第1236回「ノイマン&チェコフィルによるドヴォルザーク交響曲全集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日9月2日はヴァーツラフ・ノイマンの命日です。今年で没後27年となります。ドヴォルザーク、マーラーをはじめとして多くの名盤を残してきた指揮者ですが、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団と残した演奏の数々は今でも愛される素晴らしい名演と言えるでしょう。そんな本日ご紹介していくのは1981〜1987年にかけてチェコ・フィルと録音したドヴォルザーク交響曲全集をみていきます。1971〜1973年の間にもこのコンビは交響曲全集を完成させていますが、この第2回録音はよりダイナミックかつ荘厳的な名盤と言えるでしょう。


「ヴァーツラフ・ノイマン指揮/チェコ・フィルハーモニー管弦楽団」

ドヴォルザーク作曲:
交響曲第1番 ハ短調作品3「ズロニツェの鐘」

交響曲第2番 変ロ長調作品4

交響曲第3番 変ホ長調作品10

交響曲第4番 ニ短調作品13

交響曲第5番 ヘ長調作品76

交響曲第6番 ニ長調作品60

交響曲第7番 ニ短調作品70

交響曲第8番 ト長調作品88

交響曲第9番 ホ短調作品95「新世界より」



 このノイマンとチェコ・フィルによるドヴォルザーク交響曲全集は私が初めて手に入れたドヴォルザークの交響曲全集で、こうして演奏を聴くのも実に4,5年ぶりのことである。「Exton」に残された最晩年の録音は以前聴いているが、それよりも前に録音された当盤はノイマンを代表するドヴォルザーク録音であることは間違いないだろう。通常CD盤ではあるものの、ダイナミックな演奏は聴くもの全てを圧倒すること間違いなしとなっている。


 ドヴォルザーク:交響曲第1番「ズロニツェの鐘」、1987年6月15〜17日録音

・・・ドヴォルザーク最初の交響曲である。生前に演奏されることも出版されることもなく、ドヴォルザークの死後発見された。有名な第7番〜第9番の交響曲とは違い、穏やかで慈愛に満ちた交響曲という印象に近いかもしれない。チェコ・フィルの音色はただただ美しく、パワープレイを仕掛ける素振りなど一切ない。オーケストラ全体に一貫性ある統一されたアプローチと、まろやかで甘さ強めの音色と響きを存分に味わえるようになっている。やや重心が低いためか安定感のあるどこか余裕すら感じられる第1番だった。


 交響曲第2番、1987年10月録音

・・・第1番に続き非常に穏やかで聴いているだけで安らぎを与えてくれるような曲である。木管楽器と弦楽器が中心となってオーケストラ全体を先導しており、その優しさに満ちたまろやかで美しさのある音色と響きは非常に素晴らしい。テンポは基本的に一定でそれがブレることはない。ダイナミック・レンジの幅広さもそれなりにあるため、奥深い豊かな響きをより一層味わいやすくなっている印象だ。ブラームスの交響曲からの影響がおそらく強いのだろう。第4楽章終結部の畳み掛ける瞬間や荘厳的な趣きはブラームスの交響曲第1番と第2番を思わせる形となっている。


 交響曲第3番、1985年3月録音

・・・スメタナの指揮によって初演が行われた第3番。唯一の3楽章からなる交響曲で、ワーグナーからの影響が強い作品となっている。「暗→明」の形がとられた親しみやすい点に加えてテンポの緩急も備わっている。第1楽章〜第2楽章では濃厚かつ豊かな音色と響きで奏で、第3楽章に入った瞬間にテンポは速くなり、疾走感とキレ味がチェコ・フィル全体で増した印象を受ける。それによって金管楽器の活気も明確なものとなってより聴きやすさのある演奏が展開されている。チェコ・フィルが奏でるサウンドには重さなどないこともあるのが特徴と言えるだろう。


 交響曲第4番、1984年9月11〜14日録音

・・・他の番号付き交響曲と同じようにワーグナーからの影響を受けている今回の第4番。楽章が進んでいくごとに響きも明るくなり、より聴きやすさが増していく印象を受ける。柔軟性とスケールを合わせ持つ弦楽器、軽快で重さがなく弦楽器のバックアップをうまく行えている木管楽器を中心としており、荘厳的でより厳格な交響曲をベースとしつつも聴きやすい形を目指しているのがよくわかるアプローチと言えるだろう。


