第1545回「エフゲニー・ザラフィアンツ、ベートーヴェンとショパンのピアノ曲エソテリック盤」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、エフゲニー・ザラフィアンツによるベートーヴェンのピアノ・ソナタ第14番「月光」、第26番「告別」とショパンのバラード第1番、スケルツォ第1番、第2番です。こちらは2017年に迎えたエソテリックの創業30周年記念、ソフト制作10周年記念盤として発売されたSACDハイブリッド盤で、限定3000枚しかない代物です。現在では廃盤となっているため手に入れるのは少々難しいところがありますが、高音質盤によるベートーヴェンとショパンのピアノ曲を楽しむことができるのは非常に嬉しいのではないでしょうか?


「エフゲニー・ザラフィアンツ(ピアノ)」

ベートーヴェン作曲:
ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調作品27-2「月光」

ピアノ・ソナタ第26番 変ホ長調作品81a「告別」


ショパン作曲:
バラード第1番 ト短調作品23

スケルツォ第1番 ロ短調作品20

スケルツォ第2番 変ロ短調作品31


 ザラフィアンツはバッハやスカルラッティ、スクリャービンやラフマニノフなど幅広いレパートリーを演奏するピアニスト。1993年に行われたポゴレリチ国際コンサートでは準優勝に輝いている。そんなザラフィアンツによるベートーヴェンとショパンを聴くことができる今回のエソテリック盤。元々は3457円で発売されていたが廃盤となったことによって多少値段は上がっているようで、私が購入した際は確か5000円くらいだった。廃盤となった瞬間人気盤だと値段が大分跳ね上がる傾向の多いエソテリック盤の中では比較的に安いかもしれない。


・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第14番「月光」

録音:2017年1月24,25日

・・・ベートーヴェンが作曲したピアノ・ソナタの中でも比較的に親しまれている曲の一つである「月光」。実際聴いたのは大分久しぶりのことだが、非常にスムーズな足運びであり、各楽章ごとに個性を存分に出し切っている演奏ということもあって後味もスッキリとしている。強打で演奏されていたとしてもシャープな作りで強すぎることなく、弱音がより一層引き立てられている。SACDハイブリッド盤となったことによるダイナミック・レンジの幅広さがあることによって、引き締められた筋肉質な音楽とは違う透き通るような美しさと力強さを合わせて聴くことができる素晴らしいピアノ・ソナタと言えるだろう。第3楽章の駆け抜ける感覚は聴いていて清々しさを味わえるようになっている。


・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第26番「告別」

録音:2017年1月24,25日

・・・今回の演奏では軽快かつリズミックさがより一層引き立てられるような演奏となっており、「暗→明」という構成ではあるものの、常に重々しく暗いイメージを持つような演奏ではない。幅広く、ピアノをより全体に広々として演奏を行なっているため、壮大なスケールとダイナミック・レンジによって演奏を聴くことができる。歯切れの良さや豪快さで溢れる演奏となっており、固いピアノのタッチながらも繊細さと透き通るような透明度の高いザラフィアンツのピアノを楽しめるようになっている。


・ショパン:バラード第1番

録音:2017年1月24,25日

・・・聴いていて映画音楽を見ているかのようなポピュラーからくるユーモアさや抜群の面白さを全身から味わえるような安定感と豪快なテンポの緩急からなるダイナミクス変化が聴いていて非常に面白い。ピアノ全体を使って豊かなサウンドを奏でていることもあってダイナミック・レンジの幅広さに伴う壮大なスケールを味わえるのはもちろん、繊細な演奏も味わえるようになっているので、細部までより一層細かく聴き込むことができるようになっているのは非常に素晴らしい演奏と言えるだろう。


・ショパン:スケルツォ第1番、スケルツォ第2番

録音:2017年1月24,25日

・・・この2曲をセットで聴くからこそ味わうことができる素晴らしい世界観は聴いているだけで常に圧倒させられてしまうことは間違いない。ピアノを全体的に幅広く使いダイナミックに聴かせていながらも後味はシャープな仕上がりとなっているのは非常に面白い上に、ある意味では衝撃的に満ち溢れている演奏というようにも感じられる。今回のエソテリック盤だからこそ成せる素晴らしい技術と表現の結晶であると聴いていて楽しむことができた演奏である。


 ザラフィアンツによるピアノ曲自体今回がはじめて聴いたが自然に聴くことができた印象で、手に入りづらい代物ではあるが入門的な意味としては当盤は良い立ち位置にある名盤となるのではないだろうか?ひとまずザラフィアンツによる他の録音を今後聴いてみたいところだが、まずはエソテリック盤で聴くことができてよかったと思える素晴らしいピアノだった。


http://www.ac2.jp/tp/au_esosacd81.html