2022年夏アニメのうち、10月17日深夜に録画して10月18日に視聴した作品は以下の1タイトルでした。
風都探偵
第11話を観ました。
今回は最終話の1つ前の話だったわけなんですが、主に描かれたのは、ときめとブラキオサウルスとの遣り取り、W&アクセルとリアクターとの戦い、表の風都に戻って以降の調査活動であり、結局は最終話を前にしてリアクターもブラキオサウルスも倒されないまま終わり、裏風都の組織のリーダーである万灯は登場もしませんでした。また、ときめの秘密も色々とヒントになるような描写はあったものの完全には解明されないまま最終話に突入するということになりました。これはどう見ても次回で全ての問題が解決してハッピーエンドで終わるということにはならなさそうですね。
おそらくは今回の依頼である蘭堂氏の失踪事件を解決して、蘭堂氏を救出してリアクターを倒すぐらいまでというところでしょう。万灯とハウリングとブラキオサウルスという敵幹部3人は健在なまま、敵組織の謎も残されたまま最終話を終えることになりそうです。もしかしたらブラキオサウルスを倒すぐらいの可能性はゼロではないでしょうけど、おそらくそこまではいかないでしょう。いわゆる「俺たちの戦いはこれからだ」エンドというやつですね。原作漫画が現在の連載中の作品ですから、そういうのは覚悟はしていました。ただ、原作を未読だったので、もしかしたら1クールで万灯たちとの決着がつく構成もアリかもしれないとも思っていましたが、そういう感じではなかったというわけです。原作漫画でもこの裏風都の組織との戦いは長期間描かれるようですね。もしかしたら現在連載中の最新話でもまだ万灯たちと戦っているのかもしれませんね。
ただ、ときめの謎に関しては次回でほぼ明らかになって終わるのではないかと思います。一応この1クールの始まりがときめとの出会いだったのであり、「W」からお馴染みの主人公チーム以外でこの1クールの一貫したメインキャラはときめであり、12話かけてときめの物語を描いてきたようなものですから、そのときめの正体も明らかにならないまま1クール終わってしまうというのは無いと思いたい。ときめの正体はおそらく敵組織側の者ということなのでしょうけど、そうした暗い過去を乗り越えてときめが翔太郎やフィリップと共に探偵として万灯たちに立ち向かうことを決意するというような締め方をしてほしいものです。
今回はまずときめとブラキオサウルスの場面だが、ここでのブラキオサウルス少年の口ぶりでは、万灯はときめが裏風都に帰る頃合いだと判断して裏風都と表風都を行き来出来るカードを拾わせたようです。ただブラキオサウルスが無理にでもときめを連れ戻した方がいいと思っているのに反して、万灯はときめの意思で裏風都に戻ってくるのを期待、あるいは確信しており、待ちの姿勢であるようです。これはつまり、ときめの記憶が戻れば自然にときめは裏風都に戻ってくるはずだと確信しているからなのでしょう。あるいは万灯はときめが「育つ」のを期待して放置していたみたいなので、「育つ」ことによってときめは自然に裏風都に戻るはずだという確信があるのかもしれない。
この「育つ」ということが何を意味するのかは現時点ではよく分からないが、ドーパントとしての成長ということなのかもしれない。後でリアクターのセリフで、この裏風都には「ハイドープになりそこなった化け物が多数生息している」という状況であるらしく、どうやら万灯たちは裏風都でハイドープを作る人体実験をしているようです。そうなると、ときめもハイドープに育つことを期待されている実験体なのかもしれない。ときめの記憶が無いこともそれに関係しているみたいで、ブラキオサウルスはときめが記憶を失っていることを想定内のことであるかのように言っていた。
総合すると、ときめは記憶を奪われてドーパントとしての成長を期待されている実験体で、何らかの意味をもって裏風都の外に放逐されて放置されていたようだが、成長すれば記憶も戻って裏風都に戻るはずであるようです。そろそろその時期だと判断した万灯は裏と表の風都を行き来するカードを渡してときめを裏風都に戻したのだが、無理に捕えようとはしていないようです。だが蘭堂氏の事件で裏風都に目をつけた翔太郎やフィリップと近い関係にあるときめにそんなカードを持たせたままにしておくのは危険だと判断したブラキオサウルスが独自に動いて、ときめからカードを回収しようとして捕えたようです。
前回ときめが一旦裏風都から鳴海探偵事務所の地下基地に現れた際にカードを地下基地に置き忘れたのかと思っていたんですが、実はときめが持ったまま裏風都に連れ戻されていたことが今回判明しました。それでときめはブラキオサウルスにカードを奪われ、更にブラキオサウルスはときめに全裸になるよう要求します。視聴者的にはとても嬉しい展開ですが、これは別にブラキオサウルスがエロガキであるというわけではなく、「育ち具合を確認する」と言ってることから、ドーパントとしての成長具合に応じて身体の表面上に何らかの兆候が現れるのだと思います。それをブラキオサウルスは確認しようとしたのですが、ときめがここで依頼人のことを思い出して気を強く持ち直して抵抗したところ、ときめが謎の光を発してブラキオサウルスの呪縛を跳ね返して、ときめは逃亡に成功する。これに驚いたブラキオサウルスは「育ちすぎでしょ」と言っており、ときめの能力が幹部のブラキオサウルスと互角以上にまで成長しつつあることが示唆される。それで放置は危険と判断したのか、ブラキオサウルスはやはりときめを捕らえようとして配下の戦闘員にときめを探して捕えるよう命じる。
