2023冬アニメ 2月16日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2023年冬アニメのうち、2月15日深夜に録画して2月16日に視聴した作品は以下の4タイトルでした。

 

 

もういっぽん!

第6話を観ました。

今回は南雲の加入回。熱い青春部活モノという感じの良いお話でしたが、とにかくこの作品は話が丁寧に作られています。今回の様々な描写にはここまでのエピソードの描写から繋がっているものが多く、全く別の意味合いのシーンの中にしっかり今回の描写に繋がる要素が仕込んであり、物語が重層的に繋がっていることが分かる。

1話で未知が中学最後の試合の後で柔道を辞めるという話をする場面は未知と永遠の気持ちのすれ違いを描く趣旨の場面でしたが、その場面の最後で未知が南雲に敬礼する描写がさりげなく入れ込んであり、それが今回の話の最大の見せ場に繋がってくる。また、第1話の最大の見せ場は未知が永遠を投げ飛ばして柔道を再開することを決める場面だが、その前の場面やその場面内でもしきりに南雲が未知を剣道部に誘う描写が入れ込んである。それが今回のエピソードで明らかになる南雲の真意に繋がってくる。また、第3話での夏目先生と未知たちの出会いの場面は、あくまで夏目先生の見せ場として描かれていたが、その中で夏目先生のセリフに反応する南雲の姿がしっかり描かれていて、それが今回の南雲の決心に繋がっていく。また、第3話後半は主に永遠の心情を中心に描く部分であったが、その中にも南雲と永遠の対話シーンで永遠の心情をメインに描きながら南雲の心情も伏線として描かれていた。そして第5話の未知の試合の場面はあくまで未知の見せ場なのだが、そこに南雲を応援係として登場させることで互いに一番の理解者であることを示唆している。

このように、1つの話を展開しながら、その中に丁寧に別の後の方の話の伏線を仕込んでいて、今回は1話から5話までかけて成長した永遠が南雲の背を押す場面でも、1話から5話で描かれた永遠の様々な要素が活かされていたりして、話がリレー形式で繋がっている。そのように丁寧である一方で、大胆なダイジェストで話をテンポ良く進めながら、短いカットにちゃんと意味を持たせるのも上手い。原作漫画自体の出来が良いのだが、それだけでなく漫画のアニメ化が非常に巧いなという印象です。

まぁそういう作劇の巧さがストーリーを盛り上げているのは間違いないですが、今回のお話が感動的なのは、やはり未知と南雲の友情がストレートに描かれていることに起因する。ストレートというのは余計な要素が無いということです。プロになりたいとか、日本一になりたいとか世界一になりたいとか、上手くなりたいとか強くなりたいとか、人間的に成長したいとか、そういう要素は無いのです。確かに彼女たちは上手くなっていくし強くなっていくし、人間的にも成長もしていく。しかしそれらは結果であって、彼女たちの目的ではない。彼女たちのやりたいことは「限られた高校生活の中で仲間と一緒に1つのことに打ち込みたい」ということだけなのです。

この物語はそういうことを描く物語であり、非常にありきたりで地味な話です。「これは日本一を目指す少女たちの物語である」みたいなキャッチーで分かりやすい物語をブチ上げて、楽な近道を行こうとはしていないのです。この何処にでもいるような地味で平凡な部活女子高生たちのお話を面白く見せるためだからこそ、これだけ丁寧なストーリーが積み重ねられているのです。だからこそ感動できる。「世界一を目指す」なんていう薄っぺらいガワに対する熱狂なんかよりも、地味な物語を面白く見せるために積み重ねられたプロセスにこそ人は深く感動できるのです。

安直に凄い話を作って人を惹きつけようとする作品は多い。一方で、地味でイイ話を「分かる人だけ分かればいい」と気取って地味なまま終わらせる作品も多い。しかし、この作品は地味な話をちゃんと面白く見せようとものすごく努力している。ものすごくオーソドックスでベタなことなのですが、案外こういう王道なことをやる作品が最近は少ない。そこがこの作品の凄いところです。今回はまさにそういうこの作品の持ち味が最も明確に描かれたエピソードであったと思います。

冒頭は前回のラストシーン、武道場の場面の続きから始まります。前回、南雲は剣道部をインターハイ全国大会に導いた1年生エースとして称えられていて、本人も鼻高々でした。だが、その後は妙に元気が無い場面が描写されていて、未知たち柔道部の3人を羨ましそうに見る場面なども描かれていて、ちょっと3人と自分との間に距離を感じているように見えました。実際には4人で仲良くしているので仲間外れになっているわけではないのですが、柔道部としての共通目標を持つ3人との精神的距離を感じていたようですね。前回、未知との子供の頃からの思い出の写真などを物憂げに眺める場面もありましたから、おそらく南雲は特に幼馴染の未知との精神的距離が離れることが気になっていたのでしょう。

