第1548回「ヨッフム&SKDによるハイドンの交響曲他をタワレコのSACDで聴く」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、2021年12月にタワーレコードから復刻されたオイゲン・ヨッフムとシュターツカペレ・ドレスデンによるハイドンの交響曲第93番、第94番、第95番、第98番と、ヴァーツラフ・ノイマンとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるハイドンの強奏交響曲変ロ長調、オトマール・スウィトナーと同じくライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団によるモーツァルトの交響曲第25番です。ヨッフムといえば「ドイツ・グラモフォン」に残されたハイドンが有名ですが、今回の録音はそれよりも前に録音された貴重な演奏です。SACDハイブリッド盤で聴くことができるので、今から楽しんでいきたいと思います。



「オイゲン・ヨッフム指揮/シュターツカペレ・ドレスデン」


ハイドン作曲:

交響曲第93番 ニ長調


交響曲第94番 ト長調


交響曲第95番 ハ短調


交響曲第98番 変ロ長調



「ヴァーツラフ・ノイマン指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団」


ハイドン作曲:

強奏交響曲 変ロ長調作品84



「オトマール・スウィトナー指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団」


モーツァルト作曲:

交響曲第25番 ト短調 K.183




 ヨッフムとシュターツカペレ・ドレスデンによるハイドンの交響曲をメインとしてノイマン、スウィトナーによるゲヴァントハウス管とのハイドン、モーツァルトがカップリングとして置かれている。ヨッフムによるハイドンは後に録音されたロンドン・フィルハーモニー管弦楽団との「ドイツ・グラモフォン」にて録音されたものが有名だが、今回の演奏ではその際に使われた版も違う形での演奏ということで非常に貴重な仕様となっている。


・ハイドン:交響曲第93番

録音:1967年11月6〜13日

・・・この時代らしい美しさと後味のスッキリとした透き通る感覚を覚える第93番。近年演奏されているような室内楽編成やピリオド楽器よる演奏的解釈に近い部分もあるが、ヨッフム独自の世界観で展開されているということが強いため非常に牧歌的で美しく、キャッチーに聴こえる演奏となっている。第1楽章〜第3楽章までは比較的にその傾向にあり、各楽器ごとの美しい音色と響きによって穏やかかつ安らぎを味わえる演奏が行われており、第4楽章では弦楽器と木管楽器を中心として鋭さはないが歯切れの良い俊敏な演奏を味わえる。そういう意味ではテンポの緩急に関しても明確に分けられているため綺麗で聴きやすいのではないかと思う。個人的にはフルートやティンパニのこの時代特有の良さを感じさせるような古風さのある音色が非常に好みだった。


・ハイドン:交響曲第94番

録音:1967年11月6〜13日

・・・「驚愕」の名前でお馴染みの第94番。第2楽章の衝撃だけでなく、他の楽章では非常に優雅なテンポによって美しさと気品溢れる演奏を楽しめるようになっている。2021年最新マスタリングが施されたことによるダイナミック・レンジの幅広さが功を奏しており、細部まで細かく聴き込むことができる。それによって各楽章ごとに絶妙な演奏からなる変化が柔軟さを持って聴くことができるようになっている。弦楽器によって安定感のある土台とメロディが奏でられ、金管楽器は打楽器と想像以上に一体感をみせている。


・ハイドン:交響曲第95番

録音:1967年11月6〜13日

・・・ここまでに聴いた交響曲とはまた違う演奏で、若干引き締められたまとまりのあるサウンドが第1楽章冒頭からインパクトのある演奏を奏でている。後のベートーヴェンなどを聴いているような感覚に近しい印象を受ける今回の第95番。細かいテンポの緩急に加えてダイナミクス変化もそれなりにあるため、聴きごたえとしても十二分にある印象である。弦楽器の中でも低弦やヴァイオリンなど個々で分かれているため響き方や聴こえ方に関しても違う。


・ハイドン:交響曲第98番

録音:1967年11月6〜13日

・・・非常に美しい広大かつスケールを感じることができる穏やかで牧歌的な交響曲。2021年最新マスタリングが施されたことによるダイナミック・レンジの幅広さが非常に素晴らしく、楽章によっては素朴さもあるかもしれないが、華やかさも味わえる常に変化する面白さを味わえる演奏である。また、チェンバロが演奏に加わっていることもあって響きに関してもここまでに聴いた3曲の交響曲とは違う気品さや時代的な音楽作りが出来上がっているので、聴きごたえとしても十二分にある面白い演奏と言えるかもしれない。


・ハイドン:強奏交響曲変ロ長調

録音:1967年1月23,24日

・・・ヴァイオリンにゲルハルト・ボッセ、チェロにフリーデマン・エルベン、オーボエにペーター・フィッシャー、ファゴットにヴェルナー・セルトマンを迎えている今回の演奏。各ソリストによる技巧も素晴らしいが、ノイマン率いるゲヴァントハウス管の演奏もソリストに合わせる形で演奏が行われている。まさにお互いが歩み寄ることによって生まれる古典的なサウンドの作りは聴いていて洗礼された美しさを味わえるようになっているので、何回聴いても非常に心地良い。繰り返し聴きたくなるような面白さがあるのでヨッフムの交響曲含めて流れでぜひ聴きたい演奏であることは間違いない。


・モーツァルト:交響曲第25番

録音:1962年7月、1963年11月23日

・・・まずスウィトナーによるモーツァルト演奏という時点で安心感を覚える。モーツァルトが作曲した交響曲の中でも数少ない短調からなる交響曲ということもあって常に緊迫感を味わえるようなスマートさが演奏では感じ取ることができるようになっており、尖った部分に関してはそれほどなくバランスの良いシンプルさが残っているモーツァルトであることは間違いない。ダイナミック・レンジの幅広さによって引き出される美しい音色と響きを細部まで細かく聴き込むことができるようになっているのは非常に大きく、ゲヴァントハウス管独特の豊かなサウンドをセットで味わえるのは大きなプラスになっている。


 ハイドンやモーツァルトは普段からあまり積極的に聴かないが、当盤に関しては積極的に聴きたくなるような素晴らしいアプローチやそれぞれの指揮者やオーケストラによる個性を思う存分に味わうことができたので、個人的には非常に満足している。まずはもっと早くに聴いておけばよかったという後悔も少なからずあるが、このタイミングで聴くことができて良かった代物であることに間違いはないだろう。


https://tower.jp/item/5296841/ハイドン:-交響曲第93番、第94番「驚愕」、第95番、第98番、協奏交響曲、モーツァルト:-交響曲第25番<タワーレコード限定>