アバドとベルリン・フィルによるブラームス作品の録音は格別な演奏が非常に多く、今でもなお名盤として語り継がれている代物が非常に多い。交響曲全集にしかり、「ドイツ・レクイエム」もそうである。今回収録されているヴァイオリン協奏曲と二重協奏曲(ヴァイオリンとチェロのための協奏曲)もその中にある。
・ブラームス:ヴァイオリン協奏曲
録音:2000年5月(ライヴ)
・・・重厚的なベルリン・フィルによる音色をバックとして、ギル・シャハムによる明瞭かつ力強さを確かに感じ取ることのできる美しさとエネルギーに満ち溢れた演奏を聴くことができるようになっている。通常CD盤ながらダイナミック・レンジの幅広さが増している名盤となっており、後味や残響は非常に深みのあるずしんとした印象を受けるため往年の時代におけるベルリン・フィルのサウンドを思い出させてくれるようにも感じられるだろう。楽章が進んでいくにつれ、各楽器の音色は一層生き生きとした快活さがあり、スッキリとした明瞭感のある美しいブラームスのヴァイオリン協奏曲を楽しむことができる。テンポの緩急に関しても細かく確実に作り込まれている印象があり、ダイナミクス変化に関しても細部にわたってこだわり抜かれているので最初から最後まで楽しめる演奏であることは間違いない。
・ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための協奏曲
録音:2001年12月(ライヴ)
・・・ヴァイオリン、チェロそれぞれの演奏は非常に明確かつやや鋭く研ぎ澄まされたかのようなサウンドを聴くことができるようになっている。これによって、各楽章ごとに明確なテンポの緩急やダイナミクス変化が確立されていると言えるだろう。ダイナミック・レンジの幅広さが増したことによる細部まで細かく聴き込むことができる演奏に加えて、ヴァイオリンとチェロそれぞれのバランスが非常に良く演奏されているため、聴きやすさが増している。躍動的な面やどこか寂しさを感じさせるようか音色も演奏から通して聴くことができるようになっているので、個性的な二重協奏曲であるようにも聴こえるかもしれない。
これまでブラームスの協奏曲録音は他にも何種類か聴いてきたが、当盤はその中でも特に素晴らしい名演であると言えるだろう。アバド率いるベルリン・フィルのサウンドに負けないくらいの個性を出したギル・シャハムのヴァイオリンとジャン・ワンのチェロは聴いていて非常に心地良い印象を与えてくれる。高音質盤であるということも素晴らしいポイントとなっている。
https://tower.jp/item/4394284/ブラームス:ヴァイオリン協奏曲-ヴァイオリンとチェロのための協奏曲
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