第1729回「朝比奈隆&大阪フィルによるチャイコフスキー交響曲第5番と第6番がSACD化」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、12月20日にタワーレコードで朝比奈隆生誕115年記念企画のSACDハイブリッド盤として発売された大阪フィルハーモニー交響楽団とのチャイコフスキー交響曲第5番と第6番「悲愴」、リャードフ「8つのロシア民謡」よりエレジーです。このうち交響曲第5番とリャードフは1996年米寿を記念したコンサートのメイン・プログラムで、「悲愴」は2002年に追悼盤として発売された代物となっています。シリアル・ナンバー付き700セットという非常に貴重な高音質盤となっていますので、聴く前から楽しみで仕方がありません。


「朝比奈隆指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団」

[Disc 1]
チャイコフスキー作曲:
交響曲第5番 ホ短調作品64

リャードフ作曲:
8つのロシア民謡 作品58よりエレジー

[Disc 2]
チャイコフスキー作曲:
交響曲第6番 ロ短調作品74「悲愴」



 朝比奈隆生誕115年として2023年にタワーレコードから復刻された当盤。21年ぶりと再販となっている。それまで再販されなかったことも意外だが、今回復刻されたことによってSACDハイブリッド盤となっているのだからこのタイミングがベストだったことは間違いないはず。


 ロシア人指揮者エマヌエル・メッテルに師事していたこともあり、チャイコフスキーを含むロシア人作曲家作品は朝比奈にとっても重要なレパートリーとなっている。新交響楽団の演奏会でデビューした際の曲もチャイコフスキーの交響曲第5番であり、最後の演奏会となった2001年の名古屋公演でもチャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番と交響曲第5番を演奏している。そう考えると、ベートーヴェンやマーラー、ブルックナーだけでないということを再認識させてくれる。


[Disc 1]

・チャイコフスキー:交響曲第5番

録音:1996年7月14日(ライヴ)

・・・アンコールとして演奏されている。テンポも遅くなり、重厚感は1990年ライヴよりも大分増している感覚である。その深みあるサウンドは、第2楽章で余すことなく発揮されており、ホルンの美しい音色と響きは誰もが感動を味わえることだろう。ダイナミック・レンジの幅広さが増していることもあって、弦楽器によるベルリン・フィルに引けを取らないような分厚いスケールからなる重厚的なサウンドを聴くことができるだけで惚れ惚れとしてしまう。テンポの緩急は演奏から明確に聴き取ることはできないかもしれないが、ライヴならではの臨場感が半端ではないので濃厚なチャイコフスキーを堪能したい時にはこの1996年ライヴを聴きたいと思える仕上がりである。


・リャードフ:8つのロシア民謡よりエレジー

録音:1997年2月13日(ライヴ)

・・・弦楽器の美しさとはかなさを合わせ持つ重厚的かつ伸びやかなスケールのある演奏が非常に素晴らしい今回のエレジー。2023年最新マスタリングによる効果のもと、ダイナミック・レンジの幅広さが増しているからこそ楽しめる演奏であると言えるだろう。短い曲ではあるが、この素朴さと意味深な世界観は両者だからこそ奏でることのできる独特な演奏である。


[Disc 2]
・チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」
録音:1997年2月13日(ライヴ)
・・・重厚的で濃厚だった交響曲第5番からすると、「悲愴」に関しては骨太な演奏であるようにも感じ取ることができるだろう。ただ、ずっとそういうわけではなく、弦楽器による壮大なるスケールを第1楽章や第4楽章でたっぷりと味わうことができる。重心がやや低く演奏されている分、テンポの緩急よりもダイナミクス変化が明確となっており、2023年最新マスタリングが施されたことによってその音圧はより一層増しているように感じられる。オーケストラ全体が演奏した際の情報量の多さもそうだが、細部まで細かくこだわり抜かれたチャイコフスキーの世界観を楽しめるのは当盤だからこそと言えるだろう。

 朝比奈隆によるSACDハイブリッド盤の復刻は、ここ何年かでタワーレコードから多くの種類が発売された。今月にも2種類新しいSACDハイブリッド盤が登場するが、元々のCDは現在では廃盤となっている分こうした形で音質改善もされた上で改めて演奏を楽しむことができるようになることは非常に嬉しいことのように思える。「キャニオンクラシックス」ではないが、マーラーの交響曲もぜひ再販してほしいというのが個人的な願望と言えるのかもしれない。