ベルリン・フィルによるラフマニノフ作品の録音が収録されている当盤。以前交響曲第2番や交響的舞曲を取り上げているが、その前に発売されたCDこそ当盤になる。普段聴き慣れたロマンティックさの濃い演奏とは違う濃厚なピアノ協奏曲第2番をメインに置き、ラフマニノフによるピアノ曲を一緒に収録している。
・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
録音:2022年6月25日
ややかけ足で進んでいるようにも感じられなくはない演奏となっている。大きな溜めはなく以外とあっさりとしているようにも感じられなくはない。むしろテンポを加速させる場面が多々見受けられるため、その都度打楽器の強烈な打撃や金管楽器の咆哮、統一された弦楽器群の演奏を聴くことができるので驚かされるダイナミクス変化が多数盛り込まれている。もちろん第2楽章をはじめとして、感動的なスケールもある。その際はSACDハイブリッド盤となっていることによるダイナミック・レンジの幅広さが功を奏する演奏となっているのは間違いない。
・ラフマニノフ:5つの幻想的小品より第3番メロディ
録音:2023年2月6日
さっぱりとしたしつこさのない甘さというべきか、いずれにしても美しいゲルシュタインによるピアノ演奏を聴くことができるようになっているのは間違いない。小品ではあるが、その美しくもはかない世界観はラフマニノフが描く世界観でありロマンティックに聴こえる素晴らしい演奏だった。
・クライスラー、ラフマニノフ編:ウィーン古典舞曲集より愛の悲しみ
録音:2023年2月6日
フリッツ・クライスラーによる名作「愛の悲しみ」がラフマニノフの手によってピアノ曲として新しい演奏を聴くことができるようになっている。軽快でありユーモアを感じることもできる演奏となっているため、聴いていて面白さとしても充分にある演奏だった。ポピュラー作品のようにも聴こえ、個人的には面白い作品だったことは間違いない。
・コレルリの主題による変奏曲
録音:2023年2月6日
ピアノ協奏曲を聴いているかのような壮大なるスケールと荘厳的な演奏が非常に素晴らしく、聴いている全ての人を魅了することに違いない。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることが功を奏する形となっており、各変奏においてテンポの緩急からなるダイナミクス変化が明確に演奏されているというのも聴きごたえを生んでいる一つの理由となるだろう。
・6つの歌
録音:2023年2月6日
ゲルシュタインによる編曲版で聴くことができる今回の演奏。非常にロマンティックで聴いていて美しさが溢れ出るピアノタッチとなっていることもあって、聴いていてうっとりしてしまう瞬間は幾度もあった。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることも功を奏する形となっており、このラフマニノフアルバムを締めくくるにふさわしい名演ばかりだったと言える。