南雲と未知が初めて出会って友達になったのは小学校4年生の時だったというのは第1話で言及されていました。そして前回、南雲が以前に一度だけ剣道で全国大会に行ったのが小学校4年生の時だったということが南雲の父によって言及されていました。また今回、後の方の場面で南雲と未知の過去の回想場面がフラッシュバックしますけど、そこでトロフィーを掲げる南雲と未知が笑って一緒に映っているものがあったことから、南雲と未知にとって小学校4年の時の南雲の全国大会出場が大切な思い出になっていて、親交を深めたきっかけであったのかもしれません。

第3話でインターハイ予選の会場に向かう電車の中で永遠と乗り合わせた南雲が「剣道部は私が全国に連れていくから。柔道部はあんたが全国に連れていけ」と言う場面がありました。もちろん南雲はもともと剣道部で全国大会出場を目指していたのでしょうけど、わざわざ永遠にそんなことを言うということは、自分が全国大会に行くことが未知にとって特別なことであるという想いはあったのでしょう。何故なら永遠に「あんたが柔道部を全国に連れていけ」と言った言葉の意味は「未知を連れていけ」という意味だと受け取れるからです。つまり、南雲が剣道部を全国に連れていくことも、永遠が柔道部を全国に連れていくことも、両方とも「未知のため」という側面があるという意味の南雲の言葉だと解釈できるのです。

おそらく、小学校4年生の時に未知に出会って仲良くなった頃に南雲の全国大会出場を未知が喜んでくれたから、南雲はまた未知を喜ばせてあげようと思って全国大会を目指し続けていたのでしょう。特に高校に入って未知が柔道を再開して柔道部の早苗や永遠と一緒にいることが多くなり、少し未知との距離を感じるようになってからは南雲は特に頑張って全国大会出場を目指し、また未知を喜ばせてやりたいと強く思うようになっていた。

だが柔道部もインターハイ予選に出場することになり、しかも永遠が強いので全国大会出場も夢ではないように思えてきた。少なくとも未知はそういう夢を持つようになった。中学時代に早苗と2人で柔道部をやっていた時はそんなことは想像することもなかったが、高校に入って永遠が加わることによって未知もまた南雲同様に「全国大会出場」を目標とするようになった。そうなると自分が全国に行くだけではダメだと南雲は思うようになった。剣道部だけではなく柔道部も全国に行けないと未知は心から喜んでくれない。だから永遠に頑張るように南雲は言ったのです。

いや、南雲ももう半ば分かっていたのです。柔道部で全国大会出場という夢を持つようになった未知は、もう剣道部で自分が全国に行っても昔みたいには喜んでくれない。祝福はしてくれるだろうけど、それは未知にとって満足出来るものではない。柔道部を全国に連れて行ける永遠だけが未知を心から喜ばせることが出来るのだと。そう考えると南雲は少し永遠に嫉妬して、対抗意識が湧いてきた。だから、あの電車の中で永遠に対して言った言葉は「自分は剣道部を全国に連れていって未知を喜ばせてみせるけど、あんたは柔道部を全国に連れていって未知を喜ばせることが出来るの?やれるものならやってみせてよ」というちょっとした挑発も含んだものだったといえます。

そしてインターハイ予選が終わり、南雲は剣道部を全国大会出場に導いたが、柔道部は敗れてしまい全国大会出場はならなかった。つまり南雲は永遠との勝負に勝ったということになります。だが南雲のことを褒めて祝福もしてくれた未知でしたが、相変わらず頭の中は柔道のことでいっぱいで、早苗や永遠と柔道の話で盛り上がっている。それを見て南雲は虚しさを覚えた。自分が剣道で全国大会に行っても昔みたいに未知は喜んでくれて仲が深まるわけではない。未知が本当に求めているのは自分が柔道部で全国大会に行くこと、いやもっとシンプルに永遠や早苗と一緒に柔道部で柔道に打ち込むことなのだと南雲は思った。

それなのに未知にこだわって剣道をして、全国大会出場を決めても未知が振り向いてくれないからあまり喜べていない、こんな自分は本当に純粋に剣道に打ち込めているのだろうかと南雲は思った。子供の頃から打ち込んでいる剣道が嫌いになったわけではない。ただ、隣の柔道場にいる未知のことを気にしながらやるような剣道が、自分が高校3年間を費やしてやるべき剣道なのだろうかと南雲は自問自答した。

ただ南雲は剣道は好きであり、剣道によって自分の心を鍛えてきた。だから迷った時は剣道で迷いを振り切ろうと思い、テスト期間中だが朝の登校後コッソリ武道場に行き竹刀を振ろうとした。ところがそこに未知も来ていて、コッソリ柔道の練習をしていて、南雲が竹刀を振る横で未知がトレーニングをするという形となる。そこで未知は南雲が剣道を頑張っていることを褒めてくれて南雲は嬉しくなるが、未知は南雲にはインターハイを頑張るよう激励する一方で、自分達は夏の金鷲旗大会を目指すと言って張り切る。それを聞いて南雲はますます未知と距離が離れていくように思えて切なくなり、こんな気持ちでインターハイ全国大会に臨むべきだろうかとまた迷いが深くなる。それで思わず「もし私が剣道部を辞めるって言ったらどう思う?」と口走ってしまい、未知は予期せぬ南雲の言葉にビックリするというのが前回のラストシーンでした。

