2023年冬アニメのうち、2月27日深夜に録画して2月28日に視聴した作品は以下の4タイトルでした。
虚構推理 Season2
第20話を観ました。
今回から長編エピソードの開始です。おそらくこの長編エピソードでこの第2期の最終話である第24話までいくのでしょう。つまり、おそらく第2期の最終編です。この長編エピソードの出来次第で第2期の評価が定まるでしょう。それで今回はその長編エピソードの導入編であったわけですが、感想としては「とても面白そう」という感じ。今回を観て、この長編エピソードがすごく面白くなりそうに思えた。そういう意味では長編エピソードの導入編としては上出来だったのだと思います。
ただ今回のエピソード自体が面白かったのかというと、それはそうでもない。本題は次回から始まるという感じで、今回はホントに導入だけという感で、まだお話が動き出しておらず、状況説明に終始しただけでした。また、次回以降にしても「面白くなりそう」と思えたのはほぼ直感であって根拠はほとんど無い。それほど今回は次回から始まる本題部分がどうなっていくかについてのヒントには乏しかった。「面白そう」という私の感想は、具体的に面白くなりそうなポイントを発見した上での感想なのではなく、今回示唆された次回から始まる展開が、あまりにも今まで観たことがないような珍しいタイプのストーリーなので「一体どうなるのだろう」という強い興味を惹かれたからに過ぎない。
つまり未知の展開への好奇心であり、強い引きを作ることが出来たという意味では導入編としては大成功であり、これだけ引きの強い導入編を作れるのだから、さぞ次回からの本題部分も面白くなりそうだと直感させるものはある。これまでのこの第2期のエピソードがどれもソツの無い内容だっただけに、今回も期待していいんじゃないかとも思っている。ただ、未知の展開だけに、本当に面白くなるかどうかは実際のところ観てみないと分からない。大失敗に終わる可能性も十分ある。だから、この長編エピソードがどうなるかは次回以降の内容次第でしょう。
そして今回も導入編としては出来は良かったものの、単体エピソードとしては可も無く不可も無くという程度の内容でした。相変わらず個々のシーンでの描写は魅力的な部分も多いのですが、ストーリー自体は淡々と進んでいて山場が無かった。まぁ地味な回だったと言っていいでしょう。前回と前々回の電撃ピノッキオ編も、その前の自殺アパートの話も、確かに面白かったのですが少し地味な話でした。その前の3話連続の雪女編は抜群の出来でしたが、その前の第2期の初回は可も無く不可も無いキャラ紹介回であり、ここまでのラインアップを俯瞰した上で、今回の導入編が地味めな感じであったことを受けて、ここで一旦SランクからA+ランクに降格させておいて長編エピソードでの巻き返しを期待したいと思います。
いや、私はこの作品はSランク級のポテンシャルの作品だとは認めてはいるんですけど、でもやはり私のランキングのSランクはそう安いものではないということで、現状のこの作品の第2期通しての総合的実績ではギリギリSランクには届かないと考えておきたいと思います。まぁほぼ毎クール、終盤の追い込みでSランクに滑り込む作品というのはあるもので、この作品もそうなってくれることを期待したいということです。実際、この長編エピソードは自殺アパートの話や電撃ピノッキオの話とは一味違う、より面白いものになると期待しています。もしこの期待が裏切られるようなことがあれば、どっちにしてもSランクから落ちるのは間違いないわけですから、今の段階で一旦A+ランク最上位で待機させておいても支障は無いと思いました。
それで今回の内容ですが、琴子が音無剛一というホテル王に呼び出されて、ある依頼をされるという話です。剛一氏は元はそのホテル会社の社員だったが、社長に見込まれて跡取り娘の婿に迎えられ、その跡取り娘のすみが次の社長になって経営の才を発揮してグループを大きくしたのだという。剛一氏は妻であるすみを夫として部下として支えていたわけだが、最終的にはこのすみの経営拡大路線が裏目に出て巨大化したグループは危機に陥ってしまい、更にはすみは自分の子供3人の人生も支配して歪めようとしており、音無家という家庭も崩壊寸前となってしまっていた。
