株価下落とギリシャの財政不安 | めざせ!FP3級!~女性FPのお金の花道~

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こんにちは。第4週担当の宮川朋子です。

一時期新興国の経済成長のおかげもあって回復基調と言われていた株価が、ここのところじりじりと下がってきていますね汗
これは、発端はギリシャの財政不安から始まっています。
今回はこのギリシャ財政不安について簡単に説明しますね。

かねがね財政赤字が心配されていたギリシャですが、昨年10月に、それまで発表していた財政赤字の数値に粉飾があることがわかりました。その後、数値が修正されてみたら、それまで発表されていた赤字見通しがなんと対GDP費3.7%から12.5%へ拡大していました!ガーン

これを受けて、12月には格付け会社が相次いでギリシャ国債の格付けを下げます。ダウンこの結果、ギリシャ国債の利回りが一気に上昇。4%から7%へ!アップ
これでは4・5月の国債償還時にお金が返せなくなるかも…つまり、国が破綻する可能性が騒がれ始めたのです。ギリシャの国債はヨーロッパの各国政府や金融機関が持っています。彼らも貸しているお金が返ってこない可能性が!叫び
人々が「こんな不出来なメンバーがいるんじゃ、ユーロもあぶないな」「まわりの国の銀行もお金が取り戻せずにまずいんじゃないの?」なんて考えはじめたために、ユーロの価値も下がり始めてユーロ安に…対円では1月以降じりじりとユーロ安が進んでいます。
ユーロが安くなると、ヨーロッパ圏へモノを輸出していた新興国にとって、輸出物がヨーロッパでは高くなってしまって売れなくなるので利益は目減りします。当然株価にも影響してきますから、新興国の経済成長にも影があせる

一方、ユーロから逃げ出したマネーはドルや円に流れ込んでいます。こうして円高になってくると・・・そう、海外にモノを輸出して経済が成り立っている日本も、やっぱり輸出物が現地で高くなるので売れなくなって・・・結局、株安、とドクロ

まるで「風が吹けば桶屋が儲かる」のようですが、地理的には遠いギリシャの財政不安が、めぐりめぐって世界中の金融市場にいろいろないたずらをしはじめているのです。「ギリシャの問題」「ユーロの問題」という分析をする方もいらっしゃいますが、私はこの問題が及ぼす世界全体の金融・株式市場への影響は決して無視できないものと思います。

この問題を解決するために、まずはギリシャの自助努力が必要!ということで、ギリシャ政府は財政再建化策をEUに提出しています。
でもほんとに効き目あるの!?と、その実行力に皆不安感を持っています。何しろ過去に統計の粉飾があった国ですから。だからいつまでたっても国債の信用があがらず、ユーロの信用もあがらない。

ちなみに財政再建ということは政府の赤字をなくしていくということ。つまり、収入を増やし(つまり増税)支出を減らし(事業を削減)、節約していくということです。公務員の雇用カット給与・年金が削減される一方で増税もされるというこの緊縮財政策に対して、ギリシャでは激しいゼネストが行われています。

一方、EUのルールで財政赤字は対GDP比3%以下でなければいけないとしています。
それを守れないどころかとんでもない数値の赤字を持っている国に対してEUは何もしないわけにはいかない。
かといってすぐに罰則を与えたり、仲間はずれ、つまりギリシャのEU脱退を進めるたりするわけにもいきません。今、ギリシャがユーロをやめても、オリジナル通貨のドラクマのほうがユーロよりももっと安いので、この財政不安を建て直すことはとんでもなく困難になってしまうからです。
ということで、心配しきりのEUの中央銀行(欧州中央銀行、ECB)も「ギリシャを支援するよ!」と宣言しました。IMF(国際通貨基金)からも支援をとりつけることになりました。
第1回目の融資が5月に行われ、とりあえず5月の国債償還の危機はまぬかれています。

今はこういう状態ですが、それでもまだユーロの信用はあがってきていません。
ギリシャと同様に財政赤字を抱えているポルトガルやスペイン、イタリアの財政まで不安視する声も高まってきています。
まだまだ予断は許されない状況のようです。しばらくは、ユーロの動向から目が離せませんね。

さて、次回は、このギリシャ財政不安から考えるべきことについて書きたいと思います。