第1899回「アドラー&ウィーン響による貴重なマーラー、交響曲第3番、第6番、第10番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃フレデリック・チャールズ・アドラー、録音こそ少ないもののマーラーの交響曲録音を4曲1950年代に行った指揮者。現在ではCD化も滅多にされることなく、認知度も低いように思える。そんな本日ご紹介していくのは、アドラー&ウィーン交響楽団とのマーラーの交響曲第3番、第6番「悲劇的」、第10番(クルシェネク補筆版)。特に「悲劇的」に関しては、世界初録音とされているのでマニアにとっても嬉しい代物となっている。


「フレデリック・チャールズ・アドラー指揮/ウィーン交響楽団」

マーラー作曲:
交響曲第10番 嬰ヘ長調(クルシェネク補筆版)

交響曲第6番 イ短調

交響曲第3番 ニ短調



 アドラーの存在を知ったのは今話題になっているニコニコ動画で、交響曲第6番「悲劇的」の第4楽章におけるハンマーの部分を切り抜き動画をみた時だった。5年越しに叶ったと言っても良いだろう。Amazonで偶然在庫が入ったのを知ったので「今しかない!」と思い、即購入した。最近あまりマーラーの交響曲を聴けていなかった分今こうして聴くことができて満足している。


・マーラー:交響曲第10番(クルシェネク補筆版)

録音:1952年

 クック補筆版で言えば第1楽章と第3楽章が演奏されるクルシェネク補筆版。同曲録音ではよくジョージ・セル&クリーヴランド管弦楽団による演奏をよく聴くが、当盤はそれよりも前の録音にあたる貴重な録音だ。モノラル録音ではあるが、ダイナミクス変化などによる音の広がりは非常に素晴らしく、濃厚な世界観によって親しみやすいマーラーへと姿を変えている印象を受ける。一部分の旋律における音が違うことに関しては、若干の違和感を覚えるかもしれないが、初めて聴く人にとっては聴きやすい交響曲第10番の録音であることは間違いない。ノイズも少なく各楽器ごとにまとまりある濃密な演奏を楽しむことができるようになっている。


・交響曲第6番「悲劇的」

録音:1953年(世界初録音)

 イマイチピッチが安定しない音源ではあるが、終始重々しいテンポによって演奏が進められていく「悲劇的」となっている。第1楽章でのリピートがない分演奏時間は短く感じるものの、長大なるマーラーの交響曲であることには変わりなく、弦楽器や金管楽器、木管楽器それぞれの特徴的な演奏を余すことなく聴くことができるのは非常に素晴らしい効果であると言える。また、先ほどテンポが遅いことに対して触れたが、それ自体はそこまで気になるほどではない。むしろより壮大なるスケール感を引き立てていると私は聴いていて感じる面が大きかった。そしてハンマーの音は意外にもスケール感を十二分に味わえる深みのある打撃となっており、インパクトもたっぷりと聴くことができた。2回目のハンマーの際にドラがズレていたのが残念なところだろうか。


・交響曲第3番

録音:1951年

 非常にたっぷりと、重々しいテンポによって演奏されていることもあって通常よりももう少し演奏時間が長いようにも感じなくはないアドラーによる交響曲第3番。それでもオーケストラ全体における演奏は崩れることなく演奏が展開されているので、この美しさ溢れる歴史的録音を第1楽章から第6楽章までじっくりと味わえるようになっている。特に金管楽器による音色が非常にまろやかで、豊かな奥深い音色と響きを奏でているため、聴いているだけで安らぎを与えてくれる感覚を演奏から通して聴くことができるだろう。


 今回アドラーによる3種類のマーラー交響曲録音を聴いてきた。当盤を調べている際に、交響曲第2番「復活」のCDがあることを知ったので次探すのはそれであることは決定したとも言える。録音時期が古い演奏だからと言って侮っていると度肝を抜かされる演奏であることは言うまでもないだろう。アドラーによるマーラーは引き続き聴き続けていきたいところだ。


https://tower.jp/item/40396