だがそうした危機的状況にあった23年前、突然すみが路上で強盗と思われる人間に刺されて死んだ。その結果、社長を継いだ剛一氏の手腕によって経営は縮小健全化されグループは持ち直した。また音無家の子供3人も母親の強圧的な支配から解放されてそれぞれが自分の望む道を進み幸福を掴んだ。そしてすみを殺した犯人は未だ捕まっていない。それが表面的な事実である。だが今回、琴子を呼び出した剛一氏は、その23年前の事件で妻を殺したのは実は自分なのだと突然の告白をする。そこから今回の物語は始まる。
琴子は最初はワケが分からなかった。すみ氏が殺されて剛一氏が社長に就任するという流れである以上、いくら遺族とはいえ剛一氏は不審な殺人の被害者の利害関係者です。警察もバカではないから当然剛一氏に疑いをもって捜査したでしょう。自分で殺したという線も他人を雇って殺させたという線も洗ったはず。もし疑惑が濃厚であったなら剛一氏の社長就任は有り得なかったでしょうから、すんなり剛一氏が社長を継いでいるという事実は、いくら調べても剛一氏に怪しい点は見当たらなかったと警察が判断したということを意味します。
仮に剛一氏が警察にも解明出来ないような完全犯罪を成功させたのだとして、せっかくそうして無罪になった罪をわざわざ告白する理由が分からない。殺人罪の時効は無いので、いくら23年前の殺人であっても露見すれば逮捕されてしまう。昔は殺人罪にも時効はあったが法改正によって時効は廃止された。その法改正の時点でまだ時効が成立していない過去の殺人にもその時効の無効は適用されるから、23年前の殺人の場合はその法改正の時点でまだ時効は成立していませんから時効は無い。つまり殺人の罪を告白して、それを聞いた琴子が警察に通報すれば剛一氏は逮捕されてしまう。
罪の意識に耐えられなくなって殺人の事実を告白したという可能性もあるが、その場合は自分で警察に行って殺人を告白して自首すればいい。自首するかどうか迷っているのなら家族や信頼出来る知人にでも相談すればいい。どうして初対面の自分をわざわざ呼びつけてそんな話をするのか、琴子には意味が分からなかった。だが、剛一氏の話を続けて聞いて、どうして自分がそのような話を聞かされているのかについては納得がいった。剛一氏はこの世の物ならざる怪異である妖狐と取引をして妻のすみ氏を殺してもらったのだと言うのです。
23年前、すみ氏のせいで行き詰るグループや家族の状況に絶望した剛一氏は雪山で「すみさんさえいなくなれば」と叫んだ。するとそこに妖狐が現れて、すみ氏を殺してやる代わりに妖狐の指定した山の開発をするようにと取引を持ち掛けてくる。なんでもその妖狐の敵対する妖狐勢力の拠点の山なのだそうで、人間が開発することでその拠点を潰して敵対勢力を弱体化させたいという思惑があるようでした。それで剛一氏はその取引に乗って、妖狐はすみ氏を殺害し、剛一氏は妖狐の指定した山を買い取り開発した。そしてその後、社長を継いだ剛一氏の手腕でグループは立ち直り、子供たちも母親の支配から自由になり幸せになったのだという。
その話を聞いて、琴子はわざわわざ見ず知らずの自分を呼び出してホテル王がそんな冗談を言うはずもないと思い、それは本当の話なのだろうと思った。もし妖狐がすみ氏を殺したのならば犯人が捕まらないのも納得がいくし、剛一氏との接点が出てこないのも当然です。ただ、これは怪異としてやってはいけないことであり、剛一氏も人間として犯してはならないルール違反をしている。だからこそ自分が呼ばれているのだろうということも琴子には合点がいった。琴子はそうした怪異と人間の間で起こるトラブルの調停人だからです。
但し、琴子はあくまで「怪異の知恵の神」なのであり、怪異側に立つ者です。琴子が相談に応じるのは怪異の側から持ち込まれた案件なのであって、人間側からの相談には基本的には応じない。室井氏の一件は雪女からの依頼があって動いたことであるし、電撃ピノッキオの件も化け猫からの依頼で動いたものです。自殺アパートの件はそうした琴子の通常業務とは別件で、六花の捜索の過程で立ち寄ったアパートで善意で管理人カップルに安心感を与えてトラブルが大きくなるのを未然に防いだだけであり、誰かの相談に応じて何か大したことをしたというわけではない。1期で描かれた大蛇の話や鋼人七瀬の事件も全て怪異側からの相談案件でした。まだアニメ化されていないエピソードの中には怪異から持ち込まれた相談ではないケースもあるが、それらも現在進行形で怪異にトラブルが起きてしまっている件か、六花絡みの案件か、あるいはほんの些細な出来事であり、この剛一氏の関わった23年前の殺人事件のような、現在特に怪異側にトラブルが生じていないような案件で、どうにも面倒臭そうな人間側からの相談に琴子が応じる必要性は全く無かった。人間社会においては、あくまで岩永琴子という人間が「怪異の知恵の神」であるという事実は秘密としておくべきことなのです。