今回はその続きから始まり、未知は南雲が剣道を頑張ってたことを知ってますから、てっきり最初は冗談だと思いますが、南雲がやけに真剣な顔をしているので冗談で言っているのではないことに気付く。ところがそこに権藤先生がやって来て、テスト期間中は部活動禁止だと叱ってくるので未知と南雲は逃げるように武道場を出ていき、その話はウヤムヤになってしまいます。だが、ちょうど早苗と永遠もコッソリ練習しようとして武道場の外に来ていて、この南雲の言葉を隠れて聞いてしまうこととなり、2人もビックリします。

その後、中間テストのテスト中の教室の場面となり、南雲が古文の問題用紙を浮かない顔で見つめている場面が描かれます。この問題用紙には和歌が三首書いてあり、それぞれ「我が背子と二人し居れば山高み里には月は照らずともよし」「桜花今は盛りと人は言へど我は寂しも君としあらねば」「忘らむて野行き山行き我れ来れど我が父母は忘れせのかも」とあります。これらはいずれも万葉集の歌で、それぞれ「あなたとこうして2人でいれば山が高くてこの里に月光が差していなくても構わない」「桜の花が今が盛りだと人は言うけれど、私はあなたがいないので寂しい」「忘れようとして野や山を行きやって来たが父母のことは忘れられない」という意味です。一首目と二首目は相聞歌で、三首目は防人歌です。

ここはほんの一瞬の短いカットなので、あくまで象徴的な意味合いの場面であり、ストーリーの流れの中では大して意味は無く、後で見返してから意味が分かるという場面なのですが、一首目は「未知と一緒ならば全国大会出場という栄光など無くても楽しい」という意味、二首目は「剣道部のエースだと人は称えて期待してくれるが自分は未知と一緒じゃないので寂しい」という意味、そして三首目は「それでも自分の剣道部での活躍を喜んでくれる父や母のために頑張りたい」という、それぞれ南雲の心の中での葛藤を象徴しているといえるでしょう。

そしてテストの後、南雲が購買部に行くとパンが売り切れていて、カツサンドを2つ買って待ち構えていた永遠が南雲を誘って、2人は一緒に屋上でカツサンドを食べることになる。この時、永遠はテスト期間で部活禁止なのに柔道着を着ていて、永遠独特の「勇気を出すための着用」だと思われる。単にパンを買うために着ていたのかもしれませんが、ここでは「南雲と会話をする勇気を出すため」と解釈しましょう。朝に武道場で聞いてしまった南雲の「私が剣道部を辞めるとしたらどう思う?」という未知への問いかけを聞いて永遠は何か感じるところがあったようで、南雲に言いたいことがあるようですが、それを言うためには柔道着の着用が必要だったというわけです。

そういうわけで永遠は何かを南雲に言おうとしますが、南雲は全国大会を前に迷っている自分と永遠を重ね合わせるように、永遠に話しかける。永遠も柔道で中学時代に全国大会に出ていたという。それなら柔道強豪校に進学していれば今回のインターハイだって全国大会に行けたかもしれない。それなのにわざわざ未知を追いかけて弱小の青葉西になんて進学したものだから全国大会出場を逃してしまった。変わった子だと南雲は思った。だが永遠は「後悔したくなかったから」だと答える。中学時代、天音に謝りたいという気持ちを伝えられなかったこと、未知との最後の試合の後、一緒に柔道をやろうと言葉に出せなかったこと、それらをずっと後悔していたので、だから青葉西に進学して未知に会って最後の試合のことを謝って「一緒に柔道をやろう」と言おうと決めたのだと永遠は言う。

そして、そんな永遠の背を押してくれたのが南雲の姿であり、今でも永遠にとって南雲は憧れなのだという。中学最後の試合の後で初めて会った時も、電車の中で全国大会に未知を連れて行くように言われた時も、インターハイの未知の試合の時に永遠が攻めか守りか迷った時に南雲だけが迷いなく攻めるよう未知に声援を送った時も、南雲がいつでも自分の気持ちに正直で堂々と行動する姿を見て、永遠はカッコいいと思い、羨ましいと思ってきたのだという。自分の気持ちに正直な行動が出来なかったせいで永遠はずっと後悔ばかりしてきた。だから、これからは南雲のように自分の気持ちに正直に行動して、自分の正直な想いを相手に伝えて、決して後悔しないようにしようと心がけているのです。

そんな永遠の予期せぬ告白を聞いて、南雲はちょっと驚き、そして、わざわざそんなことを言うということは、永遠が柔道着に着替えて自分を屋上に呼び出して伝えたかったことがそれだったのだと気付いた。永遠は朝の南雲と未知の武道場での会話を聞いて、南雲が何か大き悩みを抱えて迷っているのだろうと思った。だから、いつもの南雲の調子で、後悔しないように自分の気持ちに正直な決断をしてほしいと伝えたかったのです。南雲は永遠に今朝の未知との会話を聞かれていたとまでは気付いていないが、自分の最近の様子を見て永遠が何か察したのだろうと思った。実際、インターハイ予選前から永遠は南雲の様子がちょっとおかしいことには気付いていました。だから今朝の件があってもなくても関係なく、いずれ永遠はこういうことを南雲に言っていたのかもしれない。そういうわけで南雲は自分が悩んでいることは伏せたまま、永遠に礼だけ言って去っていきます。そして、父や母のことや剣道部の皆のことに左右されるのではなく、自分が後悔しないように自分の正直な気持ちに従って決断しようと心に決めるのでしたが、まだその「自分の正直な気持ち」というのがどういうものかハッキリしなかった。

