ヴァントによるブルックナーを久しぶりに聴くことができて個人的には大分嬉しい。今回交響曲第4番「ロマンティック」はブルックナー歿後100周年記念演奏会でのライヴ、交響曲第5番は北ドイツ放送交響楽団創設50周年記念演奏会でのライヴとなっている。それらが最新リマスタリングの施されたSACDハイブリッド盤で楽しむことができるというのだからまさに待望の名盤と言えるだろう。
・ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」
録音:1996年10月11〜13日(ライヴ)
ブルックナー歿後100周年記念演奏会でのライヴ録音。やや重心の低い状態で演奏が展開されるどっぷりと浸かった重々しさの残る演奏となっており、第1楽章冒頭のホルンソロも美しいが、第4楽章に到達した瞬間の壮大なるスケールやダイナミック・レンジの幅広さが増していることによる音の広がりが功を奏する形となっているのは間違いない。また、テンポが遅いのか?と問われるとそうではないというのも今回のライヴの特徴と言えるかもしれない。
・交響曲第5番
録音:1995年10月8〜10日(ライヴ)
北ドイツ放送交響楽団創設50周年記念演奏会でのライヴ演奏。想像していたよりも重々しさはなく、比較的に軽快でテンポに関しても一貫性を感じることのできる演奏となっている印象が強い。SACDハイブリッド盤となったことによる最新リマスタリングの効果を発揮した形となっており、その壮大なるスケールとテンポの緩急が細部まで細かく聴き込ませてくれるようになっている。ブルックナーの交響曲の中でも複雑な作品として部類分けされているが、今回のライヴに関しては鮮明で美しい音色と響きによって演奏されていることもあり難解さはあまり感じられなかったので、に聴きやすさに特化していたと言えるだろう。
さて、前回の投稿から大分久しぶりの「ヴァント不滅の名盤」シリーズだったが、残り2枚でこのシリーズも締めくくりとなる。14,15に関してはブルックナーやモーツァルト作品を聴くことができるようになっているため、また近いうちに忘れないように取り上げていこうと思う。