悲しい感情は、

いまでも思い出せるあの時に、少しずつ、自分で捨ててきたと思う。

1回目は、親が離婚してすぐのこと。年長のとき。

こないだまで一緒に住んでたのに父の顔も名前も思い出せないなってぼーっと思いながら車に乗ってたら、母がこう言った

「お父さんは再婚してあなたたちより少し下の娘がいるんだって。あなたたちとは遊んでくれなかったのに

今、その娘とはよく遊んだり家族で出かけたりして仲良さそうにやってんだよ、なんなんだかね。」と。

わたしは顔も名前も思い出せなかったけど、一度、めちゃくちゃ怒鳴られたことだけ鮮明に思い出せるのにな。ちょっと悲しかった。だけどそれは言わない。

続けて、「お父さんにこれからも会わないと思うけどいいよね?会いたい?」って聞かれたから

「会いたくないよ」って答えた。

本当に会いたいとも思ってなかったから別によかった。会いたくないとも思ってなかったけど、そう答えなきゃいけないと思ったからそう答えた。


2回目は、本当に些細な出来事

小5か、6のとき。

私は図工が好きだった。とくにものを作るのが好きで

自信作の木の板と釘と輪ゴムで作ったビー玉を転がして遊ぶゲームを持ち帰ってきた。頑張って作ったし友達にもすごいね!かわいいね!って言ってもらって嬉しかった。

1週間、教室に飾らなきゃいけなかったから

やっと妹に見せられる!と張り切って持って帰ってきて、すぐ妹に遊んでもらった。玄関で、わーきゃー楽しく遊んでた。

急に激怒した母がそれを妹から取り上げて、

玄関の地面に投げつけた。

それはもう思いっきり。

なんで怒ってたのか、その時もわからなかったし

いまも思い出せない。

激怒になる前に何か言われた記憶もなかった。

壊れたその木の板を見て、なにも言えなかった

泣きもしなかったし怒りもしなかった

驚きすぎて何が起こったのか理解するのに時間がかかった

ようやく目に映ったもう遊べないほどばきばきに壊れたそれをみて悲しくなった

でも泣いても怒っても戻らないし

余計怒られるから、とりあえず妹と外に遊びに行った

あとで少し1人で泣いた


3回目は、施設でのこと。中学2年の時。

共用のパソコンで好きなアイドルのDVDをみてて

終わった後にいろいろ見てたら

私の悪口が書かれたワードファイルを見つけた。

わたしはそれを全部読んだ

読んだ上で何事もなかったように

ファイルの削除もせず

何も知らないフリをした


わたしは言葉足らずで誤解されることが多くて

特にこの施設ではそういうことが多かったし、

そういう性質があることをここで気付かされた。

ある日の夕飯で、お味噌汁をこぼしてしまって、

配られたのが自分のお椀じゃなかったから、

やばい!⚪︎⚪︎ちゃんのお味噌汁こぼしちゃった!

と思い焦って、咄嗟に出たのが

「私のお椀じゃない!」っていう大きい声。

あとで先生に呼ばれ、怒られた。

本当はそんなつもりじゃなくて、こう言いたかった。

「⚪︎⚪︎ちゃんのお味噌汁だったのにこぼしちゃった。どうしよう、ごめんなさい」と。

違うお椀を配られたことを怒るつもりもなかったし、誰かを責めようと思ったわけじゃなかった。

1ミリもそんな気持ちはなかったのに

あまりに怒られたので、本当のことを言えなかったし、何も言い訳もできなかった。

あんたはわがままだ、と言われたので

前も学校で、わがままだと言われたことあったなと思い出した。

その時もわがままを言ったつもりはなかったけど

私は無意識にわがままを言ってしまうから

気をつけなきゃいけないと、学んだ。


だから、嫌われたんだと。だからこんな悪口を書かれたんだと。

自分が悪いので仕方ない。

別に悲しくない。



最近、おじいちゃんや、会社の同僚が亡くなった。

いちばんに出てきたのが、悲しいって思ってると思われなきゃいけない

という考えだった。

本当に自分が悲しいって思ってるのか分からなくなった

悲しいって思わなきゃいけないのに思えてないような

気がして自分が嫌になる


悲しいとか寂しいって、どう思うことなんだろう?