ジョージ・セルの亡き後、ブーレーズが1970〜1972年までの2年間を音楽顧問とした。そして1972年にマゼールが音楽監督に就任し、「クリーヴランドのローラーコースター」と称されるほどになった。セルとは違い20世紀の音楽を積極的に取り上げる形斗なったのだが、今回のレスピーギとリムスキー=コルサコフはその録音の一部である。
・レスピーギ:交響詩「ローマの祭」
録音:1976年5月10〜14日
なんと言おうか、聴くたびに音質が違うように聴こえるため中々に聴きごたえのある演奏であることは間違いない。これまでに何種類もの「ローマの祭」を聴いてきたが、その中でも間違いなくトップクラスのダイナミック・レンジであるため、DSDマスタリングに関しても言うことがないくらいに仕上がっているのが聴くだけでよくわかる。金管楽器、特にトランペットもそうだが弦楽器や木管楽器、打楽器などオーケストラ全体が一つになって一貫性のある演奏を行なっているため、音色や響きの統一もされているのも素晴らしい。色彩的でありながらパワフルでエネルギーに満ち溢れた演奏を楽しむことができた名盤である。何よりもバンダ・トランペットの距離感が絶妙であり、舞台上のトランペットと交差する瞬間の音響は圧倒的な音圧とエネルギーを聴き手にもたらしてくれる。また、第1曲「チルチェンセス」中間部に入る瞬間のバス・トロンボーンの音圧とその音には非常に深く踏み締めた重みと存在感を確かに感じ取ることができる。
・レスピーギ:交響詩「ローマの松」
録音:1976年5月10〜14日
「ローマの祭」では色彩的な美しさもあったがオーケストラ全体によるパワーからなる音圧や推進力、テンポの緩急といった感覚を感じ取ることができたが、「ローマの松」ではDSDマスタリングが施された「Esoteric Mastering」による絶大なる効果が余すことなく発揮されている。第2曲におけるトランペットソロの美しい音色や第3曲終盤におけるナイチンゲールの鳴き声で心の底から感動することができる。第4曲では終始伸びやかと振動が伝わってくる低音の響きとバンダ・トランペット、舞台上のトランペットなどによる圧倒的な音響が凄まじい。徐々にダイナミクス変化が上がっていくからこそ味わえる演奏というのもダイナミック・レンジの幅広さが増しているからこそであるし、オーケストラが向かうべき到達点が分かっているからこそ味わえる演奏であると言える。
・リムスキー=コルサコフ:組曲「金鶏」(4つの音楽的絵画)
録音:1979年10月
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