ショスタコーヴィチの交響曲全集を「DECCA」にて完成させたアシュケナージ。その全集に関しては廃盤となっており、中々ディスクユニオンでも見かけることはない。まずApple Music Classicalにて聴くことができるようなのでまた後日取り上げるとして、まずはフィルハーモニア管弦楽団との交響曲第5番、「祝典序曲」を取り上げていく。
・ショスタコーヴィチ:祝典序曲
録音:2001年7月27日
金管楽器群の存在感が光る演奏となっており、歯切れの良さが功を奏する演奏となっている。ファンファーレ後のテンポの加速もそこまで速い印象はなく、絶妙なバランスからなる演奏が展開される。弦楽器と木管楽器それぞれによる柔軟性と伸びやかさが大きく演奏から聴くことができるような世界観は、演奏を聴いていて大きな衝撃を味わえるショスタコーヴィチとなっているのは間違いない。いい意味で突拍子もないアプローチはされていないので、シンプルに聴きやすい演奏とも言えるだろう。
・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
録音:2001年7月27日
金管楽器群の音色が多少荒々しい印象を残すものの、オーケストラ全体による一体感は非常に凄まじいエネルギーと共に描かれている。テンポの緩急からなるダイナミクス変化は豪快なるショスタコーヴィチ演奏となっていた。「Exton」における高音質盤からなる優秀な録音ということもあり、細部にわたって演奏を細かく聴き込むことができ、柔軟に演奏される弦楽器の鋭さと伸びやかなスケール感が交互に演奏されるのは聴き手の度肝を抜くと同時に、非常にパワフルな演奏であったことは間違いないだろう。
アシュケナージによるショスタコーヴィチは今回初めて聴いたが、マーラーの交響曲がそうだったように非常に面白い演奏という印象が強いかもしれない。複数のオーケストラと完成させた交響曲全集が一体どのような仕上がりになっているか気になるので、これに関しても早いうちに聴き進めたいと思う。