そうして帰宅して、夜に風呂に入って未知との思い出のことなど考えていると、スマホに未知からの電話がかかってくる。電話に出ると、未知は南雲の朝の話を聞いてから気になってテストに集中出来なかったとか言って文句を言ってくる。それで南雲はてっきり未知に反対されると思ったが、未知は「南雲が本気ならいいんじゃないか」と言う。剣道を辞めるなんていうのは大きな決断です。それを構わないなんて助言するのも並大抵の決断ではない。そんな重大な結論を出すほど、未知はテスト中にもかかわらず南雲のこの言葉のことを深く考え続けたのだといえます。そりゃ「テストに集中できなくなった」と文句も言いたくなるでしょう。でも、テスト中であろうとも大事な親友の悩みなのですから、未知としても真剣に考えざるを得なかったのでしょう。

そして未知は、あれほど剣道が好きな南雲が剣道を辞めると言い出すということは、剣道よりも他にもっと好きなものが出来たということなのだろうと思い、剣道を辞めてまでやろうとしていることならば南雲は真剣であるに違いないのだから、それなら別にいいんじゃないかと考えた。未知は南雲が剣道が強いから偉いと考えているのではないのです。南雲が好きなことを頑張るのが偉いと考えており、南雲の好きなことが剣道である必要は無い。剣道ではない他のことをやりたくなったとしても、南雲ならきっと頑張ってやり遂げるのであろうから止める理由など無い。

その未知の言葉を聞いて、南雲は未知が自分のことを深く信頼して尊重してくれていることを実感した。そして、そのおかげで「自分の正直な気持ち」が何なのかハッキリと分かり、未知の深い信頼が南雲を勇気づけて、南雲の進むべき道へ背を押してくれたのでした。そうして南雲は風呂から上がると、父親に大事な話があると言って竹刀を持って一緒に素振りをして自分の決断を伝える。それは、まず剣道部を辞めるということでした。それに対して父親は強く反対はしなかった。警察官である南雲の父親は職業柄ずっと剣道をやっていて、南雲は父の影響で剣道を始めたのであり、父親が無理にやらせていたわけではない。あくまで南雲がやりたいというから応援していただけであり、良い成績を挙げたので親として素直に喜んでいただけであり、別に強制してまで続けさせようという意思は無い。ただ、突然辞めるというから何か嫌なことでもあったのかという心配はあって、辛くなったのかと問いかける。

すると南雲は剣道は好きで、剣道部の皆も良い人ばかりだと言った上で、同じ場所で一緒に頑張ってみたい大好きな友達がいるのだということを伝える。それはつまり未知のことであり、同じ場所とは柔道部のことでした。未知は南雲の父親が警察官だから南雲にいつも敬礼で挨拶してくる。第1話での南雲初登場シーンでも未知は南雲に敬礼していたし、南雲の未知の思い出やその画像でも未知は南雲といる時によく敬礼をしていた。ただ、未知は南雲の父が警察官だからという理由でからかって敬礼をしていたわけではない。「カッコいいから」という理由で敬礼していたのです。カッコいいというのはもちろん南雲がカッコいいのです。好きなことを頑張る南雲がカッコいいから未知は敬意を表していつも南雲に敬礼していたのです。

そんなふうにいつも自分を信頼して尊重してくれる大事な友達である未知とは小学校4年生以来の長い付き合いになる。もしかしたらこれから一生交友関係は続くかもしれない。でも、一緒に何かに打ち込める機会はおそらくもうこの高校生活の3年間だけだということは南雲は何となく分かっていた。こんな大事な友達だからこそ、残された最後の3年間、同じことに打ち込みたい。それが「自分の正直な気持ち」だったのだと南雲は気付いたのです。

高校に入ってそうした想いが無意識に募ったからなのか、当初は南雲は柔道を辞めた未知をしきりに剣道部に勧誘した。3年間一緒に剣道部で頑張りたいという想いがあったのです。だが未知は早苗や永遠と柔道部を復活させて柔道に打ち込み始めた。それで南雲は寂しくなって未知にアピールするために剣道部で頑張って全国大会出場を勝ち取ったりしたが、結局は空しい気持ちになり剣道に集中出来なくなった。南雲も自分が最後の3年間、未知と一緒に部活をしたくて剣道部に勧誘したということを本当は分かっていたのです。剣道部員であることよりも未知と一緒に部活をすることの方が今の自分にとって大事だということも分かっていた。だが、それなら未知が剣道部に入らないのなら、南雲が柔道部に入るしかない。だが今さら剣道をやめて柔道を始めるなんて無理だと南雲は思っていた。だからそれは選択肢として発想されることはなかった。

