが、意外に順調に何の問題も無く推移して、その他、全体的に雪と逸臣の関係は今回は順調そのもので微笑ましいものでした。その分、あまり大きな展開も無かったですけど。まぁそういう波乱の展開とかを期待して見るというのが、そもそもこの作品の鑑賞スタイルとしては不正解なのでしょう。原作は少女漫画ですから、雪と逸臣の仲睦まじい様子が繊細なタッチで描かれるのを見てキュンキュンするのが正しい。私はそういう鑑賞スタイルにどちらかというと不慣れですが、全く適応できないわけでもない。だから適応して楽しんではいますが、時々気が付くと波乱の展開を期待してしまっていることもある。

結局、今回は雪と逸臣の関係は順調そのもので特に波乱要素は無く、優しい世界が素晴らしかったです。そして心の過去回想シーンについては、こちらは聴覚障害とか関係なく普通の学園ラブコメみたいでしたが、これが実にイイ感じでした。心とエマという2人のキャラの掘り下げがしっかり出来ていて、この2人がメインの物語でも全然OKと思えるだけの見事なキャラ立ちを見せてもらえました。そして、そんなふうに思えるということは、この作品はやっぱり「聴覚障害」のお話じゃないんだと思えます。雪も逸臣も同じなんですけど、この作品の登場人物たちは他人に合わせて他人との関係を良くすることよりも「自分を貫くこと」の方を大事にしている。そのために他人と上手くいかなくこともあるけど、でもそれだからこそより深く他人と繋がることが出来るのだということをこの作品は描きたいのではないでしょうか。今回の心とエマのじれったいけど優しく真摯な生き方を見てそう思えました。

それで今回ですが、まず心のアパートの部屋を訪ねた逸臣と雪と会い、逸臣から「俺の彼女」と雪を紹介された心は驚いた反応を見せます。それで2人を部屋の中に招いて、心の膨大な数のCDコレクションを見てビックリしている雪の姿を見て、心は「彼女さんはどういう音楽を聴くの?」と質問します。雪はそもそも耳が聴こえませんから音楽は聴かない。当然自室にCDなども無いので、部屋の壁一面にCDを並べている心の部屋にカルチャーショックを受けていたようなものですが、まぁ今の時代、そんなに大量にCDを持っている心もかなり変わり者ではあります。

後の高校時代の回想シーンで、当初は心は配信で音楽を聴いていました。しかしエマにCDを貸してもらって、それがCDで音楽を聴くようになったきっかけっぽいですね。もともと音質にこだわって有線のイヤホンで音を聴いていた心ですから、CDで聴いた方が音質が良いと実感したからなのかもしれませんが、そこがエマへの恋心の芽生えであったというのも影響しているのでしょう。しかし、聴覚障害のヒロインが主役の物語でサブキャラの掘り下げにこんなに「聴くこと」を題材にしてくるという演出も面白いと思います。

最初は高校時代に1枚のCDから始まった心からエマへの恋心が、22歳になった今、積もり積もって膨らみ切って部屋の壁一面のCDの山になっている。そのCDの山を聴覚障害のヒロインが見上げているわけですが、初めて会った親友の彼女に最初に投げかける質問が「どういう音楽を聴くの?」というところが、やはり心の中ではエマが聴いていた音楽がエマの内面を表していて、そこに自分が惹かれたのだという意識が強いのだということを示しているのだと思います。自分がエマに感じたのと同じように、どういう音楽を聴くのかという点で女性の魅力を測ろうとするクセが心にはあって、それでそういう質問になったのでしょう。雪がCDをじっと見ているから、心は雪がてっきり音楽が好きなのだろうとも思った。

ところが心に背を向けてCDラックの方を見ていた雪からは返事は無く、少し間を置いて逸臣から「耳が聞こえない」と聞き、心は驚きます。そういえばさっきから心が言葉をかけても返ってくるのは逸臣からの返事ばかりであり、雪は黙ったままだった。普通は初対面の彼氏の親友の家に初めて上がってそういう態度は少し失礼というものであり、心もちょっと違和感は感じていたが、なるほど耳が聴こえないから自分の言葉はそもそも届いていなかったのだと気付いた。

それで更に心は逸臣から雪が生まれつき聴覚が無いことや、2人のコミュニケーションは読唇や文字入力や手話でやっていると聞き、そういえばエマが逸臣が最近手話の勉強をしていると言っていたことを思い出し、それは雪のためだったのだと納得した。更に逸臣がずっと雪の手を握って不安がらせないようにしている様子を見て、交際は逸臣から申し込んだとか、出会ってからも雪との時間を作るために努力したり、2人きりになれるよう画策したとかいう話を聞いて、心は逸臣が本気で雪を愛しているのだと感じた。

