第1860回「マーラー没後113年、ネーメ・ヤルヴィ&RSNOによるマーラー交響曲集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日5月18日はグスタフ・マーラーの命日です。今年で没後113年となります。そんな本日ご紹介していくのは、2018年1月にタワーレコードより発売されたネーメ・ヤルヴィ&ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル・オーケストラによるマーラーの交響曲集を取り上げていきます。限定1000セットで発売され、現在では取り寄せ状態となっているマーラーの交響曲BOXとなっています。全集ではありませんが、その一つ一つの演奏は素晴らしい名演と言えるでしょう。


「ネーメ・ヤルヴィ指揮/ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル・オーケストラ」

マーラー作曲:
交響曲第1番 ニ長調「巨人」

花の章

交響曲第3番 ニ短調

亡き子をしのぶ歌

交響曲第4番 ト長調

さすらう若人の歌

交響曲第5番 嬰ハ短調

交響曲第6番 イ短調「悲劇的」

ブルックナー?マーラー?作曲:
交響的前奏曲(ギュルシング補筆版)



 ネーメ・ヤルヴィによるマーラーもこうして聴くのは久しぶりである。購入当初は普段聴いたことがないくらいに速めのテンポからなる演奏だった「悲劇的」が衝撃的だったこともあって繰り返し聴いてきた。発売と同時に聴いていたので、今回約5,6年ぶりに近い。


・マーラー:交響曲第1番「巨人」

録音:1993年11月15〜16日

 冒頭より意外と重心の低めな演奏が展開されていくが、楽章によってはテンポの速さに申し分ない演奏を楽しむことができるようになっている。金管楽器によるサウンドの重さもそうだが、弦楽器群による柔軟性のある自由自在な変化は聴いていて驚かされる面がある。オーケストラ全体として音色や響きに関してもまとまりがあり、やや濃厚気味な演奏となっているからこそ爆発的なエネルギーを味わうことができる「巨人」となっているのは間違いない。


・花の章

録音:1993年11月15〜16日

 「巨人」が終わった後のトラックに収録されている。テンポの緩急が感じられる演奏となっており、初めのトランペットによる演奏に関してはやや遅めのテンポで中間部に関しては少々速さが加えられたかのようにも思えなくはない。その変化は不自然なものではなく、濃厚で響きが大分増した状態で優雅に演奏されている。編成も現在の「巨人」と比べるとそこまでそこまで多くないが、今回の演奏に関してはやはり延長線上にある曲であるというように解釈して良いだろう。


・交響曲第3番

録音:1991年10月20日、22,24日

 聴いている間は思わず時間を忘れてしまうほどにこの交響曲の世界に没入することができた。弦楽器と木管楽器や合唱によって奏でられる自然的な美しさは、まさに天上の美しさを感じ取ることのできる音色と響きであり、透明度の高さをRSNO(ロイヤル・スコティッシュ・ナショナル・オーケストラ)の演奏から聴くことができるのは聴いていて非常に楽しいものがある。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによってオーケストラ全体のサウンドがより細部まで細かく聴くことができるようになっているというのも大きな特徴と言えるだろう。


・亡き子をしのぶ歌

録音:1991年10月20日、22,24日

 透き通るような美しい歌声と伸びやかで儚い歌声がなんともいない感情を感じさせてくれるようになっているが、陰鬱とした暗い感覚を背負っているようなものではなく希望を少しでも感じることができるような演奏と力強さを感じ取ることができた。これまで何気なく聴いていたこの曲も、今回は強い意志を味わいながら楽しむことができたのは間違いない。


・交響曲第4番

録音:1990年11月27日&29日

 全楽章通してキャッチーであり、親しみを感じることのできる演奏となっている。それはテンポの緩急によるものとなっていることは間違いない。オーケストラ全体のサウンドはやや骨太にも思える演奏で、ダイナミクス変化もやや大げさに感じなくはない。ただ、そのアプローチがあるからこそこの交響曲第4番で見事にその特徴を余すことなく発揮しているとも言える。溜める際はたっぷりと溜め、テンポを速める際は想像以上に速める演奏なので面白い演奏であることには変わりない。


・さすらう若人の歌

録音:1990年11月27日&29日

 交響曲第3番、第4番、「亡き子をしのぶ歌」でも歌い上げたメゾ・ソプラノのリンダ・フィニーが今回この曲の独唱となっている。「巨人」との関連性の強さもそうだが、大分響きが足されているようにも感じられる演奏となっている。そのため伸びやかさや濃厚なサウンドに加えて、幻想的で極められた美しさを確かに感じ取ることができる。オーケストラとの相性も良く、濃密に作り上げられているので聴いている間は安らぎを体感できる。


・交響曲第5番

録音:1989年10月23日,24日

 映画音楽のように甘さもあるが、キレ味の良さを楽章によってはたっぷりと味わうことができるようになっている。若干スリリングに聴こえなくもないアプローチからなるダイナミクス変化やテンポの緩急を味わうことができるが、弦楽器による研ぎ澄まされた感覚からなるサウンドや金管楽器によるやや音割れ気味に近い圧倒的な音圧を味わえる点としては個性的な部類の演奏に組み込まれても良いかもしれない。


・交響曲第6番「悲劇的」

録音:1992年11月8日〜9日

 冒頭よりテンポの速さが感じられる勢いの良さを演奏から感じ取ることができ、その後もテンポの緩急が駆使された状態でこれまでに聴いたことがないようなマーラーの「悲劇的」を味わえるようになっている。ハンマーの音はやや軽めではあるが、オーケストラ全体における一体感やサウンドの重みに関してはネーメ・ヤルヴィとRSNOだからこそ奏でることができる素晴らしい演奏を聴くことができるのは間違いない。


・交響的前奏曲

録音:1992年11月8日〜9日

 マーラーの疑作もしくはブルックナーの管弦楽曲として取り上げられることのある「交響的前奏曲」。今回はアルブレヒト・ギュルシングによるマーラー風の補筆が施された版を使用して演奏が行われている。危機的な迫り来る感覚と爆発的な金管楽器群による圧倒的な音圧は度肝を抜かされるものがあり、これをブルックナーによる作品と考えるから疑問に思ってしまうだろう。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによるパワーは凄まじく、常にエネルギーを味わうことができる。ボリュームによってはうるさいと感じる人もいるかもしれないが、こういう荒々しさが必要な時に聴くのはぴたりと当てはまる感覚があるはずだ。


 ネーメ・ヤルヴィのマーラーは全集とまではいかないが、ほとんどの交響曲を録音している。いつかまだ録音していない交響曲を録音してくれたのであればマニアとしても嬉しいところである。今回収録されていないマーラーの交響曲があればまたそれも探したいと思う。


https://tower.jp/item/4650647/マーラー:-交響曲集<完全生産限定盤>