一方、Wとアクセルは裏風都でリアクターと戦っていたが、強敵リアクターを倒すために一点集中攻撃でリアクターにダメージを与えることに成功して勝機を見出す。だがリアクターは手下のロードドーパントを大量に招集してWとアクセルに立ち向かわせる。あの最初のエピソードで登場したロードドーパントが実はこんなに大量にいたとは驚きですが、こいつらが裏風都の道を作って街を広げていく役割を担っていて、そのために大量の人間を喰っているという真実も更に驚きで、つまり人知れず多くの人間が殺されているわけで、裏風都はとんでもない魔境であり、それを推し進めている万灯たちの組織は悪魔的な組織といえます。
そうした真実を知ったWとアクセルは激怒してロード達を蹴散らしてリアクターを倒そうとするが、リアクターは次元の穴を開いてWとアクセルを裏風都から放逐して表風都に戻してしまう。どうやらリアクターも万灯たちも仮面ライダーとわざわざ戦う気は無いようなのです。今回はたまたま開いた次元の穴に飛び込んで裏風都に入ってきたが、仮面ライダーは基本的に裏風都に入る方法を持っていない。万灯たちは仮面ライダーを倒すことを目的とした組織なのではなく、仮面ライダーの入ってこれない裏風都という自分たちのホームで悪事を重ねることが目的の組織なのです。だからこうして裏風都から放逐するだけでいい。
こうして裏風都から締め出されてしまった翔太郎たちは、蘭堂氏やときめが裏風都に取り残されてしまったまま自分たちは裏風都に行く方法も無いことに焦りの色を濃くしますが、ここから気を取り直して、とにかく現状で自分たちに出来ることから地道に突破口を探っていこうということになります。この作品は前作「W」の時から同じですが、あまりトントン拍子に事態が解決していくということはなく、必ずこういう地道な捜査や調査の場面が描かれる。探偵モノとしてのフォーマットは常に保っているのです。アニメ版の最終話の手前でもこういう地道な展開を徹底している。もちろん原作漫画ではまだ全然物語のクライマックスではない段階のエピソードなのでこういう展開も当然なのでしょうけど、アニメ化に際しても全く改変することなく地道な探偵モノの姿勢を維持していったというところにこの作品の良心を感じます。
そうして地道な調査の結果、翔太郎は孫娘の六花から蘭堂氏が試作品を神社に奉納する習慣があったことを聞き、もしかしたらリアクターに依頼された特殊バルブの試作品が神社にあるかもしれないと思いつく。ここでいきなり緊急事態だとか正義のためだとかバカなことを言って奉納殿に土足で乗り込むのがカッコいいなんていう勘違いをしないところがこの作品の素晴らしいところで、ちゃんと神主さんに事情を説明してお祓いをしてもらって一緒に手を合わせて拝んでからそっと奉納殿の中に入ってバルブを探すという描写になっている。翔太郎が破天荒なバカではなくて、常に常識的な社会人として描かれていて、それでいて、いや、それだからこそ恰好いいヒーローとして描かれているところがこの作品の魅力だといえる。もちろん翔太郎だけでなくフィリップも照井も亜樹子もときめも、悪役連中も悪役なりに筋の通った行動をするキャラとしてしっかり造形されているところが素晴らしいのです。皆、ありえないキャラではなくて、ちゃんと生きたキャラとして描かれている。
そして翔太郎は蘭堂氏が奉納していたバルブの試作品を見つけ出し、それをフィリップに見せる。フィリップはそのバルブの形状の特徴を取っ掛かりとして地球の本棚で検索を繰り消していき、そのバルブに関連した情報を収集して必要項目を絞り込んでいき、そのバルブは裏風都で使用するものではなくて表の風都のある場所で定期的に使用されるために作られたのだということを突き止める。つまりその場所で待ち伏せていればリアクターは手に入れたバルブの完成品を持ってそこの場所に現れるはずであり、リアクターの開けた次元の穴から裏風都に再び乗り込むチャンスが訪れるはずだとフィリップは言う。これで次の作戦は決定したことになる。そして、その頃、裏風都ではなんとか逃げ延びていたときめが遂に蘭堂氏を発見して合流を果たし、翔太郎たちが救いに来てくれるまで何とか危機を凌いでいこうと踏ん張る様子が描かれて今回は終わり、次回の最終話に話は続きます。
おそらく次回はリアクターを倒して蘭堂氏を救い出して六花からの依頼を果たすことになるでしょうけど、その過程でときめの正体が明らかになり、そこでときめも含む鳴海探偵事務所の結束が固まって、万灯たちの組織との決戦に向けて意気を上げる「俺たちの戦いはこれからだ」エンドになりそうですね。そうなると2期が待ち遠しいところです。