ここでちょっと気になるのは、心は「女の子にそんな逸くん始めて見た」と言っており、逸臣も「俺もしばらく付き合うつもりはなかったんだけど」とか言ってるんですが、後の高校時代の場面でも逸臣は女性との交際は「今はそういうのはいいんだよ」と言っているということです。高校時代から逸臣をずっと見ている心がずっとそういう印象で逸臣を見ていたということは、逸臣は高校時代からずっと女性と交際することを避けていたということになる。それはちょっと異常なことであり、心に出会う前、日本の高校に転校してくる前の逸臣に何か重大な出来事があったのではないかと邪推させるものはある。そして、そんな逸臣を変化させて女性と交際したいと思わせた相手が聴覚障碍者である雪であるというのも何か気になるところではあります。

まぁそれは今回のエピソードには関係ないので置いておいて、心は逸臣が心から雪を愛していると感じて、雪にも逸臣のことが好きなのかと問う。それで雪はその質問に答えるために逸臣の見ている前で「好きです」の手話をする羽目になってしまい、初めて逸臣に「好きです」と伝えることになり赤面します。まぁりんの部屋で一度勇気を出して「好きです」の手話はやったんですけど逸臣が余所見していたので今回が実質的に初めての雪から逸臣への告白ということになりました。

それを見て2人の仲が盤石なものだと実感した心は「エマには俺から話しておく」と言う。逸臣から直接聞くとエマのショックが大きいだろうから、自分から出来るだけエマが傷つかないように上手く伝えると言う心であったが、実際のところどうすればエマを傷つけず伝えることが出来るか想像もつかなかった。心は高校時代に初めて出会った時からずっと「逸臣のことを好きなエマ」しか知らない。だから「逸臣のことを諦めたエマ」というのが想像がつかない。だから、どうやってエマに上手く逸臣のことを諦めさせることが出来るか、何のビジョンも思い浮かばないのです。

そう言って、更に心はずっとエマが「逸臣を諦めたエマ」になってくれることを待っていたのだとも言う。ここで心がエマのことを高校時代からずっと好きだったということが明らかとなる。まぁ視聴者から見てそれは大体は想像はついていたし、逸臣はもともと知っていたみたいですが。ただエマは心の気持ちは知らないんでしょうね。エマの心への接し方を見ていればそれは分かります。そういうちょっと複雑な関係があって、そういう話をしているのだと察した雪は、あえて逸臣と心の会話に立ち入ってはいけないと思い、2人の唇の動きが見えないように目を逸らします。

逸臣は心がエマのことを好きなことは知っていますから、心がエマと付き合えばいいと言いたげですが、心は自分はずっとエマが逸臣のことを諦めるのを待っていたと言う。それでもエマはずっと逸臣のことを好きなままだった。だからきっとこれからも変わらないのだと言う。ここで分かることは、心はエマを傷つけて無理に逸臣を諦めさせるようなことはしたがっていないということです。強引に自分に振り向かせて逸臣のことを忘れるぐらいエマを自分に夢中にさせてやろうとは考えていない。ただずっとエマが逸臣を諦めるのをじっと待っていただけなのです。そして、それは今後も変わらないと言う。

しかし逸臣は雪と交際したのだから、エマは逸臣を諦めるしかなくなる。つまり心が何も行動しないまま、遂にエマが「逸臣を諦めたエマ」になるという待望の時が来たはずなのです。普通は心は「いっそ俺がエマを慰めてモノにしてやる」と張り切るところのはずです。ところが心はエマが傷つくことをひたすら心配するだけで何も主体的に行動しようとしていない。つまり「今後も変わらない」のはエマの方ではなくて、心の方なのです。心の方に何か問題があるといえます。

この後、逸臣と雪は心の部屋を出て、心は雪に「逸くんをよろしく」と伝える。こうして無事に心との交流を果たした後、2人で帰路につき、逸臣が雪が「チュー」と「ギュー」を間違えたことに気付いていたというのを伝えて雪が照れまくり、今後は間違えないようにサインを決めようと逸臣が言い出して、それで間違って雪がまたキスしようとするのが可愛かった。結局、頬をつねると「キスしたい」という合図だと2人で決めることになりました。今回も糖分高めでした。

その後、心が京弥に電話する場面が描かれ、ここで心の内面がちょっと垣間見えます。心は逸臣が雪を連れて家に来たことを京弥に報告し「エマのこと頑張ってみる」と言い出す。さっきはずいぶん後ろ向きでしたが、結局は心は考え方を変えてエマにアプローチしてみようと考えるようになったようです。京弥もずっとエマに関しては後ろ向きな心しか見ていなかったようなので心の変わりように驚きますが、心はその理由として「俺、どこかで逸くんは本当はエマが好きなのかと思ってた」と言う。

つまり、心はずっと「逸臣はエマを好きなんじゃないか」と疑っていたようなのです。だから、逸臣が他に彼女を作らないのは、いつかエマと付き合うためなんじゃないかとも思っていた。だから逸臣が「俺の彼女」と言って雪を紹介した時に心は驚いた顔をしたのです。逸臣がエマ以外の女性を好きになるという事態を心は想定していなかったのです。それで詳しく事情を聞いて確認してみたところ、逸臣も雪も互いに大切に想い合っていることが分かった。