それで琴子は「妖狐などという非科学的なものが存在するはずがない」としらばっくれてカマをかける。それで剛一氏が揺らぐようであれば大した確信も無く自分を呼んだのであり、それなら簡単に誤魔化せて帰れると琴子は思ったのです。だが剛一氏はホテル業務という仕事柄、怪異の存在は確信していると言う。ホテルには様々な人物が出入りして事件や怪死の舞台になることも多く怪奇現象や幽霊の話も多い。そうした経験上、剛一氏は怪異の存在はもともと確信しているのです。それゆえ琴子の揺さぶりは通用しない。怪異の存在を確信していて、それで自分を呼びつけているということは自分の正体についても何か知ってのことなのだろうと思いつつ、それでも琴子は「何故その話を私にされるのです?」とまだしらばっくれてみる。すると剛一氏が琴子が怪異について相談に応じているということは一部では有名なのだと答える。
やはり、今まで関わった事件の関係者などから漏れ出た噂によって琴子のことを知る人間も多少存在しており、剛一氏はその噂を聞きつけたのだろう。だが、それでも琴子は「確かに親のツテで相談を受けることはありますが、いずれも合理的な説明の出来るものです」と、あくまでしらばっくれて自分は怪異の存在など信じていないし怪異に詳しい者でもないというふうに見せかけようとする。まぁそもそも「合理的な説明の出来る」というのは嘘ではない。これまでの事件というのはいずれも実際は怪異の仕業なのだが合理的な説明も出来るので、琴子が合理的な説明で人間側には真実を隠蔽しているのです。だからここでも「合理的な説明の出来るものです」と言い切るというのは琴子のスタンスとして正解なのです。
だが、剛一氏が琴子が怪異の知恵の神となった経緯まで把握しているということを知り、琴子は観念しました。そんなことまで知っているということは、よほど自分について詳しく調べたに違いない。だからしらばっくれても意味は無いと思えた。そして、そこまで知ってなおかつ内密に相談事をしてきて、自分の話を信じてもらえると見込んでいるのだと言ってくる剛一氏が自分の秘密を探ろうとして近づいてきているわけではないということは琴子にも分かった。ならば真摯に剛一氏の話を聞いてみても良いのではないかと思えた。そもそも剛一氏がどうして殺人の告白をしたのかという謎はまだ残っており、その理由には琴子も純粋に興味は惹かれました。
それで剛一氏にこれまでの経緯の説明を受けて、妖狐がすみ氏を殺害した結果、全てが上手くいったということを知った琴子は、ならばそれでいいじゃないかと思った。その後、妖狐との間にトラブルが起きたという話も無く、結局は何のトラブルも起こってはいない。琴子はトラブルの調停人ですから、それなら自分の出る幕ではないと思った。
だが剛一氏は「全てが上手くいった」ということが問題なのだと言う。「殺人」というタブーを犯してしまい、その結果本当に全てが上手くいってしまったので、「殺人」がトラブル解決のための有効な手段だと認識されてしまっている状況が問題なのだというのです。「殺人」は本来は誤った手段であり、そのタブーを犯したことで報いを受けて不幸になるべきです。それなのに殺人を犯して全てが上手くいって報いを受けていない状態は間違っている。この世の秩序に反している。そのような秩序に反した状態をそのまま放置しておくことは将来的により大きなトラブルの原因になる。それが剛一氏の持論でした。
