小柄(こづか)と笄について。
ざっくりいうと刀の鞘に取り付ける装飾品、ドレスアップアイテムです。
せっかく刀を買ったので小柄や笄も取り付けてみたいなと思い少しネットでしらべていました。
ちなみに、ネットで「小柄」と検索したら小柄(こがら)な女性向けの服とかそんなサイトもでてきます。
今回の小柄は「こがら」じゃなくて刀につける「こづか」です。
小柄は刀の鞘に装着する小刀の事です。
日用使いするための刃物だったようです。
現在の日本でナイフがなくても日常で困る事はさほどありません。
でも、我々の祖父母世代なんかだと「肥後守」という折り畳みナイフを常にポケットに入れていた等の話も聞きます。鉛筆を削ったりちょっとした事に使うナイフだったようですが、それと同じ感覚のものだったのでしょう。
今でも「地球の歩き方」なんかの本の持って行くものリストに「小型ナイフ」って書いてある事があります。現在でも国によってはナイフがあった方が便利という所もあるでしょう。ポテトチップスの袋を開けるだけでも外国のものは硬くて手で開けられない事がありましたし・・・
現在でもヴィクトリノックスの小型ナイフをキーホルダにして常時身に着けていれば便利だとも思うのですが、今の日本で刃物を持ち歩くのは「何かと良くない」です。やめておきましょう。ちなみに、ナイフの変わりにUSBメモリがついているものもありますよ。
小柄は装飾の施された「袋」と呼ばれる柄(ハンドル)の部分と、「穂」と呼ばれる刀身部分に分けられます。
「袋」部分は芸術性も高く江戸時代の物も良い状態でたくさん残っています。価格はピンキリです。少数ですが現代の作もあり、こちらは数千円くらいです。
問題は刀身の方で、昔の物はほぼ錆て汚くなっています。新しいものは、少しネットで検索して見つかったのは安いステンレスの模造刀身と、刀匠手作りの一本5万円以上のものだけでした。
実用するわけでもないので模造刀身でも良いとも思いますが雰囲気がちょっとでないですね。
むしろ錆びた昔の小柄刀身を自分で磨いた方が良いかもしれません。
そんな動画がありました。
ちなみに、江戸時代から小柄の刀身は刀匠が作った高級品と、小柄小刀を専門に量産していた鍛冶屋の安物がありました。
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笄(こうがい)
これは髷を結う時に使うクシのようなものだそうです。しかし、いまいち使用方法がピンときません。写真のように女性の髪飾りとして使うのならばなんとなくわかるのですが、武士はこれをどう使っていたのかな。
ただ小柄と違い、笄は実用品というよりも鞘の飾りと言う要素の方が圧倒的に強かったようです。
綺麗に装飾された笄ですが、本当に髪に触れたら鬢付け油で汚れてしまいますから。
小柄は鞘の裏側(体側)につけるのに対して、笄は鞘の表側(外側)に着けます。つまり、他人からよく見えます。
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小柄と笄は、鞘に「櫃穴(ひつあな)」というものがないと取り付けができません。それぞれ「小柄櫃」「笄櫃」と呼ばれます。
こんな感じですね。
この櫃穴、すべての刀の鞘にあるわけではありません。現代の居合拵などには普通ありません。
江戸時代の鞘にも櫃穴がない物は多くあるようです。
つまり、小柄と笄はあくまでも「鞘の飾り」なので昔から省略される事が多くあったという事です。特に笄は省略される事が多かったのではないでしょうか。ヤフオクで売られている古い刀の鞘を見るとそう感じます。
鍔を見てもわかります。
このように、小柄と笄を通す穴が両方あるもの、一つしか穴がないもの、穴がないもの、それぞれあります。
素人目に見ても、小柄と笄が鞘についていると鞘から刀を抜き差しする時にちょっと邪魔になることもあるんじゃないかなと思ってしまいます。
元々は古い時代に実用品として生まれた物ですが、小柄と笄はあくまでも平和な江戸時代に発展した装飾品であり、必需品というものではないわけです。小柄の方が実用性はありますが、これも脇差に一つ付けていれば十分です。
ウィキペディアには、大刀には小柄と笄をつけ、脇差には小柄のみつける、と書いています。しかし実際にはヤフオクで売られている大量の昔の鞘を見ると、櫃穴が両方ともない鞘や、笄と小柄両方の櫃穴のある脇差の鞘などもたくさん見ます。厳密な決まりはなかったのではないでしょうか。ちなみに、笄櫃だけの鞘は見た事がありません。
個人的な事でいうと、今回私が依頼した拵えにも櫃穴はないので、小柄と笄はそのままでは取り付けられません。そういえば鍔も穴のないやつにしてた・・・
櫃穴つきの鞘の作成は当然普通の鞘より値段も高くなるし、納期も遅くなるようです。
でも、将来気が向いたら鞘と鍔を新調して小柄と笄を取り付けてみたいと思います。
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後日追記
幕末の武士の写真を見たら、大刀より脇差に笄をつけている人の方が多かったです↓