当初はただただ想定外の事態に驚くばかりであった心は、ただ2人を祝福しただけで別れて、エマに対する後ろ向きな気持ちは変わっていなかったのですが、逸臣たちが帰って1人で部屋で頭の中を整理していくにつれて、自分の逸臣に対する思い込みは根本的に間違っていたのだということが実感出来てきたのでしょう。心は自分がエマのことを好きで、エマほど魅力的な女性はいないと思っているものだから、きっと逸臣だって同じだと決めつけていた。だが、逸臣は音が聴こえない雪を愛するようになっていた。音楽をきっかけにエマの魅力に気付いた自分の理解を超えた恋愛を逸臣はやっている。そのことに気付いた心は、そもそも逸臣は自分なんかの常識で推し測れる人間ではなかったのだと実感した。そう考えると「逸臣が実はエマを好きなんじゃないか」という自分の思い込みは全くの見当違いだったと思えた。それで「もう遠慮する必要は無い」と思えてきて、思い切ってエマにアプローチしてもいいんじゃないかと思えてきたのです。

それで心はエマに連絡して自分の働く美容室にカットモデルとして来てもらい、逸臣と雪の話を伝えた上で自分のエマへの想いも伝えようとした。ところが、いざその時になるとなかなか話を切り出せない。まぁそもそもデリケートな話なので切り出しにくいのは確かなんですが、それだけが理由ではなくて、実は心のエマへの消極性の根っこはもっと深いところにあり、逸臣の本心についての思い違いが解消されたぐらいで心はエマに対して積極的にはなかなかなれないのです。そのあたりの事情がここからの高校時代の回想シーンで描かれます。

心が初めて同学年のエマの存在を意識したのは、高校の時、学期の途中で逸臣が転校してきた時、逸臣のことを「王子様みたい」と目を輝かせて追いかけるエマの横顔を見た時でした。心は高校時代からクールで1人で我が道を行くというタイプであったが、転校生の逸臣とは屋上でたまたま一緒になって会話するような仲となった。そうして日々を送っていく中、ある日、屋上に行くと逸臣がおらず心が1人で音楽を聴いていると、そこにエマがやって来て逸臣のことを探している様子であったので、まだ逸臣のことを追いかけているのかと心は思った。するとエマは心のことも知っている様子で、一緒に音楽を聴いたりして、心はその時点ではエマのことを綺麗な女の子だというぐらいにしか思っていなかった。

だがエマが後日、お薦めだといってCDを渡してきたことをきっかけにちょっと言い合いになり、エマが最近は友達から除け者にされて孤立していることを心が指摘すると、エマは「周りに合わせて自分を無理に変えるよりは1人でいたい」と毅然として応える。そして心が家に帰ってそのエマから借りたCDを聴いてみたら以外にも渋いピアノコレクションであった。その素朴でありながら美しい旋律を聴いて、心はミーハーな女の子だと思っていたエマへの印象がだいぶ変わった。いつでも真っすぐに他人の目を気にせず自分の道を突き進む、そういう真っすぐでひたむきなところが自分に似ていると感じ、それで自分は彼女に惹かれていたのだと心は気付いた。

そうして心は屋上でエマとも話をするようになり、そこに逸臣も加わって3人でつるむようになった。エマは逸臣の方に向いて喋ることの方が多かったが、心はそれで心乱れるということはなかった。エマは逸臣のことが好きであり、エマは自分のことを友達としか思っていないことは心は重々承知していた。それでもエマのことを好きだという気持ちだけは募っていき、CDのお礼だと言って髪をセットしたりした。その際に逸臣のことを好きなのかと問うと、エマは目を輝かせて即答し、もう何度も告白してフラれていると打ち明ける。

それでも明るく逸臣への想いを語るエマを見て不憫に思い、心は2人っきりになって逸臣にどうしてエマと付き合わないのかと問い詰めるが、逸臣は「今はそういうのはいいんだよ」と答える。それを聞いて心は「今は都合があって付き合えないけど、都合がつけばエマと付き合う」という意味だと誤解し、どうせいつかは逸臣がエマに振り向いてエマは逸臣の彼女になるのだから、もう自分はエマのことを好きでいても仕方ないと思い、心は別に彼女を作ったりした。

だが、もともと本気で好きで付き合った彼女ではないので心も雑な付き合い方をしてしまい、彼女がキレて屋上にいる心のところに怒鳴り込んできて、エマや逸臣の見ている前で修羅場となってしまう。そこで彼女はもう心とは別れると言い、どうせエマのことが好きなのだろうと図星をついてきた。彼女の怒りは尤もであり心もひたすら申し訳ない気持ちで返す言葉も無く彼女の怒りを受け止め、彼女の言うとおり、他の女の子に逃げるのではなくエマに告白すべきであったと後悔もした。だが彼女が「心にとっての一番は誰のわけ?」と問いかけてきたのを聞いて、その瞬間、心の脳裏によぎったのは「自分ではなく逸臣の方を向いているエマの顔」だった。

