第1816回「モントゥー生誕149年、エソテリックから復刻されたブラームス交響曲第2番と序曲」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは本日4月4日はピエール・モントゥーの誕生日です。今年で生誕149年となります。また、今年2024年はモントゥーの没後60年という年であり、来年2025年は生誕150年を迎えます。そんな本日ご紹介していくのは、モントゥー&ロンドン交響楽団によるブラームスの交響曲第2番、「大学祝典序曲」、「悲劇的序曲」です。今回は3月16日に発売されたばかりの「エソテリックSACDシリーズ」でみていきます。すでにタワーレコードからもSACDハイブリッド盤が発売されているため世界初SACD化ではありませんが、どのような仕上がりとなっているのでしょうか。


「ピエール・モントゥー指揮/ロンドン交響楽団」

ブラームス作曲:
交響曲第2番 ニ長調作品73

大学祝典序曲 作品80

悲劇的序曲 作品81



 モントゥーは17歳の時にフランスのジェローゾ四重奏団のヴィオラ奏者として活動している際、ブラームスの前で弦楽四重奏曲を演奏したことがあった。その際ブラームスから受けた称賛の言葉を忘れることなく、指揮者として活動してからもモントゥーはブラームスの交響曲を取り上げた。しかし、今日において録音が残されているのは交響曲第2番のみである。タワーレコード企画の「Definition SACD Series」にてSACDハイブリッド盤が2018年に発売されており、今回6年ぶりに最新のDSDマスタリングが施されて復刻した。


・ブラームス:交響曲第2番

録音:1962年11月28日〜12月1日

 多少ノイズはあるものの、全体的な演奏からして輪郭が明確によくわかるようなメリハリの効いた演奏であると言える。タワーレコード盤と比べるとロンドン響が奏でるサウンドが若干ダイレクトに感じることができるような印象も少なからずあり、弦楽器群の音色がやや固めの強靭的な演奏となっているようにも聴こえる。テンポの流れも非常に穏やかで滑らかなアプローチとなっているため、スムーズで聴きやすい。古楽器や室内楽編成で聴くブラームスよりも包み込まれるような優しさも感じ取ることができるため聴きやすい演奏であると言える。


・大学祝典序曲

録音:1962年11月28日〜12月1日

 快活に進められていく演奏で、勢いの良さの中にはエネルギッシュなパワーや推進力を感じるだけではなく奥深い音色をたっぷりと味わえるようになっている。ロンドン響全体としても一貫性のある凄まじいスケールからなる豪快なサウンドを聴くことができるようになっており、生き生きとした音色と響きを金管楽器、木管楽器それぞれから余すことなく聴くことができるのも大きなポイントと言えるだろう。


・悲劇的序曲

録音:1962年11月28日〜12月1日

 やや攻撃的にも聴こえるくらいの強靭さを弦楽器群筆頭に金管楽器も同様の音色から奏でており、爆発的なエネルギーによるダイナミクス変化やテンポの緩急が功を奏している。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることもあり、オーケストラ全体のテンションをより高い状態で聴くことができるようになったSACDハイブリッド盤という印象で、ダイレクトに音が伝わってくるかもしれないが聴きやすさに関しては十二分であると思われる。「大学祝典序曲」を聴いた後にこの曲を聴くとより対比が意識して作り込まれていることがよくわかる。

 モントゥーによる演奏はまだまだ聴いていない演奏が多数存在しているが、今回取り上げたブラームス交響曲第2番と「大学祝典序曲」、「悲劇的序曲」いずれもモントゥーを代表とする半世紀以上経った今でも愛される名盤中の名盤である。今回はエソテリック盤だったが、モントゥーの録音に関しては今後も追い続けたいと思う。

https://www.esoteric.jp/jp/product/essd-90288/feature