マルケヴィチが「旧Philips」に残した録音を高音質盤で聴くことができるのは非常に嬉しい。今回の「ヴィンテージSACDコレクション」で復刻されたビゼー、ベートーヴェン、リムスキー=コルサコフの名曲たちを2022年最新マスタリングで聴くことができるのは素晴らしいことである。個人的にはぜひチャイコフスキー交響曲全集も流れで進めてほしいが、必ず実現するとも限らないので以前購入した「ドイツ・グラモフォン」、「旧Philips」に残された録音を収録した曲集を先に聴いていきたいところ。
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」、1962年10月20〜22日録音
・・・リムスキー=コルサコフの代表作である「シェエラザード」。マルケヴィチはロシア音楽を多数録音したが、その中でも重要な位置にある曲の一つである。躍動的かつ豪快なそのアプローチは今回の2022年最新マスタリングによるダイナミック・レンジの幅広さによってさらに聴きごたえのある名演として生まれ変わっている。細部まで細かく聴き込むことができるのはもちろんのこと、歯切れの良い打楽器を聴くことができるのは個人的に嬉しかった。また、やや個性の強い印象を受ける金管楽器の音色はこの曲をより引き立てるポイントとなっており、それによってオーケストラ全体のサウンドが引き締まると同時に迫力が増している。金管楽器群による存在感溢れる音圧にも注目していただくとよりこの曲を全身で楽しむことができるだろう。
スペイン奇想曲、1962年10月20〜22日録音
・・・「シェエラザード」と同時期に作曲されたリムスキー=コルサコフの代表的な作品と一つである。元々はヴァイオリンと管弦楽のために作られた曲となるはずだったが、管弦楽曲として変更されている。「アルボラーダ」、「夕べの踊り」、「アルボラーダ」、「ジターンの情景と歌」、「アストゥリアのファンタンゴ」の5曲からなる。「シェエラザード」の後に演奏を聴いているためかマルケヴィチとロンドン響の相性の良さを体感することができるようになっている。テンポの緩急に合わせて細かく変化するダイナミクスや推進力を常に感じることができるエネルギッシュさも非常に素晴らしい。特に弦楽器の柔軟性と金管楽器、打楽器の統一された音圧と爆発力を侮ることはできないだろう。
マルケヴィチ生誕110年記念企画としてタワーレコードの「ヴィンテージSACDコレクション」から復刻された名盤も残すところベートーヴェンの交響曲4種類となった。もちろんそれに関しても購入しているので、聴き終えた段階で取り上げたいと考えている。それとしても今回のリムスキー=コルサコフの「シェエラザード」、「スペイン奇想曲」は聴きごたえのある名盤だった。今後も同じような形でSACDハイブリッド盤が登場するかはわからないが、今までそれほどマルケヴィチの演奏を聴いてこなかった分今後は少しずつ聴いていきたいと思っている。
https://tower.jp/item/5496586/リムスキー=コルサコフ:-交響組曲「シェエラザード」、スペイン奇想曲<タワーレコード限定>
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