それで心は、自分が好きになったのは、逸臣を夢中で追いかけるエマの真っすぐな姿だったのだと気付いた。最初にエマに目を奪われたのも逸臣を追いかける横顔を見た時であった。エマが何度も逸臣にフラれても明るさを失わず真っすぐなままでいるのも、あのエマのお薦めのピアノ曲のような凛とした素朴な美しさそのものだと好感を抱いていた。そういうエマこそが自分の「一番」なのであり、自分はそういうエマをずっと見つめていきたいのだと思った心は、自分が告白することでエマを変えてしまってはいけないのだと思ってしまった。それで心は「エマだけは死んでも好きにはならない」と宣言してしまい、エマはそれを聞いて「心ちゃん、ひどい!」とショックを受けてしまうというオチがつきました。

それで2人の関係は今に至るわけで、結局今回も心はエマに気持ちを伝えることが出来なかった。それ以前に、逸臣が雪と交際していることすら伝えることが出来なかった。それを知ることによってエマが傷つくことを恐れたというのももちろんあるが、心が真に恐れていたのはエマが傷つくことではなく、エマが逸臣のことを諦めてしまい、その真っすぐな逸臣への想いという最大の魅力が失われてしまうことを、心自身が恐れたからなのです。

だが、ずっと引っかかっているのがエマの本心がどうなのかという問題です。この高校時代の回想シーンでのエマからの逸臣への想いというのを見ていると「ずいぶん子供っぽいな」という印象です。それまで恋をしたことがない少女が王子様みたいな風貌の転校生に夢中になってしまう。まぁ高校生の恋愛としてはそういうのも微笑ましくてアリですけど、22歳になったエマが未だにそんな恋愛を引きずっているのはちょっと幼稚な印象を受けます。いや、悪口を言いたいのではなくて「不自然」だと思うのです。この「不自然」をエマ自身は実は案外居心地が悪く思っていて、変わりたがっているんじゃないかとも思える。いや、高校時代の場面だって、時々そういう表情を垣間見せている。心が彼女にエマへの想いを告白するよう迫られている場面などでは、逸臣に向ける表情とはまた違う魅力的な女性の表情になっていた。エマも本当は無意識に心の想いを受け入れて変わりたがっているのではないでしょうか。京弥が心からの電話の場面で「俺は何処かでエマちゃんは心を待ってると思うけどなぁ」と言って心に即座に否定されてしまっていましたけど、案外と京弥の直感が正解なような気がします。

そうして今回は最後に雪と逸臣とりんと京弥で「手話合宿」をやろうという話になって次回に続く形で終わりましたから、次回は4人での手話合宿の話となりそうですが、心とエマの話も残り4話の間に変化が描かれるものだと期待したいですね。また、もしかしたら心がちゃんと逸臣と雪の交際の話をエマに伝えられなかったことが何かのトラブルのもとになるのかもしれない。まぁこういうのは波乱を期待してしまうまた私の悪いクセなのかもしれませんけど。

 

 

僕の心のヤバイやつ(第2期)

第20話を観ました。

今回もムチャクチャ面白かったです。まずはホワイトデーの後日談のような話。足立が関根にバレンタインデーのお返しを贈るのだと言って、休日だったホワイトデー明けの月曜日に関根に渡すクッキーを持って登校してくる。そもそも関根が足立に渡したチョコはクラスの男子全員に渡した義理チョコの1つなのであって、それに対して足立の持ってきたクッキーはずいぶん綺麗に包装してあって不釣り合いな代物。足立は関根から貰った義理チョコにハートマークのナッツの欠片が付いていたので本気チョコと勘違いしているからなのか、本気のお返しのお菓子を用意してきてしまったようです。それでも決して本気ではないという中学生男子特有の謎の方向性の虚勢を張っているのか、それとも単に照れ臭くて無理だからなのか、足立は関根に直接渡すことはせず、下校時に関根の下駄箱にクッキーを入れておき、それを市川が関根に「それは足立からだよ」と伝えるという回りくどい作戦を立て、市川はそれに巻き込まれてしまいます。

しかし足立がいい加減な入れ方をしたせいで関根の下駄箱からクッキーの箱が落ちてしまい、市川が慌ててそれを拾って入れ直そうとしたところに関根がやって来てしまい、更に慌てた市川は間違えて隣の山田の下駄箱にクッキーの箱を押し込み、それを関根と、一緒に来た山田にも目撃されてしまう。そうなると関根と山田の目には「市川が山田にホワイトデーのプレゼントを贈っている」というようにしか見えない。クッキーの箱を手にして手紙まで付いていることを確認した関根は完全に市川から山田への贈り物だと誤解して、自分はお邪魔虫だと思ったのか、山田にその箱を手渡して帰ろうとする。

しかしそのクッキーは本当は足立から関根に贈られるべきものと知っている市川は慌てて関根の手を「待って!」と掴み引き留める。すると、まるで市川が関根にプレゼントを贈ろうとしていたかのように見えてしまい、関根も山田も驚いてしまいます。そうして何ともいえない微妙な空気になってしまうのですが、そこに足立がどういうわけか母親と一緒に戻ってくる。

どうやら足立のクッキーは足立の母親の手作りだったようです。足立は関根からのチョコが手作りだったので自分も手作り菓子でお返ししようと考えたが菓子を作るスキルが無かったため母親に泣きついて作ってもらったらしい。それで母親は菓子を作ってやる代わりに、ちゃんと相手の女の子にバレンタインのお礼を言うようにという交換条件を付けていたようだが、足立がその約束を破ったと気付いて怒って足立を引っ張って戻ってきたようです。

