ヤンソンスはバイエルン放送響とブルックナーの交響曲を全集とまではいかなかったが、複数曲の録音を残している。そのうちSACDハイブリッド盤として発売されている交響曲もあるが、交響曲第8番はその中の1曲である。
・ブルックナー:交響曲第8番
録音:2017年11月13〜18日(ライヴ)
第1楽章・・・ゆったりとした重厚的なテンポで演奏が進められていく第1楽章。弦楽器、特に低弦における圧倒的な分厚いスケールからなる存在感が非常に素晴らしいくらいの重厚感を誇る演奏となっている。ベルリン・フィルにも匹敵するほどの演奏と言えるかもしれない。金管楽器の音色に関してもまろやかで豊かな音色となっているため、聴いていて心地良いようにも解釈することができる。
第2楽章・・・スケルツォ楽章にあたるが、そこまでテンポが快速的に速いわけではない。むしろ遅いと感じることもなく、絶妙なバランスを誇っているため非常にちょうど良い。ダイナミック・レンジの幅広さも大分あるため、細部まで細かく聴き込むことができるようになっておりオーケストラ全体のダイナミクス変化によるバランスもうまく整われている。
第3楽章・・・荘厳的かつ重厚感たっぷりのテンポで演奏が進められていく第3楽章。金管楽器による圧倒的で全てを包み込むような演奏を楽しむことができるようになっているのは間違いないが、それよりも弦楽器による圧倒的なスケールが息を呑むかの如く美しい世界観を持って体感できるようになっている。これはライヴであるということも重なるが、SACDハイブリッド盤となっていることによるダイナミック・レンジの幅広さが増していることも大きな影響であることは間違いない。この演奏を聴いて感動しないものなどいないだろう。
第4楽章・・・この曲において最も有名であり、壮大なるスケールと圧倒的な迫力には聴くだけで虜となってしまうと同時にテンポの緩急からなるダイナミクス変化が明確な位置をついてくるため、ファンファーレが来るたびに鳥肌が立つ。ホルンとトロンボーンの圧倒的な咆哮と、それをまろやかにするトランペットの悠然とした音色、響きがなんとも言えない美しさを生み出している。