だが、未知が「南雲が大好きな剣道を辞めてまで、もっとやりたいことなら大丈夫だ」と言ってくれた。好きなことをとことん頑張る南雲の強さ、カッコよさを誰よりも信頼しているから未知はそう言い切れるのです。それを聞いて南雲も勇気が湧いた。これからの高校生活3年間、未知と一緒にとことん柔道に打ち込む覚悟が出来た。そして父親に自分の想いを打ち明けることも出来た。翌日、剣道部の皆に相談して、自分の気持ちを伝えて、自分の抜けた後に問題が無いように筋を通すことも出来た。柔道部の顧問の夏目先生にも事情を話して受け入れてもらえた。

そして最後に南雲は武道場で未知たちに自分の決断を告げようとするのだが、未知は昨晩の風呂での電話の時の話で「南雲の剣道を辞めるほど好きなもの」をてっきりボーイフレンドが出来たのだと思い込んでからかってくるので、南雲もそれにペースを乱されてなかなか上手く説明できない。ボーイフレンドはいないこと、剣道部を辞めること、柔道部に入ることは説明したが、未知はおろか早苗も永遠も南雲の話の意味がよく分からないという状況になってしまい、改めて南雲が柔道部に入る理由を説明することになるが、自分の正直な気持ちを口にすることが出来ない。

すると、そこに永遠が駆け寄って、南雲の腰に黒帯を締めてくれる。かつて中学で柔道部に入った際に永遠は天音に柔道着を着せてもらい帯をギュッと締めてもらい「こうすれば勇気が出る」と言ってもらった。それを受けて、今でも永遠は勇気を出して自分の正直な気持ちを言う時には柔道着を着て帯を締めることでスイッチが入る。それで永遠は、柔道着は無いけど帯だけでも締めてあげることで南雲に自分の正直な気持ちを伝える勇気を湧き上がらせたのでした。永遠が普段は南雲の「自分の正直な気持ち」に素直に行動するところに憧れているだけに、このサポートは熱かった。

これに勇気を貰い、南雲はいつものカッコいい南雲に戻り、ビシッと敬礼を決めて「わたし、園田と部活したい!」と自分の気持ちを正直に伝える。これを見て、未知も南雲が本気だということが分かり、南雲の本気に敬意を表して敬礼を返して「いいんじゃん?南雲が本気なら」とニコッと笑う。南雲が本気でやるというのならきっと大丈夫だと全幅の信頼が込められた爽やかな未知の笑顔を見て、南雲も安心して敬礼しながら涙ぐみ喜ぶのでした。

そうして南雲は柔道部に入部したのだが、この後は日々の練習風景などのダイジェストシーンとなる。ここでのポイントは、まず南雲はしばらく柔道着は着ないで体操服のままで練習に参加して、受け身の練習ばかりやっていること。これは柔道初心者ならば当然のことなんでしょうけど、特に柔道着の着用も禁止というのは夏目先生の厳格さによるものでもあるのでしょう。柔道着を着ると、つい組み合ったりしたくなりがちなので、受け身がしっかりマスター出来るまでは柔道着は着せないということなのでしょうね。ただ、そういう指導を素直に受け入れながらも、それでも他の3人が柔道着で自分は体操着であるということに南雲が悔しい想いは抱いており、早く3人に追いつきたいと強く思っていることも伝わってくる。

そういう南雲の気持ちに応えるように、永遠は柔道の教本を南雲に貸してあげる。それは実はもともと天音が柔道初心者の頃の永遠に柔道を教えてくれた時に使っていた教本であり、中には天音や永遠による書き込みがビッシリで、ページには付箋がたくさん貼ってある。それを南雲は毎晩みっちり読んで柔道の技を研究した。また早苗は南雲の焦る気持ちに応えるように「柔道部スタンプラリー」というカードを作って渡してくれる。それは南雲のクリアすべき課題を12段階設けて、それをクリアするたびに柔道部員あるいは夏目先生のスタンプを押していくというもの。スタンプが12個押されれば柔道着を着ての練習開始となる。これで南雲もあとどれぐらい耐えればいいのか分かって基礎練習がやりやすくなる。

途中で体育祭の場面があり、部活対抗リレーが描かれる。これは余計なシーンのように思えるかもしれないが、これも南雲のやりたかったことなのだから、これでいいのです。南雲は柔道だけをやりたかったわけではなく、あくまで未知と一緒に部活がしたかったのです。体育祭で柔道部の4人でチームでリレーするというのも立派な部活の一環です。単に柔道をするだけなら卒業してからでも出来る。南雲が高校生活3年間、未知達と一緒にやりたかった「部活」にはこういう高校時代しか出来ないようなバカなことも含まれているのです。