そういうわけで足立は関根の前に立たされてバレンタインのお礼を言わされる羽目になる。そして不器用な言葉で関根に礼を言い、関根のことを「すげえ良い奴だ!」と褒める。足立は関根がクッキーの箱を持ったままだったので、てっきり下駄箱に入れた自分のクッキーを受け取ってくれたものだと思っていて、それでお礼もちゃんと言っているのですが、それに対して関根はあくまで市川が山田にプレゼントを贈ろうとしていたと勘違いしたままで、足立がお返しのクッキーを自分に贈ろうとしていたことには気付いていないので、どうしていきなり足立が1ヶ月前の義理チョコのお礼を言い始めたのかよく分からず「だから、あれはみんなに贈ったものだってば」と言い返す。すると足立は「それがな!」と急に不満を口にする。

足立は市川や皆に指摘されるまでもなく、関根からのチョコが義理チョコであることは分かっていたのです。そして、それが不満だった。それでも関根にちゃんとしたお返しをしたいとは思ったのです。それは関根のことを本気でちょっと好きになりかけているということでした。まぁ勘違いから始まって、それが勘違いだと分かってからも相手を意識する気持ちは残ってしまい、それが本気の恋の始まりになったり、やっぱり一時の気の迷いで終わってしまったり、そのどちらに転ぶかまだ分からないいい加減な段階だといえます。中学生同士の恋愛なんて大抵はそんなものであり、そうした曖昧な一時の感情が一瞬交錯しただけのことでしたが、それでもそうした足立の感情は関根の心にも届き、関根も一瞬自分の心の意外な反応に戸惑います。

ただ、それは一瞬のことであり、足立はちゃんと礼を言えたことを母親に認められて一緒に帰っていき、関根も我に返って手にしていたクッキーの箱を山田に渡します。そして、それが自分から山田への贈り物だと誤解されたままだということに気付いた市川が一人で焦る中、山田は箱に付いていた手紙を開封してその場で読み始める。すると、そこには足立が関根に宛てて書いたチャラい言葉で愛が綴ってあり、そのあまりに恥ずかしい文面を読んで山田は、市川が自分にそんな甘い言葉を書いて寄越してきたと勘違いして、照れて頭が爆発してしまう。

そしてOP曲の後、時間は飛んで3月24日、終業式の日、これから春休みが始まる。これで4月からはクラス替えとなるので「仲良しグループは別のクラスにされる」という噂を信じて小林が山田たちと「仲が悪いアピール」をして先生に見せて「同じクラスにしないでください」と言ったら先生が「そうか、分かった」と真に受けてしまったように見えて逆に小林たちが焦ったりというバカな場面が描かれる。

その後、市川は下校前に山田に体育館に呼び出されてバスケの1on1の勝負をして「負けた方が勝った方の言うことを何でも聞く」という約束となる。それで市川は自分が勝ったら山田に告白しようと秘かに決意してシュートしますけど、ボールは惜しくもリングからこぼれてしまう。だが、そこに山田が飛び込んでリバウンドを拾ってリングにねじ込み、市川のシュートは山田のアシストによって決まったかに見えた。まるで山田が市川に告白をしてほしいと言っているかのように市川は感じたが、もちろんそれは錯覚であり、山田は自分が最後に決めたのだから自分の勝ちだと言い張る。それなら告白は保留にしようと思い市川は告白を引っ込めてしまい、山田は知らないうちに市川から告白されるチャンスを自分で潰してしまったのでした。

それで、山田が勝ったということになり、山田が市川に自分の願いを聞いてもらえることになった。それで何をお願いしようかという話になり、山田はなんと市川に「きょう」と呼ばせてほしいと言ってくる。京太郎だから愛称で「きょう」と呼ぶということだが、これまでの「市川」呼びとは違ってなんとも距離感を詰めた、まるで恋人同士みたいな呼び方です。それが山田が日頃から抱いていた願望だったのでしょう。なんとも恥ずかしくなる乙女チックな願望で、これは見ていて甘酸っぱすぎて恥ずかしくなってきますね。

山田も真っ赤になり、市川もそれを聞いてビックリしてしまい言葉に詰まるが、そもそも嫌ではないし、勝負に負けたのだから拒否権があるわけでもなし。そうしていると、そこに先生が来て早く下校するようにと叱られたので、2人とも別々にさっさと下校した。いつも通り一緒に帰れば良さそうなものですが、互いに恥ずかしくて別々に帰ってしまったようです。そして帰宅して市川はもうすっかり山田のこれからは「きょう」と呼ばれることになるのだと思い込み、山田が「きょう」と呼んで自分に話しかけてくることを妄想して悶える。しかも何だかベッドシーンみたいなのまで妄想して、山田が乱れた様子で「きょう」と呼んで悶えている姿まで想像してしまい、すっかり暗黒面に堕ちそうになってしまう。もうダメだコイツ。

