2022年秋アニメのうち、10月17日深夜に録画して10月18日に視聴した作品は以下の2タイトルでした。
ゴールデンカムイ(第4期)
第39話を観ました。
今回は登別温泉郷で第七師団の宇佐美と二階堂が保養していると、そこに仲間の菊田と有古がやって来て、有古が山奥の秘湯の付近で怪しい人影を見たというので探ってみると、そこで夜中に土方一派の都丹庵士たちと遭遇して、暗闇の中の攻防戦の末に有古が雪山で都丹を追跡し、わざと雪崩を起こして都丹を倒し、その刺青人皮を剥がして手に入れるという手柄を挙げるという話が描かれ、その後は最後にはちょっとだけ樺太を南下中の杉元一行の方の場面に変わりますが、これは次回への引きのちょっとした場面だけでした。
そういうわけで今回は実質的にはほとんどが登別温泉郷の場面だけでしたが、これがちょっと印象が薄いお話でした。まず登場人物が割と影が薄いキャラばかり。まず土方一派の方の都丹だが、これは土方一派の中でも影が薄い方のキャラであり、しかも今回は第七師団サイドの視点で物語が描かれるので、都丹の描写はほとんど単に「謎の敵」として描かれており、彼の持ち味である「盲目のスナイパー」というカッコよさはしっかり描かれてはいるが心情描写に乏しくどうにも印象は薄い。
一方、その都丹と対決する側は宇佐美と二階堂は第七師団のカオスなギャグキャラだが、この2人は鶴見とセットになった時に面白さを発揮するキャラであり、単体でも機能する月島とか鯉登と違って単体ではまだキャラが機能しない。だから今回は普通の動きをするキャラになってしまっており、しかもこの2人は基本的に嫌なヤツなので、見てるとムカつく。だから杉元あたりにボコボコにされると見てて楽しいのだが、今回は杉元とも絡まないし、あんまりやられる描写も少なかった。
それから菊田と有古は今回が初登場のキャラで、まだ全く感情移入が出来ない。まぁ初登場でも前回の関谷みたいに赤裸々に描かれると一気に感情移入しまくれるのだが、菊田も有古もイマイチ本性が描かれないまま終わってしまった。物語は菊田視点と有古視点でほとんど描かれるので実質的には今回のエピソードの主役はこの2人なのだが、この2人のモノローグは基本的に目の前で起きている状況に対してどう思っているのかについてだけであり、彼らの内心の深いところまでは描かれていない。だから、今回のバトルの状況そのものは観ていてよく理解は出来るのだが、それ以上に菊田や有古の人間性に深入りして強烈な印象を与えられるようなものとはならなかった。
まぁ私は原作漫画を読んでいるので分かっているのだが、この菊田と有古というキャラは2人とも非常に重要キャラであり、この後が色々と見せ場の多いキャラです。だから彼らの本性はここではまだ隠されている。よりによってそんな本性を描けないキャラ2人を中心に描いたエピソードなので、表層的にバトルを描いて、深い人間ドラマまでは描くことが出来なかったのです。それは脚本のミスとか構成のミスというレベルの話ではなく、長い物語の中でのそういう溜めの意味合いのエピソードだったというだけのことです。
そういう人間ドラマとしては完全なものを描けないハンデを負ったエピソードですから、それを百も承知の作者はそのぶんの穴埋めの意味もあってバトルそのものはとても面白いものを描こうとしてはずであり、確かに実際にバトルは凄く面白かった。暗闇の中での銃撃戦で、盲目で音の反響で相手の位置を特定して銃撃する都丹や、わざと日中ずっと片目に眼帯をして暗闇に慣らしておいて眼帯を外した夜目で相手を見て銃撃する菊田など、唸らされる描写が多かった。また真っ暗な洞窟の中で氷柱をトラップとして利用して逃げ切る都丹の作戦や、表層雪崩の起こりやすい場所に都丹を誘い込んで銃声で雪崩を起こして都丹を雪崩に吞み込ませて倒す有古の山を熟知した作戦など、虚々実々の駆け引きも素晴らしかった。
だから普通に面白いエピソードだった。最後の杉元一行の場面でもいつものこの作品らしいトンデモなグルメの場面もあって笑わせてもらいましたし、満足できるエピソードであったと思います。ただ現状のこの作品はハイレベルな今期の上位作品群の中で1位争いをしている状態にあり、普通に面白いという程度のエピソードではマイナス要因になってしまうという厳しい状態になっています。そんな中で今回のエピソードは土方、門倉、関谷の濃厚なメンツの深い人間ドラマに合わせて牛山と門倉という強烈なギャグキャラが大活躍した神回の前回に比べると、どうしても薄味になってしまったといえます。まぁ前回が神回だったんだから今回はこれぐらいで良かったんじゃないかとは思います。
新米錬金術師の店舗経営
第3話を観ました。
今回はサラサの店に開店早々に狩猟パーティーの一団がやってきて、腕のちぎれた仲間のアイリスを助けてほしいと言ってくるという話。なんかサラサがピリピリしてカッコいいことを言ったりするんですけど、それでやってることがひたすら薬をぶっかけたり呑ませたりしてるだけで、外科手術みたいなことをするわけでもない。患者も服を着たまんまだし、薬だけでどんどん治っていくという、まるでやってることがママゴトみたいで拍子抜けした。これ実際は緊迫した場面なんでしょうけど、アニメ化した際にもうちょっと描写に凝るべきでしょう。
錬金術の在り方みたいなこともアツく語ってましたけど、やってることや言ってることが薬屋そのもので、もうなんか錬金術の定義がよく分からない。立派な仕事なんだということは分かったが、どうもこれでは話が面白くならない。このサラサという主人公はやたら金の話ばかりするけど、そもそも生活のために錬金術師を志したのだから別にそれでいいのだと思う。それなのにとってつけたように「人々の生活を守るため」という学校で習ったようなことをわざわざセリフで言わせて強調しなくてもいいと思うんですよね。それは彼女が思っていることなのかもしれないけど、この物語における彼女の本質ではないのだから、そんなアリバイ作りみたいなセリフは不要でしょう。
その後、魔物を退治しに行くのですが、サラサがムチャクチャ強くて1人で魔物を倒してしまうのは笑ったが、その後の魔物を解剖して内臓とか採集していく場面で、血だらけの内臓を掴みだしたりする時にサラサの手とか長袖の服とかに全く血がついてないのには呆れた。もうちょっとちゃんと作画しましょうよ。
最後は魔物の群れと村人総出で戦うのですが、ここではサラサもお金のことより村を守るために頑張ったりしてイイ話で、戦闘作画も頑張ってたと思うので良かったんですけど、お陰でこの作品のピークは知れたかなとは思います。