そして6月の体育祭が終わり、スタンプが12個揃い、遂に南雲が柔道着を着ての初練習となりますが、そこで最初の練習が「投げる練習」じゃなくて「投げられる練習」というのが渋い。しかし南雲は投げられて「気持ちいい」と嬉しそうです。ずっと受け身の練習をしていましたから、投げられるだけでも楽しいものです。また、投げてもらうことで技を実地で研究することも出来ます。それで南雲ははりきって投げられまくりますが、投げる未知の方も大変です。そんな南雲を見て永遠は「自分だけ白帯だから早く皆に追いつきたいと思って張り切っている」と、自分もそうだったと言います。そして南雲は永遠から借りた教本の研究の成果もあり、未知と組みあって身体の動かし方のコツも掴み、もともとの運動神経の良さもあって、練習初日で見事に未知を内股で投げてみせる。これには皆もビックリします。また、剣道部員たちも南雲の柔道着が似合っていると言ってくれて、何のわだかまりもなく仲良くやっているのが観れて良かったです。

だが、7月末の金鷲旗大会には南雲は出場させないと夏目先生は言う。予選無しの全国大会である金鷲旗大会はいきなり強豪校と対戦する可能性もあり、経験の浅い南雲を出場させたら怪我のリスクがあるからだと夏目先生は言います。南雲の試合デビューは秋の大会まで待ってほしいという夏目先生の言葉を聞いて4人は表情を曇らせます。未知も南雲が文句を言うのではないかと心配するが、南雲は口を開き「貴重な3年間、棒に振るようなことになったら辛いですからね」と言い夏目先生の方針を受け入れます。このセリフは第3話で夏目先生が初めて未知たちに会った時に「たった3年の貴重な時間を棒に振るようなことがあったら辛いから」と言って生徒だけでの乱取りを禁止した時に言ったセリフと同じでした。あの時、夏目先生は未知と早苗に言って聞かせたのであって、南雲は傍で聞いていただけだったのですが、その「3年の貴重な時間を棒に振る」というセリフが、未知と一緒に何かやる残り時間が3年しかないという現実もあって南雲の胸に突き刺さっていたので、南雲はその夏目先生の言葉をしっかり覚えていた。そして、それが生徒を怪我から守りたいという想いから来ていることも分かっていたので、南雲はこれからの未知たちとの貴重な3年の柔道部での時間を守るため、無駄な怪我をして後悔しないために、金鷲旗の出場は諦めたのでした。

だが、そう頭では割り切っても、やはり出られないのは悔しい。「3人で頑張りなさい」と強がって言う南雲の表情が寂しそうであるのを見て、未知は「バカタレ」と南雲の頭を軽く叩き「試合に出られなくても4人で戦うの!あんたももう柔道部なんだから」と言って南雲を励ます。こうして柔道部は一丸となり、あと1ヶ月後に迫った金鷲旗大会に向けて張り切りますが、なんと金鷲旗大会は団体戦は5人チームだと知って未知たちは焦る。南雲が出られないので3人しか選手がいないからです。それで夏目先生に相談すると、夏目先生は出場できなくても登録選手が5人いればエントリーは出来るから大丈夫だと言う。しかし、出られない南雲も加えても部員は4人しかいない。どういうことだろうと未知たちが首を傾げると、夏目先生はもう1人アテがあるのだという。何でも去年柔道部が廃部になった時にいた元柔道部員が1人いるらしい。今回はここで終わりで、次回はその5人目の部員のお話になりそうです。

 

 

トモちゃんは女の子!

第7話を観ました。

今回はまず前半パートは淳一郎の過去回想で、10年前にトモと初めて出会った頃の話。これまでにも何度か言及されていた2人の子供時代の話の補完でした。東京から引っ越してきたゲームばっかりしてる都会っ子だった淳一郎が隣の家のトモに出会って、最初は野生児みたいなトモにゲームを壊されたりして酷い目にあうが、男気があって真っすぐなトモと友達になる。そしてトモの野生児みたいなムチャな遊びに付き合わされる日々が始まるのだが、ここで面白いのが、淳一郎はこの時期からトモに対して妙にドキドキしてることです。ただ、それに対して「おかしいだろ」と内心焦りまくっているところを見ると、どうやらこの頃の淳一郎はトモのことを完全に男だと思っていたみたいで、男が男にドキドキするのは変だと思って焦っていたっぽい。そういうことになると、淳一郎がトモのことを女だと初めて知ったのは何時だったのかという疑問が湧いてくる。中学入学時にトモがセーラー服で現れた時は否定的ではあったものの驚いた感じではなかったので、その前には女だということは知っていたと思われるのだが、今回のこの回想エピソードでは淳一郎がトモのことを女だと気付いた描写は無かった。

回想シーンはその後、子供の頃のみすずも登場して、悪魔のような性格で淳一郎を苦しめまくる。そして数ヶ月が経って淳一郎がすっかりトモと一緒にいることで自分も強くなったと思っていた頃、淳一郎が年上のイジメっ子にゲームを奪われてしまい、自分は本当はただの弱いゲームっ子のままだったと気付く。だがトモがイジメっ子に立ち向かってゲームを取り返してくれて、友達だから当然だと言うトモに対して淳一郎は惨めな気持ちになる。自分はトモのピンチに何もしてやれない。それではトモの友達とはいえないではないか。そんな情ない自分を変えるため、淳一郎はトモにそのゲーム機を預けて、自分がトモより強い男になったら取り返すと言って、トモの親父の道場に弟子入りして自分を鍛えていくことになったのでした。