それを聞いて、琴子は確かにその通りだと思った。琴子が怪異の知恵の神としてトラブルの解決にあたって、嘘をついてまで合理的な説明で人間たちを煙に巻いているのは別に怪異たちの存在を隠すことが本来の目的ではない。人間が怪異を認識するようになり怪異と深く関わることで、例えばこのように怪異を使った完全犯罪などで人間社会で本来報いを受けるべき罪が報いを受けないというような秩序の乱れが生じて、そういうのが積もり積もって大きなトラブルの原因となっていくことを阻止することが琴子の活動の本来の目的でした。だから、そういう意味ではこの事件は「何のトラブルも起こっていない」と言って簡単に捨て置いて良い話ではなかったのだと琴子は気付かされた。
だが、この話の根本には「殺人」を自覚しているのは剛一氏と妖狐だけだという問題がある。まぁタブーを犯した妖狐の処分は後で考えるとして、剛一氏に関しては「殺人は報いを受けるべきタブー」だと既に強く自覚して深く反省している様子です。ならばこの世の秩序には大して悪影響は無いのではないだろうかと琴子は思った。少なくとも自分の出る幕は無いように思えた。しかも剛一氏は現在、全身が悪性の癌に冒されていて余命1年だという。1年後には全身を激痛に苛まれて悲惨な最期を迎える。そして、そのことを剛一氏は殺人というタブーを犯した自分への相応の報いだとして納得して受け入れており、むしろ自分にこうして報いが下されたことでこの世の秩序が保たれたと感じて安堵しているのだという。それを聞き、琴子はならばますます結構なことではないかと思った。剛一氏がこの世の秩序を大切に思い、自分の犯した過ちを深く反省しているだけでなく、実際にそのように罰まで下されたのであるから、これでこの世の秩序は安泰だと思えた。
将来的な「秩序の乱れ」というものは、現在「秩序の乱れが放置されている」という人の認識によって引き起こされるものだが、この件に関する「秩序の乱れ」を認識しているのは剛一氏と妖狐だけであるのだから、剛一氏が自分の罪を自覚してしっかり罰も受ける以上、あとは妖狐さえ処罰すればもう将来的な「秩序の乱れ」も起こらない。ならば自分のすべきことは妖狐の処罰ぐらいのものだろうと琴子は思った。しかし妖狐の方は人間社会に関わっておらず剛一氏にも今は関わっていない。ならば、一体何を剛一氏は心配して自分に相談を持ち掛けているのだろうかと琴子は不審に思った。
それは「子供たちが心配だから」というのが剛一氏の答えでした。3人の子供は「母親の死によって上手くいった」という成功体験を持ってしまった。だから将来大きなトラブルに直面した時に誰かを殺して解決しようとしてしまうかもしれない。道徳的に間違っていることは明白ではあるが、それでも「成功体験」というものは大きい。ギャンブルにのめり込む場合と同様で、どんなに間違っていることでも、どんなに危険なことでも、人間は「あの時は上手くいったじゃないか」という成功体験の甘い蜜に逃げ込み過ちを犯すものです。
もちろん子供たち自身が母親であるすみ氏を殺したわけではない。だが「誰かが母を殺してくれたおかげで自分は上手くいった」という成功体験を持ってしまったのは事実です。だから将来どうしようもないトラブルにぶち当たってしまった時に「あの時の母親の時みたいにアイツを誰かが殺してくれたら全部上手くいくのに」と思ってしまう可能性が高い。そしてそういう願望は願望のままでは事態の打開に繋がらないので、子供たちはその願望が実現するように行動を開始する可能性も高い。「母親を殺した誰かだって結局捕まらなかったじゃないか」「だからきっと自分だって大丈夫」だと、切羽詰まった状況で子供たちは思い込んで凶行に走ってしまう可能性が高い。そういうことを剛一氏は危惧しているのです。それを聞いて、なるほどそれは有り得そうな話だと琴子も想い、それは確かに怪異と人間が共謀して起こした事件に起因する将来的なトラブルなのであり、それを未然に防いでこの世の秩序を守るのは自分の果たすべき役目なのだろうと思った。ただ、一体どうしたら子供たちのそうした悪しき成功体験を否定することが出来るのか、琴子には分からなかった。
