日本刀を注文打ちで作る際に色々と考えたのですが、

 

・身幅を広くすれば柄が太くなる

・重ねを厚くすると重たくなる

・大切っ先は欠けやすい

・長くすると重たいうえに抜きにくい

 

結局のところ最良の刀というのは普通の刀で、我々がイメージする「普通」の刀がスタンダードな形になった理由がよくわかりました。

 

 

それを踏まえたうえで、自分の刀を普通の形にするのか、普通から外して作るのか。

 

「最強の刀を作りたい」という思いからスタートした事もあり、前回の大刀は刀身形状は普通の形に落ち着きました。でも、次の脇差はその「普通」の形状から敢えて外してカッコイイものを作りたいと思っています。

 

 

 

 

今回は柄巻きと柄の太さについて

 

刀身の元幅を広くすると、それに合わせて縁金具も大きいものを選ぶ必要があります。
 
最低でも元幅プラス7~8ミリ
可能なら10ミリくらいあると良いそうです。
 
この数字に余裕がないと柄木が割れやすくなるうえに、鞘とサイズが合わなくなり不格好になります。
 
 
 
 
現代金具で一般的な縁金具は40ミリか41ミリ
これに合わせると元幅の上限は33ミリくらいでしょう。
 

現代物であればこれより大きい縁金具もありますが、縁金具に合わせて柄も太くなります。手の大きい人ならば気にする必要はありませんが、

 

しかし、柄巻きの種類によっても柄の太さは結構違うようです。

 

濃州堂のカタログから↓

 

 

 

 

 

 

 

↑かなり厚みが違って見えますね。

 

目抜きの厚みが少し気になりますが、もっと薄いものであればまた印象が違いそうです。

 
こういうのとか↓

 

 

この片手巻き、三式軍刀で採用されています↓

 

 

 

昭和初期に、軍刀の柄糸が切れる事が問題になったために変更されたものだと思います。

 

昭和初期の軍刀も大半がひねり巻きだったそうで、陣中で修理の際はこういう巻き方をしたと成瀬関次が書いています。その後採用された三式軍刀でははじめから標準化されたようです。

 

ひねり巻きに比べると摩擦抵抗が少なくなるので柄糸に負荷がかかりにくくなるのだと思います。

 

この片手巻きの柄糸が交差している部分、写真のものは「つまみ巻き」になっているようですが、ここが平巻きだともっと柄の厚みが減ると思います。実際、そういうものもあります↓

 

 

 

 

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身幅を35ミリとかにして縁金具を大きいものにしても、柄巻きをこんな感じで「平巻き」とか「平巻き+片手巻き」などにすれば柄が太くなるのをある程度おさえられて良いかもしれません。

 

 

あと、革と正絹では革の方が若干太くなるそうです。

 

平巻きは一般に太刀の柄巻きですが、他にも一部の短刀や薩摩拵え・軍刀などでみられるそうです。

 

ちなみに、居合に使用する場合はひねり巻きが最良との事です↓

 

 

ひねり巻きは柄糸の合わせ目が最も太くなる半面、摩擦抵抗が大きくなり滑りにくくて良いのだと思います。

 

格式としては摘み巻きが一番なようで、先日見たコンクール入賞柄巻きはすべて摘み巻きでした。

 

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私の刀↓