そして、それから10年経った現在、まだゲーム機はトモの手元にある。トモはもうとっくに淳一郎の方が自分より強くなったはずなのに、どうして取り返しに来ないのかと不思議に思っているが、淳一郎はまだ自分はトモより強い男になれていないと思っている。それは前回も言及されていたが、身体の強さではなく心の強さの問題なのか、あるいはトモが女になってしまったので、超えるべき男のトモがいなくなってしまったせいなのかはちょっと不明です。

後半パートは水着回。みんなで海に行くという話。トモに水着を買わせて淳一郎と一緒に海に行かせようと画策したみすずとキャロルであったが、水着のトモを見た時の淳一郎のリアクションを面白がりたくて2人も一緒に海に行くことにする。しかし海水浴場に来ても全くテンションの上がらないみすずが笑える。トモの巨乳だけじゃなくキャロルの巨乳を見ても挙動不審になる淳一郎も可笑しい。要するにオッパイ好きすぎるだけじゃないか。そういえば前半パートの過去回想でもトモ母の巨乳に目が釘付けになっていたな。とりあえずみすずの貧乳イジリネタが今回は面白かった。

そして水着姿のトモがナンパされて、淳一郎が男を追い払うのだが、男に彼氏だと言われた淳一郎がトモに「彼氏と思われて迷惑だったよな」と謝罪する。これを聞いてトモは淳一郎が自分とカップルだと思われるのが嫌なのだと思って腹が立つ。一方でキャロルをナンパしている男達から助け出した時は彼氏だと誤解されてもスルーしていた淳一郎を見て、更にトモは怒るが、それは淳一郎がトモが自分とカップルだと思われたら迷惑だろうと誤解した上で、トモの気持ちを優先してくれているわけだから、むしろトモはキャロルよりも大切にされているということです。

淳一郎は本当は海でトモと子供の頃みたいに色んなことをして遊びたかったのだが、トモが水着姿で女丸出しでいるものだから、トモに触れられると調子が狂って、結局したかったことは何も出来ず面白くなかった。そんな淳一郎のつまらなそうな様子を見て、みすずはやはり淳一郎がトモのことを女性として見ているのだと確信します。

 

 

転生王女と天才令嬢の魔法革命

第7話を観ました。

今回はレイニの魅了の魔法についての謎解きとその解決から繋がって、ユフィリアが自分の生きる道を見つけるというような話で、まぁ上手くまとまったエピソードではあったと思います。正直言って、全編ほぼ魔法理論が多めで、あんまり好みの話ではなかったのですが、綺麗にまとまっていることが評価しないわけにはいかない。それから、やはりキャラクターの魅せ方は上手いですね。エロいところも含めてですが。どうも露骨に百合っぽいエロで売ってる傾向はあるんですが「王宮百合ファンタジー」と銘打っているわけですから、今さらそこに文句をつけても仕方ない。綺麗でいいんじゃないでしょうか。

最初はレイニがアニスの離宮に連れてこられてユフィリアと対面するんですが、ユフィリアはレイニに悪意が無かったという事情を知り、救いを求めてやって来たというレイニを快く受け入れます。そしてティルティの見立てによって、どうやらレイニは古の魔法使いによって生み出されたヴァンパイアの血統であるようで、本人も知らないうちに魔石を体内に持って産まれてしまい、自分で制御できないままにヴァンパイアの魔石の力で他人を洗脳してしまうみたいです。そこでヴァンパイアの魔石を活性化させることで逆に制御可能として、その結果、レイニは魅了の力を自分で制御出来るようになり問題はほぼ解決したが、副作用で身体のヴァンパイア化が進んでしまい、定期的に吸血衝動に駆られるようになってしまう。そこでイリアが定期的にレイニに血を吸わせることになった。

しかし、これで結局、ユフィリアがレイニをイジメていたという話はデマだったと証明されてしまい、更にドラゴン退治での功績もあって、ユフィリアの名誉は回復されてしまった。アニスがユフィリアを離宮に引き取ったのはユフィリアの名誉回復を図るための緊急避難措置だったのだが、もうその必要は無くなってしまった。ユフィリアがアルガルドと復縁するということは有り得ないから王妃にはもうなれないが、普通にマゼンダ公爵令嬢として名誉ある地位は得ることが出来る。だからアニスの助手として庇護される立場ではなく、ユフィリア自身が今後の自分の身の振り方を考えるべきだとティルティはユフィリアに忠告します。

そして、魔法省からアニスに魔学に関する講演依頼が来て、それは講演とは名ばかりで、アニスを吊るし上げて難癖をつけてドラゴンの素材を横取りしようという陰謀だと知り、ユフィリアはドラゴンの素材を使って空を飛ぶ新たな魔導具をアニスに作ってもらい、その有用性や王国にもたらす経済効果などを理路整然と説き、ドラゴンの素材を守ると同時に、魔学の有用性を魔法省の面々に認めさせる。更にアニスは無能者などではなく、アニスの才能こそが精霊の加護を受けたものだと説き、アニスの名誉回復も図ろうとする。ユフィリアはアニスの魔学と王国との橋渡し役こそが自分の生きる道を考えを定めたようです。

