第1905回「リヒテル&ボロディン四重奏団員によるシューベルトの《ます》と《さすらい人》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、スヴャトスラフ・リヒテルをピアノに迎えたボロディン四重奏団員とコントラバスにゲオルク・ベルトナーゲルによるシューベルトのピアノ五重奏曲「ます」と幻想曲ハ長調「さすらい人」です。普段あまり聴くことのない室内楽の世界観を楽しむことができるようになっている名盤で、昨日取り上げたカラヤン&ウィーン・フィルによるホルストの「惑星」、グリーグの「ペール・ギュント」と同時発売されたエソテリックSACDシリーズとなっています。


「スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)、ボロディン四重奏団員、ゲオルク・ベルトナーゲル(コントラバス)」

シューベルト作曲:
ピアノ五重奏曲 イ長調 D667(作品114)「ます」


「スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)」

シューベルト作曲:
幻想曲 ハ長調 D760(作品15)「さすらい人」



 「旧EMI」に残された旧ソ連を代表とするピアニストリヒテルの名盤がここにSACDハイブリッド盤となって復刻された。いずれの曲もシューベルト作品の中で代表的な室内楽曲である。リヒテルが生涯7回演奏した最後の「ます」を聴くことができるというのも目を引く点であり、「さすらい人」に関しては続けざまに5回弾いたとも紹介ページに記載がある。いずれも非常に興味深い演奏であり、エソテリック盤となったことによる音質の向上が素晴らしい。


・シューベルト:ピアノ五重奏曲「ます」

録音:1980年6月18日

 室内楽編成による演奏ということもあって、響きやサウンドは確かに引き締められたストイックなサウンドとして聴くことができる。ただ、DSDマスタリングが施されたダイナミック・レンジの幅広さと、近年における演奏スタイルとは違うこともあって非常にスマートで聴きやすい演奏となっているのは間違いない。高いアンサンブル技術と、残響に頼りすぎない各楽器ごとの特徴的な音色、リヒテルの明確かつ力強いピアノが功を奏する形となっているため、初めて聴く人にとっても聴きやすいシューベルトの「ます」となっている。この演奏は個人的にも好みなアプローチが続けられているように感じられるため、繰り返し聴きたくなる魅力があると言えるだろう。


・幻想曲ハ長調「さすらい人」

録音:1963年6月18日

 先はどの「ます」よりも前に録音された「さすらい人」。アプローチもどこか違っている面が強く、テンポの緩急からなるダイナミクス変化やピアノタッチ、細部にわたって変化していく。強靭的なピアノのサウンドと分厚い音の衝撃が聴き手に対して大きなインパクトを与えてくれるようになっており、DSDマスタリングによってダイナミック・レンジの幅広さが向上したことによってピアノ演奏の枠を超えたと言っても良いような凄みを体感できるようになっている。


 リヒテルによるシューベルト作品は非常に高い水準で人気を博しているところがあり、今回エソテリック盤でのSACDハイブリッド仕様の高音質盤として演奏を聴くことができて、個人的には満足している。2曲とも初めて聴いたが、特に「ます」に関してはひかれるものが強くあり、また繰り返し聴き続けてみたいと思えるような名盤だったことは間違いない。


https://www.esoteric.jp/jp/product/essw-90293/feature