カラヤンによるブラームスの交響曲録音は全集含めて個々の作品で複数残されている。今回取り上げるベルリン・フィルもそうだがウィーン・フィルとも録音を残しておりタワーレコードではSACDハイブリッド盤として復刻されたりもしていた。ベルリン・フィルとのブラームス交響曲では2回目と3回目の録音がUHQCDとして発売されているが、今回取り上げる1回目の交響曲全集はそこまで復刻されている回数はない。今回はApple Music Classicalのハイレゾロスレスで演奏を聴いている。
・ブラームス:交響曲第1番
録音:1963年10月12〜16日
この時期によるカラヤンとベルリン・フィルによる録音ということもあって非常にストイックで、スリリングさを味わえるようなブラームスの交響曲第1番となっている。やや筋肉質にも聴こえるような引き締められたサウンドと凄まじい変化をみせるテンポの緩急が功を奏しており、重厚的で暗めな音色ではあるものの前向きに真っ直ぐと突き進んでいく快活さを演奏から味わうことができる。エネルギーに満ち溢れた演奏であることは間違いなく、最初から最後まで聴きごたえのある交響曲第1番だった。
・交響曲第2番
録音:1963年10月10,11日
快活でエネルギッシュな若々しさを味わえる素晴らしい交響曲第2番と言える演奏となっており、弦楽器群の伸びやかな音色もそうだがテンポも前向きで「緩→急」が非常に効果的に描かれている印象が強い。金管楽器群のサウンドは非常に活発さと活気的な音色を同時に味わえるようになっており、第4楽章になった時点で大分高いテンションとなった状態で楽しめる交響曲第2番となっている。テンポの緩急からなる躍動感もあるため、聴きごたえのあるブラームスとして期待して良いだろう。
・交響曲第3番
録音:1964年9月28〜30日
緊迫感が聴いているだけで伝わってくるかのようなメリハリのある演奏となっており、各楽器が奏でる音色と響きも聴き手に対して非常に強い印象を残す交響曲第3番となっている。甘さはやや控えめな演奏ながら明確さからなるダイナミクス変化とテンポの緩急が備わっているため、やや鋭めの統一された弦楽器群のスケールと美しさ溢れる濃厚な木管楽器の音色を余すことなく味わえるようになっている。第4楽章のキレ味も素晴らしく、聴きやすい演奏であることは間違いない。
・交響曲第4番
録音:1963年10月12〜16日
テンポの緩急が各楽章によって明確に変化していくため、流れの良さもそうだがベルリン・フィル全体のバランスとしても非常に優れた推進力と機動力をあわせ持つ演奏として交響曲第4番を聴くことができる。弦楽器群が先導しながら演奏が展開されているため、弦楽器寄りの音色を奏でる木管楽器や一体感もより強固になった金管楽器と打楽器など個性的ではあるが豊かなブラームス演奏を聴くことのできる名盤である。