 

 

ツルネ ーつながりの一射ー

第7話を観ました。

今回は遼平と愁という意外な組み合わせの話でしたが、よくよく考えたら地方大会の時に愁の妹の沙絵と遼平は親しくしていましたし、遼平が愁の矢を借りたりしていたので、今回の2人の接触自体はとても自然な流れでしたね。ただ、この組み合わせが意外だっただけです。愁は桐先のエースで超エリートで、遼平は風舞では一番腕は落ちる弓引きですから。しかし、普段絡みそうにない組み合わせだけに、お互いが新鮮なものを感じて行き詰まりを打破することが出来たようです。

その前に今回は「息合い」についてのお話がありました。前回の女子部員たちの市民大会を見て「息合い」にますます興味を持った男子5人は、5人の動きを合わせれば「息合い」が出来るんじゃないかと思って試してみますが、上手くいきませんでした。滝川コーチは「息合い」に関しては基本的に5人に試行錯誤させて学ばせる方針みたいですが、5人の息を合わせたら、それは「息合わせ」になってしまい「息合い」ではないと言う。自然に息が合うから「息合い」なのだそうです。まぁ、だから5人に試行錯誤させるんでしょうね。滝川の指示に従って5人の息が合っても、それは自然に息が合ったということにはならないですからね。5人がそれぞれ試行錯誤した末に息が合ってこその「息合い」というものです。

それで、滝川は5人に試行錯誤の仕方だけ教えてくれます。それが呼吸法でした。いや一般に弓道における「息合い」というのはこっちの呼吸法のことを指すわけですが、体幹のブレを無くすために丹田で呼吸をコントロールし、その丹田呼吸を弓道の動作の中で安定させるというような感じ。これを可能にするためにはとにかく多く弓を引くことだそうです。ただ、前回の女子部員たちの描写を見る限りでは、息合いというものはそれだけのものでもないように思う。

ただ前回の女子部員たちの「息合い」はたまたまの産物という感じで、それが常にコントロール出来るようになって初めて「息合い」が出来たといえる。ならば、この滝川の言っているのは、「息合い」のコントロール法ということになるのかもしれません。そして、おそらくここでのキモは「多く弓を引くこと」なんでしょう。それが息合いのコントロール法であると同時に、息合いに関する気付きに繋がるんじゃないかと思います。

まぁこの「息合い」に関するパートは今回はここまでで、おそらく後の展開に繋がる伏線なのでしょう。それで今回の本題の方は遼平と愁の話で、まず遼平が風舞の5人の中で自分が一番下手で皆の足を引っ張っていると思って引け目を感じており、自分は他の4人よりスタート時点がそもそも遅れているのでなかなか追いつけないと悩んでいる。それで道具を新しくしようなどとして中崎弓具店に行ったりするが、中崎に道具を大切に使うようたしなめられてしまい、持参していた愁から借りた矢は丁寧に手入れされていると褒められる。その後、矢を返すために愁のお屋敷に行った遼平は愁の妹の沙絵と再会し、一緒に七夕の飾りつけを手伝ったりしていると愁がやって来て歓談となります。

ここで遼平がお土産に持ってきたコーラを沙絵が初めて飲んで目を白黒させているのを見て愁が自分が初めて中学の時に湊に勧められてコーラを飲んだ時を思い出して可笑しそうに笑い、愁も沙絵もいつもとは違うリラックスした和やかなムードになります。遼平は愁に矢を返して、自分は弓引きとして至らないと言います。ここで沙絵が地方大会を見に行っていたことが愁にバレてしまい、遼平がどうして沙絵が観戦するのを愁が嫌がるのか理由を知りたいと問うと、愁は自宅内にある弓道場に遼平と沙絵と東条を連れていく。

ここで愁は1回弓を引き、的中させる。そして「沙絵に見られるといつものように引けないと思っていたからだ」と理由を説明する。実際はいつものように引けたので的中したのであろうか。それとも的中はしたがいつもと同じではなかったのか、それは不明です。ただ、とにかく愁にとっては家族は特別な存在らしい。ここで愁の回想シーンが流れるが、愁のブラウンの髪の毛と、沙絵を含む他の家族の黒髪との対比が妙に強調される演出になっており、どうも家庭環境の複雑さを匂わせる。

その愁の話を聞いて遼平は「自分は皆の足手まといになっているのを家族に見られるのは辛い」と言うので、愁は遼平に1回弓を引いてもらい、遼平は的を外してしまうが、愁は真摯で前向きな、遼平らしい良い射だと褒める。そう言われて遼平は自分は自信が無いのだと素直に打ち明ける。すると愁は、弓は一生かけて付き合っていくもの、ずっと上手くなりたいと思うものだから、数年の遅れなどどうということはないと言って遼平を励ます。これを聞いて遼平は元気が出てきて、一方で愁は遼平から励ますのが上手いと褒められ、元気が出たことを感謝されて、桐先の仲間たちとの関係に感じていた行き詰まりから心が解放されて少し楽になる。そうしてお互いちょっと元気になり、全国大会での再会を誓い合ったのでした。