第1819回「マゼール&クリーヴランド管による《ローマの祭り、松》と《金鶏》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは3月16日に発売された「エソテリックSACDシリーズ」からロリン・マゼール&クリーヴランド管弦楽団によるレスピーギの交響詩「ローマの祭」、「ローマの松」、リムスキー=コルサコフの組曲「金鶏」(4つの音楽的絵画)です。先日取り上げたモントゥー&ロンドン響によるブラームスの交響曲第2番、「大学祝典序曲」、「悲劇的序曲」と同時発売されたエソテリック盤となっています。


「ロリン・マゼール指揮/クリーヴランド管弦楽団」

レスピーギ作曲:
交響詩「ローマの祭」

交響詩「ローマの松」

リムスキー=コルサコフ作曲:
組曲「金鶏」(4つの音楽的絵画)



 ジョージ・セルの亡き後、ブーレーズが1970〜1972年までの2年間を音楽顧問とした。そして1972年にマゼールが音楽監督に就任し、「クリーヴランドのローラーコースター」と称されるほどになった。セルとは違い20世紀の音楽を積極的に取り上げる形斗なったのだが、今回のレスピーギとリムスキー=コルサコフはその録音の一部である。


・レスピーギ:交響詩「ローマの祭」

録音:1976年5月10〜14日

 なんと言おうか、聴くたびに音質が違うように聴こえるため中々に聴きごたえのある演奏であることは間違いない。これまでに何種類もの「ローマの祭」を聴いてきたが、その中でも間違いなくトップクラスのダイナミック・レンジであるため、DSDマスタリングに関しても言うことがないくらいに仕上がっているのが聴くだけでよくわかる。金管楽器、特にトランペットもそうだが弦楽器や木管楽器、打楽器などオーケストラ全体が一つになって一貫性のある演奏を行なっているため、音色や響きの統一もされているのも素晴らしい。色彩的でありながらパワフルでエネルギーに満ち溢れた演奏を楽しむことができた名盤である。何よりもバンダ・トランペットの距離感が絶妙であり、舞台上のトランペットと交差する瞬間の音響は圧倒的な音圧とエネルギーを聴き手にもたらしてくれる。また、第1曲「チルチェンセス」中間部に入る瞬間のバス・トロンボーンの音圧とその音には非常に深く踏み締めた重みと存在感を確かに感じ取ることができる。


・レスピーギ:交響詩「ローマの松」

録音:1976年5月10〜14日

 「ローマの祭」では色彩的な美しさもあったがオーケストラ全体によるパワーからなる音圧や推進力、テンポの緩急といった感覚を感じ取ることができたが、「ローマの松」ではDSDマスタリングが施された「Esoteric Mastering」による絶大なる効果が余すことなく発揮されている。第2曲におけるトランペットソロの美しい音色や第3曲終盤におけるナイチンゲールの鳴き声で心の底から感動することができる。第4曲では終始伸びやかと振動が伝わってくる低音の響きとバンダ・トランペット、舞台上のトランペットなどによる圧倒的な音響が凄まじい。徐々にダイナミクス変化が上がっていくからこそ味わえる演奏というのもダイナミック・レンジの幅広さが増しているからこそであるし、オーケストラが向かうべき到達点が分かっているからこそ味わえる演奏であると言える。


・リムスキー=コルサコフ:組曲「金鶏」(4つの音楽的絵画)

録音:1979年10月

 元はリムスキー=コルサコフが作曲したオペラ作品である。今回の組曲はオペラとは別に演奏会用組曲を作る構想を抱いていた。しかし、最終的にはリムスキー=コルサコフが急逝してしまったことにより、シテインベルクとグラズノフの手によってまとめられた。第1曲「序奏とドドン王の踊り」、第2曲「戦場のドドン王」、第3曲「ドドン王とシェマハの女王の踊り」、第4曲「婚礼の祝宴とドドン王の哀れな末路と死、終曲」からなる。先ほどのレスピーギ作品とは違い、劇的な音色からなるスケールと一貫性のある物語が聴いていて非常に面白い。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによって、オーケストラ全体の細部まで細かく聴き込むことができる世界観が非常に素晴らしい。木管楽器と弦楽器による演奏が軽快であり、キャラクターがハッキリとしているというのも面白いポイントとなっている。

 マゼールによる録音はその年代ごとにアプローチが全くと言って良いくらいに差が出てくるため、聴き手によっては好みが分かれる指揮者と言っても良いかもしれない。個人的には今回聴いた3曲はいずれも非常に好みな演奏であったことは間違いなく、特に「ローマの祭」に関しては個人的に決定盤としているバティス&ロイヤル・フィル、バッティストーニ&東フィルに匹敵する凄みをたっぷりと味わえる名盤であった。


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