 交響曲第5番、1982年4月録音

・・・ブラームスとワーグナーからの影響が色濃く反映されている第5番の交響曲。徐々にギアを上げていき、第4楽章にてそれを開放したような大きな衝撃を持って演奏されている。ダイナミック・レンジの幅広さによって奥深い豊かなサウンドとなっており、より一層ブラームスやワーグナーの印象を強める形となっているが、それとは別でこの後の交響曲に通じるようなドヴォルザーク独自のサウンドを見逃すことなく聴くことができる。トランペットをはじめとする金管楽器のサウンドもキツすぎることなく演奏されているため、聴きやすさがあると言えるだろう。


 交響曲第6番、1982年9月14,15日録音

・・・第7番〜第9番に続いて演奏される確率の高い第6番。ノイマンをはじめとしてアンチェルやクーベリック、スウィトナーなどをはじめとする名だたる指揮者が取り上げている。出版当初は第1番とされていたが、最終的には第6番としての立ち位置にある。ブラームスからの影響を強く受けている作品で、交響曲第2番との類似点が散見できるようになっている。演奏では各楽器ごとに特徴的な音色と響きを生かせるようなノイマンのアプローチによってはじめて聴いてもこの曲の魅力に気づくことができるような面白さがわかるだろう。


 交響曲第7番、1981年10月録音

・・・交響曲第8番、第9番に並んでドヴォルザーク作品の中でも頻繁に演奏されるケースが多い名曲中の名曲である。「暗→明」へと変化していく交響曲ながら完全に明るくなることがないようになっているため、どこかブラームスに似た渋みや奥深さを感じることができるようになっている。やや低めの重心からなる荘厳的で落ち着きのあるノイマンのアプローチによって、やや重厚的でベルリン・フィルとまではいかないがドイツのオーケストラを連想させるような重みと深みを合わせ持ったサウンドが作り上げられている。


 交響曲第8番、1982年4月20〜27日録音

・・・第7番、第9番同様にドヴォルザークの交響曲の中でも顔と言うべき名曲である。チェロの伸びやかで美しい音色やトランペットによるファンファーレなどどの部分をとっても晴れやかな気分になることができる。演奏として、テンポの緩急は大袈裟なほどではないにしてもそれなりに味わうことができる。重心が低く、安定感のある演奏を聴くことができるようになっているため、チェコ・フィルのサウンドも非常にバランスが良い。特に第4楽章は各楽器の音色が生き生きとしていることもあって大分聴きやすい。ややテンポが重めとなっているため、疾走感やキレ味はないものの交響曲としての壮大な姿を見ることができるようになっていることは間違いないだろう。


 交響曲第9番「新世界より」、1981年10月録音

・・・ドヴォルザークを代表とする名曲中の名曲である。今回の演奏に関してはキレ味や威力抜群の音圧というわけではなく、やや重心の低さからなる抜群の安定感と温かみある豊かな音色と響きが特に聴きごたえのある部分と言えるだろう。そういう意味では有名な第2楽章は聴いているだけで感動してしまうような心が癒される美しさがある。チェコ・フィル全体として、幅広くどこか余裕すら感じさせる穏やかなサウンドにはいつものキレ味のある豪快な演奏とはまた違う良さがあると言えるだろう。


 なんとか夜遅くにギリギリの更新となったのですが、毎日投稿を死守することはできました。今日までアンチェル、クーベリックをはじめとする往年の時代におけるドヴォルザークを十八番とした指揮者たちの名盤の一つであるこのノイマンの全集、私個人としては決定盤とまではいきませんでしたが9曲の交響曲はどれも聴きごたえがあったことには間違いないでしょう。後日第1回にあたる1971年〜1973年の全集を購入して聴いてみたいと思います。その中でいえばタワーレコード企画のSACDハイブリッド盤となっている第6番〜第9番に関してはすでに聴き終えていますが、第1番〜第5番まではまだ聴けていないので積極的に探していきます。


https://tower.jp/item/1647120/ドヴォルザーク:交響曲全集