すると、そうした市川の暗黒面の拡大に呼応したのか、イマジナリー京太郎が「ルシファー濁川」と名乗って悪魔のような姿で現れてエロいことをするよう唆して巨大化したりする。しかし部屋にいきなり姉の香菜が入ってくると、急にしおしおと萎んで子供のように小さくなってしまうのは死ぬほど笑えた。もちろん香菜にはルシファー濁川の姿は見えていない。香菜は家族で自宅で市川の誕生日パーティーをするという話をしに来たのだが、ついでに誕生日に山田と遊びに行かないのかとか言ってからかってくるので市川はキレて香菜を追い出します。

そして春休み中に迎えた誕生日でしたが、当然何か特別なことがあるわけではなく、適当に外出した市川は夕食は自宅で家族ですき焼きパーティーなので夕方電車に乗って帰路についていたが、電車に乗っていると撮影の仕事帰りの山田から他愛の無い連絡があり、市川は香菜にからかわれたことを思い出してしまい、思わず山田と待ち合わせしてしまう。山田とは終業式の日以来会っていなかったが、せっかくの誕生日だから山田と会いたくなってしまったのだ。

そうして駅で待ち合わせて、一緒に家に帰るだけのつもりだった。そうして一緒に歩きだして会話をすると、市川は山田が相変わらず「市川」呼びであることに気付いた。「きょう」呼びになったはずだと思っていたので市川は戸惑うが、終業式の日にちゃんと返事をせずにさっさと帰ってしまったので、山田は拒否されたと思っているのだろうと市川は思った。あるいは単に聞き間違いだったのかもしれないと思い、自分から「きょう」と呼んでほしいなんて言えるわけもなく、市川はもう「きょう」と呼んでもらうことは残念だが諦めようと思った。だが山田は市川に拒否されたとは思っておらず、ただ単に恥ずかしくてなかなか「きょう」と呼べないでいるだけでした。

そうして2人で夜道を歩いていると、後ろから視線を感じて、誰かが尾行して来ていると感じた市川は山田を守ろうとしますが、視線の主は市川の父親でした。息子が女の子と一緒に歩いている様子なので声をかけるべきかどうか迷っていただけだったようです。ちなみに市川の父親は初詣の時に山田とは面識があります。それで山田は市川父がケーキを提げているので今日が市川の誕生日だと知り驚き、そうした会話の流れで市川は思わず山田をすき焼きパーティーだと言って自宅に来るよう誘ってしまいます。そうして山田は市川の誕生日パーティーに急遽参加することになり、自宅で出迎えた香菜は驚いて張り切り、変なロックな服装に着替えてドレスアップしたりします。

そして山田は母親に電話して友達の家で夕食を食べると伝え、香菜の声が電話口に聞こえたので山田母はてっきり山田が女友達の家に行っているのだと思い込みます。そうして皆ですき焼きを食べることになりますが、山田はせっかく誕生日の席だから、照れずにちゃんと「きょう」と呼ぼうと頑張って「きょう、誕生日おめでとう」と市川の耳元で囁きかけるが、市川は「今日、誕生日」とでも言っているように認識して、つれない反応を返すので山田は上手く伝わらないと思ってションボリします。

その後、すき焼きパーティーの最中に香菜が市川に渡した誕生日プレゼントがバニーガールのフィギュアだったり、市川母が誕生日ケーキを持ってきた時に結婚行進曲を口ずさんでいたり、市川家がアホばっかりで笑えましたが、部屋を暗くしてケーキのロウソクの灯りを吹き消して部屋が真っ暗になった時に山田が市川の耳元で今度こそちゃんと「お誕生日おめでとう、きょう」と囁いたので、市川がショックで床に転げ落ちて、部屋の灯りを付けたら、まるで部屋が暗転した一瞬で殺された遺体みたいになってて大爆笑しました。

そうしてパーティーが終わり、山田は帰ろうとしますが香菜が泊まっていくように言うと山田は乗り気になり母親に電話する。山田母は相手の家に迷惑ではないかと心配し、市川母が電話を変わって大丈夫だと伝えますが、その際に「市川の母」と名乗ってしまったので山田母は市川の家に泊まったと後で気付いたかもしれないですね。それでもとにかく山田は市川の家に泊まることになり、市川は予想外の展開に焦りまくる。焦るような理由は無いんですけど、とにかく山田が自分の家に泊まり、自分の普段使っている風呂に入るというだけでパニックとなってしまう。

それでも泊まるように誘ったのは香菜であるし深夜の山田の相手は香菜がしてくれるのだろうと思っていたら、香菜はパーティーでビールを呑み過ぎたのかすぐに寝てしまい、市川は風呂に入っている山田の着替えを脱衣場に持っていくよう頼まれてしまう。寝間着と、替えの下着はブラジャーは未使用のものが無かったので無し。そもそも香菜のブラでは山田の巨乳は入らないだろうけど。まぁ香菜も大きい方ではあるが。そしてパンティーはさすがに無しというわけではないが香菜が1回使用したものだという。知らずに触ってしまった市川は汚物を触ったかのようにビビる。失礼な態度だが、まぁ気持ちは分かる。

