オーマンディとフィラデルフィア管によるセッション録音は比較的何種類か聴いているが、ライヴ録音はあまり聴いたことがなかった印象を受ける。そういう意味では今回の1967年における来日ライヴは非常に貴重な代物であることは間違いないだろう。大阪フェスティバルホールにて演奏されたバルトーク、ヒンデミット、ベルリオーズという3曲をライヴ録音で聴くことができるので楽しめるのは間違いない。
・ヒンデミット:交響曲「画家マティス」
録音:1967年5月4日(ライヴ)
・・・ヒンデミットの代表作の一つである「画家マティス」。今回の演奏では各楽章ごとにテンポの緩急が明確化されており、それに伴うダイナミクス変化の素晴らしさが演奏からよくわかるようになっている。統一された弦楽器による鋭さと研ぎ澄まされた感覚や活気ある金管楽器のサウンドと、滑らかさと透き通る美しい音色で奏でられる木管楽器があり、それぞれが混ざり合うことによって非常に素晴らしい「画家マティス」が出来上がっている。終結部における金管楽器の荘厳さと安定感は非常に素晴らしい締めくくりとなっているのは間違いない。
・バルトーク:管弦楽のための協奏曲
録音:1967年5月4日(ライヴ)
・・・オーマンディによるこの曲の録音は3種類セッション録音が残されているが、今回のライヴは格別と言っても良い。音質が不安定なこともあって終始歪みが生じているが、それを気にすることがないくらいに絶妙なバランスが取られているのとオーケストラ全体から感じられる熱量が全く違う。オーマンディとフィラデルフィア管による演奏で言えば、バレエ組曲「中国の不思議な役人」は個人的によく聴く録音で、今回のライヴとセットで聴きたいと思える凄みに満ち溢れていたのは間違いない。ライヴならではの臨場感に加えて各楽器によるアンサンブルや素晴らしい技巧の数々は聴きごたえのあるものとなっている。主張しすぎている楽器もそれほどないため、後味もスッキリとしていて聴きやすい。当盤のメインは間違いなくこの曲と言って差し支えないだろう。曲の締めくくりに関しても非常に素晴らしい。
・ベルリオーズ:劇的物語「ファウストの劫罰」よりハンガリー行進曲
録音:1967年5月4日(ライヴ)
・・・この演奏会におけるアンコールとして演奏されたのだろう。金管楽器の「パリッ」としたサウンドとオーケストラ全体から感じられる前向きで勢い良い感覚が非常にこの曲にぴたりと当てはまっている。ダイナミック・レンジの幅広さがあるため、残響もうまく味方としてつけていてまさに白熱のライヴと言える素晴らしい仕上がりとなっている。スケールのある弦楽器や一体感を増している金管楽器と打楽器の圧倒的なサウンド、音圧どれをとっても素晴らしい「ハンガリー行進曲」となっているのは間違いない。
オーマンディのCD自体個人的には割と久しぶりだった気がしている。個人的にはバルトークの
「管弦楽のための協奏曲」が収録されているということもあって購入したが、他の2曲も十二分に素晴らしい演奏だった。オーマンディのCDに関してはまだまだ手に入れていないものも含めて聴けていない名盤が多数存在しているので、今後積極的に手に入れたいところである。
https://tower.jp/item/4844397/バルトーク:-管弦楽のための協奏曲、ヒンデミット:-交響曲「画家マチス」、他
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