第1832回「バイエルン放送響創立75周年記念、コリン・デイヴィスとの《幻想交響曲》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、今年2024年で創立75周年を迎えたバイエルン放送交響楽団によるサー・コリン・デイヴィスとのベルリオーズ「幻想交響曲」です。コリン・デイヴィスは「幻想交響曲」を当盤以外では4種類録音しています。なんと言っても今回注目したいのはバイエルン放送響との「幻想交響曲」が初出音源ということ。大きな注目をもってみていきます。


「サー・コリン・デイヴィス指揮/バイエルン放送交響楽団」

ベルリオーズ作曲:
幻想交響曲 作品14



 コリン・デイヴィスはこれまでに1963年にロンドン交響楽団、1974年にロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、1990年にウィーン・フィルハーモニー管弦楽団、2000年にロンドン交響楽団(2回目)とベルリオーズの「幻想交響曲」を録音している。今回の演奏はコンセルトヘボウ管とウィーン・フィルの録音の間に演奏された。第3楽章での演奏時間がバイエルン放送響での演奏が長いため、コリン・デイヴィスによる「幻想交響曲」では当盤が一番演奏時間が長い演奏となっている。


・ベルリオーズ:幻想交響曲

録音:1987年1月15,16日(ライヴ)

 第1楽章から躍動感溢れるストイックさが感じられるような演奏が展開されている。それは古楽器や室内楽編成による演奏スタイルとは違い、筋肉質ではないにしても「緩→急」や「急→緩」における音楽的な変化の流れが明確にわかるようになっているのと、細かいダイナミクス変化による効果が余すことなく発揮されているというものである。また、1980年代におけるライヴ録音ではあるが比較的に音質も良いというのは素晴らしいポイントである。木管楽器による演奏も非常に印象的なキャラクターをしているのは間違いない。


 第2楽章ではデイヴィスの意向によってコルネットが使用されている。それによってこれまでに聴くことのできる第2楽章とは違い、華やかさと躍動感が加わった。アーティキレーションに関しても輪郭がはっきりと明確かつ明瞭さが加えられたことによって、豊かな音色と優美なアプローチがオーケストラ全体で統一されながら演奏が進められている。この第2楽章だけ何回も聴きたくなるような魅力に溢れた素晴らしいこだわりが詰め込まれた演奏である。


 一歩一歩踏みしめながら演奏が進められていく第3楽章。弦楽器と木管楽器によって展開される空間的な音響は非常に美しい音色によってつくり上げられており、それと同時に演奏されるアンサンブルも濃厚で聴き入ってしまう。コリン・デイヴィスが演奏した中でも特に長い演奏時間を誇る世界観ということもあり、濃厚かつ重量感たっぷりに演奏されるため非常に素晴らしく楽しめる第3楽章だった。

 圧倒的な重厚感を味わえる第4楽章は、第3楽章の延長線上にある演奏というように考えながら聴くと面白いかもしれない。金管楽器の活発なパワーとより強固なサウンドと統一感をみせる弦楽器の存在感が素晴らしい。何よりも驚かされるのは、楽章の最後に登場するクラリネットによって演奏される「イデー・フィクス」が凄まじい念をもって演奏されているということ。これは怨念にも感じる。そしてその瞬間に弾頭台の処刑が執行される。これには誰が聴いても鳥肌が立つはずだ。

 第5楽章ではさらに混沌とした空間が展開され、重量感のある金管楽器群と低弦によって奏でられるサウンドが非常にまがまがしい感覚を味わうことができるようになっている。テンポの緩急に関しても明確であり、豪快に鳴らされている分聴いていて終始圧倒される部分もある上に、攻撃的ではないがやや固さのある分厚い音圧を金管楽器による演奏から味わえるのは非常に大きい。

 思えばコリン・デイヴィスの録音もそこまで聴いていなかったため、今回の「幻想交響曲」は想像していた以上に楽しむことができた名演であると感じている。こうなると気になるのは当盤以外の4種類録音された「幻想交響曲」である。これに関してはApple Music Classicalでいくつか録音を見つけたのでまた後日聴きたいところだ。

https://classical.music.apple.com/jp/album/1737029554?l=ja-JP