だが剛一氏はそのための有効な方法を考えているという。それは子供たちに「父親が母親を殺したのであり、その報いを受けて父親は悲惨な死に方をした」という事実をまざまざと見せつけることだという。確かに1年後に剛一氏は悲惨な死に方をするのであり、子供たちは現時点では剛一氏の病気のことは知らないが、1年後にはそれを嫌でも間近に見て父親の悲惨な姿を見て心に深い傷を負うことになるだろう。その深い傷と共に「これは父親が母親を殺して幸せになろうとした罪への報いなのだ」という認識を心に刻むことによって、子供たちは「自分の幸福のために人を殺すという行為だけは絶対にしてはいけない」と深く自戒することだろう。そうして、23年前の殺人から生じたこの世の秩序の歪みは正され、子供たちも真に幸福な人生を送ることが出来るようになるというのが剛一氏の計画でした。
だがこの計画には1つ大きな難点がある。それは子供たちは「父親が母親を殺した」とは思っていないことです。その前提が無ければ「父親が報いを受けて死んだ」という認識は成立しない。ただ剛一氏が「私が妖狐に頼んで妻を殺してもらった」という真実を告白したところで子供たちはそんな非科学的な話は信じないだろう。もちろん警察も信じないし、誰も信じてくれないだろう。また剛一氏自身は強固なアリバイがあるので自分で殺したと言っても嘘だとすぐバレてしまう。誰か他人に頼んで殺してもらったと言っても、そんな他人は存在しない以上、そんな嘘もすぐバレてしまう。そこで「剛一氏がすみ氏を殺した」という事実が納得出来るような嘘のストーリーを作って子供たちにそれを納得させるしかない。
琴子はてっきり自分がその「嘘のストーリー」を作って子供たちの前で披露すればいいのかと思っていました。それは琴子がいつもやっていることそのものだったからです。だが剛一氏はそれではダメなのだと言う。父親が母親を殺したというトンデモない話なのです。他人が作った話を聞かされても子供たちは簡単に信じようとはしないだろう。だから子供たちに自分でストーリーを作らせなけれいけないのだと剛一氏は言う。自分で想像して作ったストーリーだからこそ、子供たちはそれが真実だと納得することが出来る。そこで剛一氏は子供たちに「23年前に剛一氏がすみ氏を殺害した」ということが真実だと告げ、それを成立させるストーリーを考えるようお題を出し、最も優れた答えを出した者に遺産相続の優先権を与えるということにした。
琴子の役割は、その3人の子供の出す答えのどれが優れているのか判定する役目、および子供たちから相談を受けてより良き答えを出せるよう助言する役目なのだそうです。そうなると結局、琴子があらかじめ「誰もが納得出来そうな嘘のストーリー」を考えていき、子供たちの出した答えをそれに合わせて微修正していくという感じになりそうです。
ただ、どうも琴子は釈然としない部分もあった。確かにより良き答えを導くために自分は有用であろうし、第三者の判定人も必要であろうとも思えた。だが別に自分でなくても務まりそうに思えた。自分の素性をあそこまで調べて依頼してきたにしては大した役目ではないように思えた。まぁ自分でなければそもそも妖狐の話を信じて相談に乗ってくれなかったであろうことは分かるが、子供たちに奇妙なお題を出す会合の立会人や判定人というだけならば他に引き受け手はいそうなものだと思えた。どうして剛一氏が自分をわざわざ指名してここまで見ず知らずの自分に遺産相続に関わる重大な役目を任せようとしているのか、どうにも琴子には不審に思えました。
そもそも不審であったのは、剛一氏が自分の病気や余命のことを子供たちに告げていないことでした。むしろ「自分が妻を殺した」という告白や「その報いを私は受けるのだ」ということを真実味をもって子供たちに伝えたいのならば、自分が病気で余命いくばくも無いということを告白した方が有効なはずです。子供たちは死期を悟った父親が冗談でそんなことを言っているわけではないと思って真剣に話を聞いてくれることでしょう。それなのにそのことを隠そうとしているのは、剛一氏に別の思惑があるようにも思えた。それは遺産相続に関わる何かであるようにも思えた。そもそも遺産相続の関係者を一堂に集めてお題を出して一泊して翌日に解答を披露するという舞台装置は、いかにも何か事件でも起きそうな予感もします。
ただ、それでも確かにこの世の秩序の調停人として自分にはこの事件に関わる使命があると感じて、琴子は23年前の事件の妖狐を特定して罰を与え、事情を聞き確かに剛一の話が真実だと裏を取った後、九郎と共に剛一氏の指定したホテルの一室に赴く。そこには剛一氏と、その3人の子供のそれぞれの家の代表者が集まっていた。長男の娘の音無莉音、長女の夫の藤沼耕也、次男の家からは次男本人である音無晋の3人です。そうして剛一氏がお題を出し、ゲームスタートとなったところで今回は終わり、お話は次回に続きます。次回からいよいよ本題が開始で、どうもこのまますんなり終わりそうにない。期待しましょう。
