第1254回「上岡敏之&ヴッパータール響によるワーグナー、《ニーベルングの指環》管弦楽曲集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日9月20日は上岡敏之さんの誕生日です。今年で62歳になります。おめでとうございます🎉そんな本日は上岡さんがヴッパータール交響楽団と録音したワーグナーの「ニーベルングの指環」管弦楽曲集と「ファウスト序曲」をみていきます。ライヴ録音ならではの臨場感あふれる名演を堪能していきたいと思います。


「上岡敏之指揮/ヴッパータール交響楽団」

ワーグナー作曲:
ファウスト序曲

「ニーベルングの指環」管弦楽曲集
楽劇「ラインの黄金」よりヴァルハル城への神々の入城

楽劇「ワルキューレ」よりワルキューレの騎行

楽劇「ワルキューレ」よりヴォータンの告別と魔の炎の音楽

楽劇「ジークフリート」より森のささやき

楽劇「神々の黄昏」よりジークフリートのラインへの旅

楽劇「神々の黄昏」よりジークフリートの死と葬送行進曲



 2010年4月18,19日ライヴ録音。オペラ指揮者である上岡さんのワーグナーである。過去に「Exton」から発売されたワーグナー管弦楽曲集を取り上げたことがあるが、独創的なアプローチで驚かされたと同時に非常に楽しむことができた。そのほかにマーラーやブルックナーの交響曲も個性的な演奏で面白い録音だったという記憶がある。どの演奏もSACDハイブリッド仕様の高音質盤となっているのでライヴならではの空気感を余すことなから味わえるので非常に素晴らしい名演となっている。


 ワーグナー:ファウスト序曲

・・・ワーグナーが作曲した演奏会用序曲である。元々はゲーテの「ファウスト」に基づいた「ファウスト交響曲」を作曲するつもりでこの曲が作られたものの、最終的にはこの曲のみで序曲とされている。他の管弦楽曲と似ている箇所もあるが、独創的でなおかつ聴きやすさがある。冒頭のチューバソロに関してもその後の世界観をうまく作り上げる音色と響きとなっているので統一感もある。SACDハイブリッド盤ということでダイナミック・レンジも多少はあるためライヴならではの迫力を味わうことができるだろう。


 楽劇「ラインの黄金」よりヴァルハル城への神々の入城

・・・抜群の安定感を感じることができる美しい演奏によって「ニーベルングの指環」の世界への扉が開かれる。やや低めの重心による演奏で、木管楽器と弦楽器が幻想的で美しく心地良い音色を奏でている。金管楽器群は音圧を強くしているというよりは芯のある音になっていて重みが乗っかっている。短い抜粋ではあるが、素晴らしい始まり方となっているのでこの後もどんどん聴きたくなること間違いなしだ。


 楽劇「ワルキューレ」よりワルキューレの騎行

・・・「ニーベルングの指環」及びワーグナー・オペラの中でも特に有名であるこの曲。今回の演奏でいえば金管楽器による音圧や弦楽器による鋭いスケールはそれほど感じられないかもしれない。そのためもう少しばかりボルテージを上げたくなるかもしれないのだが、柔軟性という面や音色の美しさからくる圧倒的な存在感は同曲録音の中でも類を見ないと言えるだろう。なによりオーケストラ全体でサウンドの統一がされているため推進力も加わってなお聴きやすい「ワルキューレの騎行」となっている。


 楽劇「ワルキューレ」よりヴォータンの告別と魔の炎の音楽

・・・まるでオペラでの演奏を聴いているかのような壮大感と美しさを兼ね備えた音色や響きをしている。テンポの緩急もあるが、ダイナミクス変化の差が特に激しいということもあって中々に聴きごたえのある演奏となっている。なにより今回演奏されている金管楽器の美しい音色は過去に聴いたことがないほどで、オーケストラ全体が盛り上がったとしてもその美しいサウンドは保たれたままとなっている。それに弦楽器と木管楽器が煌びやかな音色と響きで演奏しているのでより一層聴きやすさが増している。


 楽劇「ジークフリート」より森のささやき

・・・今回演奏されている曲の中で間違いなく一番美しい音色、響きをしていた演奏であると聴いている最中に感じることができた。これまで「ジークフリート」に関してはそれほど積極的に聴いてこなかった部分があるのだがこれを機会として聴き始めたくなるくらいに素晴らしい演奏と言えるだろう。木管楽器の牧歌的な音色と統一感のある弦楽器群からなる柔軟性とまとまりあるサウンドはメイン的な立ち位置にある木管楽器をうまく支えており、うまく全体像が想像しやすいようにアプローチされているので非常に素晴らしい演奏となっている。


 楽劇「神々の黄昏」よりジークフリートのラインへの旅

・・・ここでようやく今まで溜めていたエネルギーを放出するかのように金管楽器がより前進していく。特にホルンによるその場面ごとに合わせた音色の細かい変化やトランペット及びトロンボーンによるまとまりあるサウンドが功を奏している。それに対して引けを取らないのが木管楽器と弦楽器で、柔軟性と軽快さを合わせ持つその姿は特に美しく輝きに満ちた状態で演奏されているので、非常に聴きごたえのある演奏となっている。常に個性が強いわけではないが、その都度バランス良く演奏されていることがこの曲をより素晴らしい名演としていることを随所より感じることができる。


 楽劇「神々の黄昏」よりジークフリートの死と葬送行進曲

・・・私個人としては「葬送行進曲」はよく聴くため聴くのが楽しみだった。そしてその期待は想像以上に大きく、素晴らしいものとなっていた。ここまで金管楽器群に関してはほとんどと言っていいくらいに音圧よりも美しい音色が目立っていたが、全てはこの曲のために力を温存していたのか?と思わず考えてしまうくらいの爆音で正直耳が壊れそうなほどで、心が震え上がるくらいの素晴らしい演奏だった。「緩→急」へのダイナミクス変化も非常に素晴らしく、SACDハイブリッド仕様の高音質盤だからこそ味わえる凄みを存分に感じることができるだろう。


 後に「Exton」から発売されたワーグナー管弦楽曲集とセットで聴きたくなる今回の「ニーベルングの指環」管弦楽曲集。発売されたのは大分前で現在では少々手に入れづらいのだが、それとしても素晴らしい演奏に仕上がっていることには間違いない。手に入れてから聴いた際の達成感は大いにあると思う。今回の演奏によってワーグナー・オペラをまた聴きたくなったので近いうちに「ニーベルングの指環」本編を聴きたいと思える良さだった。


https://tower.jp/item/2750819/ワーグナー:≪ファウスト序曲≫-≪ニーベルングの指環≫管弦楽曲集