そしてそれら着替えを脱衣場に持っていくと、風呂場の中から山田が「ゴムある?」と聞いてくるので市川は驚愕する。風呂から上がったらコンドームを使うような展開になると山田が想定しているのかと思ってしまったのですが、もちろんこれはアホの市川の考えすぎであり、山田は湯船に浸かった時に髪を束ねるための髪ゴムを脱衣場に置き忘れていただけでした。それで市川は風呂場の入り口に髪ゴムを置いておこうとするが、山田は風呂場の扉を開けて中から手を伸ばして髪ゴムを市川から直接受け取る。市川は全裸の山田が手の触れる距離に居ると考えるだけでもう頭が限界に達してしまいます。

そして就寝となるが、市川が水を飲みに寝室を出たついでに山田の寝ている部屋を覗いてみると、山田はまだ起きていて映画の台本を読んでいた。反抗期の娘の役で、山田は反抗期の経験が無いので役作りが難しいと言う。それで市川は自分は今まさに反抗期だと言い、「親に対してイラついてるわけじゃない」「素直になれない自分にイラついてる」「自分はいい子じゃないという不安」と、反抗期の人間の心理を山田の役作りの参考のために喋ります。

すると、山田は役作りの参考のために市川が言ってくれているのは分かっていながら、市川が不安を抱えているのも本当だと感じて、市川をそっと抱き寄せてくれる。市川も不思議に安心できて山田に寄り添います。そうしてしばらくくっついた後、2人は身を離して、山田は「ありがとう、早く演じてみたくなった」と言って笑う。

その後、しばらく雑談をしているうちに山田が寝てしまい、市川は眠る山田の顔に顔を近づけて何かしようとするか、何か言おうとしますが、結局は何もせず黙って山田に布団をかぶせて立ち上がり「おやすみ」と小声で言って部屋を出て行く。そうして市川が出て行くと山田は目を開けます。寝たフリをしていただけだったようですが、山田は何かを期待していたのか、ちょっと残念そうな表情を浮かべ、それでもその後、市川に優しく布団をかけてもらい「いやすみ」と言ってもらえたことが嬉しかったのか、少し微笑んでから就寝しました。

最後に市川が、自分が山田の後で風呂に入った時に香菜の使用済みパンティーは脱衣場に置いたままであり、その時に山田の脱いだ服は洗濯機の中で回っていたので、その後に着替えた形跡の無い山田はどうやら寝間着の下はノーブラでノーパンであったと気付き、そんな山田とずっと寝室で2人きりであったと考えてまた頭が爆発してしまうというオチで今回は終わり、次回に続きます。それにしても初めて泊まった男の家でノーブラでノーパンとは、山田もやっぱり頭がおかしくて最高ですね。

 

 

薬屋のひとりごと

第20話を観ました。

今回は前回に引き続き盛り上がりましたね。ただ予想していたほどには盛り上がらなかったが、長編作品なので、まぁこれぐらいのペースでも仕方ないのでしょう。一気にクライマックスというわけにはいかない。とりあえず祭事場の柱の落下事件の解決は綺麗に済ませて、羅漢の問題や壬氏の正体の問題は据え置いたまま、最後は猫猫が再び後宮勤務に戻るという展開となって次回以降に話が続いていきました。この後のラスト4話は楼蘭妃の問題の解決ということになるのでしょう。おそらく楼蘭妃が祭事場の事件にも絡んでいるのでしょうけど、単に黒幕であるというわけでもなさそうです。ひとまず次回は緑青館絡みの話でちょっと息抜き話なのかもしれませんが、おそらくは息抜き回と見せてラスト3話に繋がっていく話なのでしょう。

まぁ結局のところ、後半クールに入ってからの外廷勤務の地味な展開はこの祭事場事件という山場に繋げるためのものであって、それが終わればもう地味な外廷勤務の話は意味が無いので、前半クールの華やかな後宮メインの展開に戻ったということなのでしょう。祭事場事件という山場で伏線回収されたことで全て良しとするか、この程度の盛り上がりのためにはちょっと地味な展開が過ぎたのではないかと見るか、人それぞれなんでしょうけど、私は後者です。

これは原作小説を読んでいる人は圧倒的に前者であろうことは分かる。小説は一気読みが出来ますし、羅漢のことも壬氏のことも先の展開を知っているでしょうから。そうした原作小説で「面白い」と思った人は、それがそのまんまのペースでアニメ化されて大満足だと思います。そして、原作小説あるいはコミカライズのファンがもともと非常に多く、そういう人たちが主に視聴している作品ですから、そうした需要に応える作り方が正解なのであり、マーケティング的にはこの作品は大成功していると思います。そこに文句をつける気は毛頭ありません。ただ、此処はあくまで私の個人的な感想や評価の場ですから、アニメ初見勢である私の個人的見解としては、年が明けてからのおよそ1ヶ月半も地味な展開を見せられたのはマイナス評価とせざるを得ない。ここから巻き返しがあったとしても、今期の覇権というレベルにまでは届かないでしょうね。ただもちろん良作であるとは思います。