ヴィンランド・サガ SEASON2
第8話を観ました。
今回はトルフィンの心理に焦点が当たったエピソードで、とても良かったです。ただ、まだ決定的なところが描かれておらず、次回に期待が繋がるような感じの話でしたね。やっぱり話がスローペースです。また、心理描写はすごく良いんですけど、物語はあまり盛り上がってきておらず、この作品の本来の持ち味がまだ出ていないように思えてしまう。これは第1期と第2期はそもそも違うのだという前提で考えるべきなのかもしれないんですが、どうしても第1期のイメージで第2期を評価してしまうんですよね。いや「第2期はコレだ!」という何かがハッキリと示されていれば、こんなふうに私もいつまでも第1期のイメージを引きずっていないと思うのです。だから、まだ第2期の確固としたイメージが示しきれていないのが要因だと思う。
それでも単体のエピソードとして今回もしっかり惹き込まれましたよ。冒頭でトルフィンが悪夢にうなされる場面が描かれますが、この悪夢の場面はこれまでも何度も描かれていて、大抵は戦場での残酷な様子をトルフィンが体感するというもの。だがトルフィンは夢の内容をいつもほとんど忘れているということが今回分かった。まぁ夢ってだいたいそんなもんですけどね。ただ今回はちょっとだけ崖を落ちていきそうになるという夢の内容を覚えていたり、譫言で「父上」とか「アシェラッド」とか言ってたのをエイナルが聞いたりしていたという。そして、どうもトルフィンは何か夢の内容で重要なことを忘れているような気がしているとのこと。
私たち視聴者が観ているトルフィンの夢の内容はいつもただただ残酷な戦場の描写であり、そのあたりが重要な内容だとは思えない。だから、まだ作中で描かれていない夢の内容があって、そこがトルフィンにとって重要な内容であるようです。そして今回、トルフィンが譫言で「父上」や「アシェラッド」と言っているにもかかわらず夢の中で父のトールズやアシェラッドが登場していないことから考えると、どうやらその夢の中の重要な部分というのはトールズやアシェラッドが登場するようです。しかしその内容は全く謎のままです。
ただエイナルはトルフィンの悪夢のことが気になって「アシェラッド」に関して身の上話を聞いてくる。それに応えてトルフィンは、アシェラッドが自分の父の仇で、仇を撃つために自分は戦士になったのだと告白する。そしてアシェラッドが自分以外の人間に殺されて自分は仇を撃てなかったこと、そして死んでしまったアシェラッドを今は憎んでいないこと、だからこそ憎しみだけで生きてきた今の自分は空っぽなのだということを打ち明ける。戦場以外の何も知らない、農業も知らないし雑用すらマトモにこなせない空っぽの人間なのだとトルフィンは自分を卑下する。
だが、そんなトルフィンに大旦那のスヴェルケルは「生まれ変わるつもりがあるなら、むしろ空っぽの方が良い」と言い、生まれ変わるためにはとにかく懸命に働くようにと言って励ましてくれる。またエイナルも今のトルフィンは戦士には見えないのだから、きっと良い方向に変わってきているのだと言って元気づけてくれる。
だが、そんな中でエイナルとトルフィンが開墾して麦を育てていた畑が荒らされる事件が起きる。やったのはおそらく農場の奉公人たちであり、麦は全部掘り起こされてダメになっていた。奉公人たちは畑仕事は「一人前の男」がやる仕事であり奴隷がやるようなものではないと言って、エイナルが農場に来てから開墾が進んでエイナルとトルフィンが農業をしていることが許せないようでした。やはりこの時代は農業は時代のエース産業であり、奴隷はそんなことはさせてもらえず雑用だけやらされるのが当たり前だったし、そんなことぐらいしか出来ないものだったのでしょう。だからエイナルという農業の名人の奴隷を農場主のケティルが優遇していることが気に食わない。それで嫌がらせをしてきたのです。
