第1753回「キリル・ペトレンコ&ベルリン・フィルのショスタコーヴィチ交響曲第8,9,10番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、キリル・ペトレンコとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるショスタコーヴィチの交響曲第8番、第9番、第10番です。ショスタコーヴィチの交響曲がふと聴きたくなったので当盤を取り上げますが、発売されたのは1年前のこと。今回も「Apple Music Classical」から視聴をしています。


「キリル・ペトレンコ指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」

ショスタコーヴィチ作曲:
交響曲第8番 ハ短調作品65

交響曲第9番 変ホ長調作品70

交響曲第10番 ホ短調作品93



 ベルリン・フィルによるショスタコーヴィチの交響曲第8番、第9番、第10番を聴くことができる当盤。ベルリン・フィルによるショスタコーヴィチの録音というのも中々に貴重であるが、今回の録音は新型コロナウイルスのパンデミック中に行われた。2020年11月2日〜30日までフィルハーモニーは新型コロナウイルス感染拡大に伴い、閉鎖を余儀なくされたが、交響曲第9番はその直前である10月31日に録音された。同日にはこれから訪れるホール閉鎖による沈黙を表現するために、ジョン・ケージの「4分33秒」が演奏されている。


・ショスタコーヴィチ:交響曲第8番

録音:2020年11月13日

・・・ベルリン・フィルによる重厚的で分厚い弦楽器によるスケールを効かせることのできる演奏とショスタコーヴィチの交響曲第8番は意外と相性が合っているのかもしれない。というのも、この曲は終始陰鬱とまではいかないが暗い世界観となっており、第1楽章からして演奏時間も非常に長い。演奏ではダイナミック・レンジの幅広さが増したことによってオーケストラ全体の演奏を細部まで細かく聴き込むことができる上に、重厚的で分厚い圧倒的な音圧と共に演奏が行われるため、各楽器ごとにその圧倒的な演奏を楽しむことができる。個人的にもこの演奏は大分興味をそそられるような素晴らしい演奏であったことに間違いはない。


・交響曲第9番

録音:2020年10月31日

・・・各楽章ごとにそこまで演奏時間が長くなく、しつこい感覚を思わせるようなポイントがないこともあってこの曲に関しては他の交響曲よりも聴きやすくなっている。ユーモアや皮肉にすら感じる独特な世界観となっているため、第5番や第7番などを聴いていると物足りないと思えなくもないだろうが今回の演奏はどうだろう。退屈に思う以前にテンポの緩急とベルリン・フィルによって完成し尽くされたメリハリと細部まで細かく聴き込むことができるようになっていることによるダイナミクス変化がよりわかりやすく作り込まれている。今回の演奏は間違いなく名演だ。これまで何気なしに聴いていたこの曲のイメージをひっくり返すかのような面白さと何回でも聴きたくなってしまう感覚を一度に味わえるので、他の交響曲に引けを取らない瞬間を味わえるはずだ。




・交響曲第10番

録音:2021年10月29日

・・・重々しさも確かにあるが、「DSCH音型」も含めて交響曲としての明確なまでの姿が非常に聴きやすい形で演奏されており、テンポの緩急と「暗→明」という聴きやすい構成もあって非常に楽しめる演奏が行われている。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることによる効果と、各楽器ごとに演奏される圧倒的なサウンドには鳥肌が立つほどの衝撃に加えて、「ズシン」とした重みを確かに感じることができる。各楽章ごとに変化する弦楽器群と、ティンパニの歯切れ良い打撃に酔いしれるには充分な演奏であると言えるだろう。



 先日取り上げたキリル・ペトレンコ&ベルリン・フィルによるラフマニノフ第2弾を聴いた時点で、当盤が非常に素晴らしい名盤となることは理解できていたと言っても過言ではない。通常CD盤が発売されたのはもう1年も前のこととなるが、両者による新時代のベルリン・フィルの姿を見ることができるようになっているので、聴いているだけでその演奏が新鮮なものとなっている。今後もどんどん新しい録音を行なっていってほしいと思うし、それを聴いてみたいという感情が込み上げてくる。



https://tower.jp/item/5619022/ショスタコーヴィチ:-交響曲第8番、第9番、第10番-%5b2CD+Blu-ray-Disc%5d