第1742回「チェリビダッケ/フランス国立放送管 INAライヴ録音大集成:Disc 5,6」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

こちらはクラシック音楽のCDの名盤をレビューするブログです!
年間500枚以上クラシック音楽のCDを購入します。
好きな作曲家はマーラー、ストラヴィンスキー、ブルックナー、三善晃、ショスタコーヴィチなど
吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



 みなさんこんにちは😃本日は以前より取り上げている「チェリビダッケ/フランス国立放送管弦楽団 INAライヴ大集成」の続きを取り上げていきます。3日目となる本日は、Disc 5に収録されたベートーヴェンの交響曲第6番「田園」とストラヴィンスキーのバレエ音楽「ペトルーシュカ」より抜粋、Disc 6に収録されたブラームスの交響曲第3番とミヨーの「ブラジルの郷愁」とレスピーギの交響詩「ローマの松」をみていきます。いずれも非常に有名な曲ばかりとなっていて、ライヴだからこそ聴きごたえのある演奏が展開されています。

〜チェリビダッケ/フランス国立放送管弦楽団 INAライヴ大集成:Disc 5,6〜


「セルジュ・チェリビダッケ指揮/フランス国立放送管弦楽団」


[Disc 5]
ベートーヴェン作曲:
交響曲第6番 ヘ長調作品68「田園」

ストラヴィンスキー作曲:
バレエ音楽「ペトルーシュカ」より抜粋


[Disc 6]
ブラームス作曲:
交響曲第3番 ヘ長調作品90

ミヨー作曲:
ブラジルの郷愁 作品67b

レスピーギ作曲:
交響詩「ローマの松」



 チェリビダッケとフランス国立放送管によるベートーヴェン、ストラヴィンスキー、ブラームス、ミヨー、レスピーギの曲を聴くことができるDisc 5,6。個人的にはレスピーギの「ローマの松」を注目としていたところがあるものの、ベートーヴェンやブラームスの交響曲も中々に聴きごたえある仕上がりとなっていたように思える。


[Disc 5]

・ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

録音:1974年2月6日(ライヴ)

・・・濃厚ながら伸びやかでいて非常に美しいサウンドを聴くことができる「田園」。ライヴであるということによる臨場感と、オーケストラ全体で統一された音色と響きの凄みは聴いていて非常にまとまりがあるため、第4楽章での激しさもあるがそれよりも常に美しい感覚を味わえることに嬉しさを感じることができる。弦楽器と木管楽器の音色も、近年演奏されるベートーヴェン像では聴くことができないような往年の時代におけるアプローチが貫かれていることもあって、鮮明さも含めて聴きやすい演奏であることは間違いない。


・ストラヴィンスキー:バレエ音楽「ペトルーシュカ」より抜粋

録音:1974年2月6日(ライヴ)

・・・今回は全曲ではなく、抜粋された形で演奏が行われている。そのため演奏の始まりに関しては曲の冒頭から始まるわけではない。しかし、聴き終えた後は全曲通して聴き終えたかのような達成感があるのがこの演奏の面白いところで、演奏としては重心の低いやや重さのある演奏となっているのだが、オーケストラ全体として大分重いと感じるわけではないということが非常に素晴らしいと感じさせてくれる。オーケストラの一体感あるサウンドは何回聴いても聴きごたえある演奏となっていることは間違いなく、テンポの緩急も多少あるためそれに伴うダイナミクス変化も演奏から感じ取ることができるようになっている。


[Disc 6]
・ブラームス:交響曲第3番
録音:1974年2月15日(ライヴ)
・・・やや重心の低い演奏ながらテンポの緩急は明確となっている今回のブラームス。フランスのオーケストラではあるが、ドイツのオーケストラ並みの分厚いスケールと各楽器による美しい音色と響きがなんとも言えない美しさを作り出している。Disc 1に収録されたブラームスの交響曲第4番とセットで聴きたくなるような美しさ溢れる演奏で、重量感たっぷりの奥深いさを堪能するには充分なライヴである。

・ミヨー:ブラジルの郷愁
録音:1974年2月15日(ライヴ)
・・・元々はピアノ曲であり、今回は管弦楽編曲された組曲である。全12曲からなる組曲だが今回は9曲抜粋されて演奏されている。前回取り上げたDisc 3にも同曲の抜粋された曲が収録されている。クラシックというよりはジャズに近い独特な世界観となっており、編成もどちらかといえば室内楽寄りのオーケストレーションというように聴くができるだろう。演奏は多種多様で、聴いていて非常に面白い個性的な曲ばかりであることは間違いない。フランス国立放送管における個々の楽器の技量の高さを肌で感じ取ることのできるライヴ演奏である。

・レスピーギ:交響詩「ローマの松」
録音:1974年2月15日(ライヴ)
・・・チェリビダッケによる独特のテンポ設定がここまでぴたりと当てはまった演奏は中々ないように思える。特に「アッピア街道の松」でそのアプローチが余すことなく発揮されており、徐々にオーケストラ全体のテンションがダイナミクス変化と共に上がっていくのがよくわかる演奏となっている。他の曲ももちろん素晴らしい演奏となっており、フランス国立放送管の音色と響きを生かした煌びやかで幻想的なサウンドは冒頭から驚かされる。何より個々の楽器が奏でる演奏が非常に心地良い演奏となっており、まさに圧巻の名演と言えるだろう。

 早いもので、もうこのBOXも折り返しになりつつある。次回取り上げる予定のDisc 7,8ではピエール・フルニエを迎えて演奏されたドヴォルザークのチェロ協奏曲が収録されており、その他にはシューベルトの交響曲第5番などが収録されている。ロンドン交響楽団とのライヴとはまた違うチェリビダッケの良さを確かに感じることができるこのライヴ大集成、最後まで楽しめそうだ。