これに対してエイナルは激昂する。自分たちの麦を台無しにされたことも腹が立ったが、何よりもエイナルが腹を立てたのは、自分と同じ農夫である奉公人たちがせっかく育った麦を台無しにして農業を踏みにじったことが許せなかったからでした。それで激昂したエイナルが奉公人とところに殴り込みに行こうとするのをトルフィンは必死に止める。奴隷が自由人である奉公人を殴ったりしたら大変なことになると言って止めるトルフィンに対してエイナルが自分の麦畑を荒らされて腹が立たないのかと怒鳴りつける。だがトルフィンは自分にはそんな資格は無いのだと言う。自分は戦士だったから、ずっと荒らして破壊して奪う側だった。多くの罪を犯してきた。だからエイナルのように畑を荒らされて怒る権利すら無いのだと言う。そしてエイナルが奉公人を殺すというのなら自分はエイナルに百回は殺されるべき人間だと言うトルフィンが必死で説得することでエイナルも少し冷静さを取り戻す。
だが奉公人たちと道で出会った時、奉公人たちが「奴隷の作った麦なんて臭くて喰えたもんじゃない」と嘲笑してエイナルの麦を侮辱したのを聞き、エイナルを制止していたはずのトルフィンは思わず奉公人に対して怒りを爆発させて殴ってしまう。そして、そんな自分の行動に驚いて唖然としているトルフィンを巻き込んでエイナルと奉公人たちの喧嘩が始まり、乱闘の中でトルフィンの脳裏に父トールズが自分に何かを語り掛けてくる夢の記憶が甦ってくる。そしてトルフィンは崖を落ちていく夢を見る。そういうところで今回は終わりで、次回はいよいよ父トールズからトルフィンに向けた言葉の内容が明らかになることを期待しています。
犬になったら好きな人に拾われた。
第8話を観ました。
今回はポチ太が犬飼さんに学校に連れて行ってもらう話でした。カバンの中に隠れて入れていってもらい、あわよくば脱走して例の白衣女子を探そうという計画なのですが、犬飼さんの監視が厳しくてなかなか抜け出せません。それで女子更衣室の着替えシーンを覗くことになったり、カバンから抜け出すとクラスの女子の人気者になって抱きしめられたりする。結局、合法的に学校に来る機会を作るためにポチ太が謎の腹見せアピールをしたらどういうわけか文化祭のクラスの出し物が犬カフェになるという謎展開で終わりました。
いや、なんかそろそろ飽きてきたし、ネタ切れ感も感じてきました。15分アニメとはいえあまりにも話の進みが遅いし、無駄にいつもジタバタして、しかも規制マークばっかりだし、そろそろ観続けるのが辛くなってきた。続きを観たいともあまり思えなくなってきた。純粋な面白さで言えばA-ランクぐらいなんだけど、15分アニメはもともとよほど面白くないと観続けないですからね、この作品はこのあたりで視聴を切っていいんじゃないかと思います。そういうわけで今回で視聴を切らせていただきます。
ノケモノたちの夜
第8話を観ました。
今回はマルバスやウィステリア達がロンドンでスノーの手掛かりを掴もうとして動き回ります。ウィステリアの兄探しに手を貸せないマルバスはウィステリアを見守るだけで、ウィステリアが単独で頑張る。ホームズの仲間のワトソンと会ったりします。一方、ダンダリオンとシトリはロンドンで悪魔を多数出現させたりしており、ホームズのもとには剣十字騎士団の団長が来て協力を求めたりします。そしてウィステリアがシトリに襲われてマルバスが撃退し、シトリが悪魔化させた武波をけしかけたりして、マルマスがウィステリアの協力でフルパワーとなりシトリを圧倒しますがウィステリアが力尽きてピンチになるが武波はウィステリアがスノーに近いものを感じて戦いを止め、そこに剣十字の団長が来てシトリがピンチになるが、ダンダリオンが割って入ってシトリを連れていき、スノーは悪魔化されそうになったいたりして今回は終わります。
いや、なんかゴチャゴチャしていて、結局大して話も進まず終わってしまい次回に続くということで、どうも最初の印象と違う作品になってきてしまいましたね。序盤3話は1話ごとにちゃんとオチがついてて良かったんですけどね。話が進まなくて面白くなくなってしまいました。それにキャラも魅力に欠けるしアクションも良くない。これはちょっと続きに興味が無くなってきてしまいましたね。それほどダメダメな作品じゃないんですけど、私は8話時点で続きに興味が湧かない作品は切ることにしてますので、今回でこの作品は視聴を切らせていただきます。