アシュケナージはピアニストだけでなく指揮者としても活躍を残している。N響とも過去にベートーヴェン交響曲全集を録音しているが、リヒャルト・シュトラウス作品も多く録音を残した。今回はチェコ・フィルとの「アルプス交響曲」と「ばらの騎士」で、キャニオンクラシックス原盤に基づく代物である。これまで通常CD盤とHQCD盤が発売されてきたが、今回SACDハイブリッド仕様となって8月24日に発売された。
リヒャルト・シュトラウス:アルプス交響曲 1999年3月21,22,27日録音
・・・アシュケナージはクリーヴランド管弦楽団とも「アルプス交響曲」を録音している。今回のチェコ・フィルとの録音はその後に録音された演奏である。あいにくキャニオンクラシックス原盤を持っていないため、音質の違いはわからないのだが、今回のSACDハイブリッド盤は間違いなく音質は良い代物と言えるだろう。オーケストラ全体のサウンドとしては非常に厳格かつ固さが目立つ演奏となっており、それによる豪快さはあるものの自由度はあまりない印象。各楽器の演奏もよりダイレクトに味わえるようなっているため美しい音色や響きとは若干ズレてしまうかもしれないが、SACDハイブリッド盤となったことによるダイナミック・レンジの幅広さによって店舗の緩急はより一層明確かつわかりやすく付けられているので聴いていて驚かされたり、感動したりと映画を見ているかのようなハラハラさせられる場面は多々あるのでそれなりに楽しめる演奏となっている。
歌劇「ばらの騎士」より第1ワルツ集 1999年3月21,22,27日録音
・・・リヒャルト・シュトラウスの代表的なオペラの一つである「ばらの騎士」。組曲版として様々な形で演奏されるケースが非常に多い曲でもあるわけだが、今回はワルツを中心としている。やや重心の低さもありつつ弦楽器と木管楽器が煌びやかで美しい音色と響きをまといながら演奏している。細かいテンポチェンジやダイナミクス変化に伴う今回の演奏は13分ほどと短いのが残念に感じてしまうが、その短い時間の中にある情報量は非常に多いので何度でも聴きたくなるような面白さに満ちていることは間違いない。
アシュケナージとチェコ・フィルによるリヒャルト・シュトラウス。現在までに「Exton」かり複数録音発売されているので今後も取り上げられればと思っている。また、アシュケナージのピアノ録音含めて指揮した録音をあまり多く所有できていないようにも思えたので、今後それらも購入するように検討していきたいところだ。
https://tower.jp/item/5514087/R-シュトラウス:アルプス交響曲-作品-64