それで今回ですが、まず猫猫は生きていて怪我も骨折とかはしていなかったみたいですね。だいぶ縫ったみたいですけど。それで目を覚ました猫猫に壬氏が事情を聞くと、猫猫は自分の推理を説明します。それはほぼ前回描かれた通りで、2人の役人の不審な事件とボヤ騒ぎは祭具を盗みやすくするための工作であり、祭具を盗んだのは祭事場の柱を吊るす金具に細工をするため。ここに彫金細工師が絡んでいることについては前回は示唆された程度でしたが、今回はより具体的に説明されました。あの彫金細工師は熱によって溶ける合金を作る秘伝の技術を有していたことは遺品のトリック解明の時に明らかになっていましたから、それを知っていた猫猫はその特殊な合金で盗まれた柱を吊るす祭具の代用品を作ったのだと推理したのです。そうすれば祭事場で燭台のロウソクなどで火を燃やせばその熱で合金の祭具が溶けて柱が落下するという仕掛けです。おそらく彫金細工職人はそんな陰謀は知らず依頼されたまま作ったのだろう。そしておそらく口封じのために事故に見せかけて殺され、だから秘伝を伝えることなく亡くなったのでしょう。これで全部繋がりました。

ただ1つだけまだ繋がっていないピースがあります。それはボヤ騒ぎを仕掛けた動きに関与していたであろう翠苓です。だが猫猫は翠苓のことについては壬氏に伝えなかった。もし憶測で暗殺未遂事件の容疑者として拘束されて拷問でも受ける羽目になったら翠苓が気の毒だと思ったのでしょう。そもそもそこまでして翠苓を追い込むほどに猫猫にとってこの暗殺未遂事件が重大な事件というわけではない。猫猫が狙われたわけではないのだし、未遂で済ませたのだからもうそれで良しとすべき事件です。これ以上自分の言葉で誰かが傷つくことは無いようにしたいと猫猫は思ったのでしょう。そもそも壬氏も自分がどうしてその場にいて狙われたのかについて猫猫に全く説明しておらず、そんな状況で猫猫が翠苓を追い込んでまで事件に深入りする必要性など無い。

壬氏も壬氏で宦官になり切るための勃起不全薬など呑んでいたりして、実際は宦官ではないことも今回は明示されましたが、その正体についてはまだ明確には描かれていない。まぁ阿多妃の事件の際の描写で、ほぼ阿多妃の産んだ帝の第一皇子であることは視聴者には推測出来ていますけど、今回の描写を見ると、もしかしたらちょっと違うのかもしれないとも思えてきました。何にしても現時点では壬氏は猫猫に正体を明かしていない。

今回のメインはこの後に描かれた翠苓の死の真相です。猫猫は壬氏には翠苓の件は言いませんでしたが、ボヤ騒ぎの方の捜査をしている李白には翠苓に辿り着くヒントは与えていました。ボヤ騒ぎに関与した容疑程度ならば翠苓が酷い拷問を受けたりしないと思っていたのでしょう。ところが李白が翠苓に辿り着き官吏が翠苓の部屋に押し込むと翠苓は毒を呑んで自殺していた。だが翠苓がアサガオを植えると言っていたことを思い出した猫猫はその自殺に違和感を覚える。

猫猫はそのアサガオというのは「チョウセンアサガオ」つまり「曼荼羅華」ではないかと疑う。曼荼羅華はアルカロイド系の毒物を抽出出来るので、ならば翠苓はその毒で自殺したことになる。暗殺事件に関与していた翠苓がそれが露見した時に自らの口を封じるためにあらかじめそうやって毒物を入手していたのだと考えれば違和感は無いようには思える。しかし猫猫は翠苓が自殺するような人間には見えなかったので、ある疑惑を抱いて翠苓の死体の検分に行く。すると翠苓の死体は無くなっていて別人の死体にすり替えられていた。それを見て猫猫は翠苓は一旦は仮死状態になった後で復活して自分の足で歩いて脱出したのだと推測した。これはフグ毒とアルカロイド系毒物の拮抗作用を利用したトリックで、「ゴールデンカムイ4期」でも同じトリックが描かれていましたね。

これで翠苓が暗殺事件に関与していたことは明らかとなりましたが、翠苓の単独犯ではなく組織的な犯行であるのは間違いない。だが翠苓が逃げてしまったので真相は闇の中です。しかし当局はそのまま替え玉の死体を火刑にして「翠苓の単独犯行だった」ということで話を収めてしまった。そこにどういう政治的な意図があるのかは不明です。単に騒ぎを大きくしたくなかっただけかもしれないし、陰謀を隠蔽したがった者がいるのかもしれない。とにかくこうして事件は終わり、羅漢の立ち位置もよく分からないままだった。ただ壬氏は羅漢が猫猫の父親であることに気付き、猫猫が羅漢を避けていることも気付いたので、羅漢と接触する危険が少ない後宮勤務に猫猫を戻すことにして、猫猫は再び玉葉妃のもとで毒見役として働くことになった。そうして今回は最後に次回の前フリで緑青館の3人の高級妓女のうちの1人が身請けされるという話が出たところで終わり次回に続きます。