ヴェルディの「椿姫」に関しては以前随分前に取り上げたカルロス・クライバーとバイエルン放送交響楽団によるエソテリック盤を聴いた時以来となるので、約2,3年ぶりとなる。数多くのイタリア・オペラを録音してきたセラフィン、以前プッチーニの歌劇「ラ・ボエーム」を聴いた時はカラヤン盤とはまた違う衝撃を受けた。今回取り上げる「椿姫」も前回以上の大きな衝撃を与えてくれることに違いない。
ヴェルディ:歌劇「椿姫」、1959年6月11〜18,20〜22日、10月4日録音
・・・今回の演奏はなんといっても豪華な歌手陣による歌唱力が非常に素晴らしい。2022年最新マスタリングの効果も大きく影響していると思うのだが、想像していた以上の収穫があったと言えるだろう。まずは配役を見ていきたい。
ヴィオレッタ・ヴァレリー:ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘルス(ソプラノ)
フローラ・ベルヴォア:サンタ・チザーリ(メゾ・ソプラノ)
アンニーナ:シルヴィア・ベトーナ(ソプラノ)
アルフレード・ジェルモン:カルロ・デル・モンテ(テノール)
ジョルジョ・ジェルモン:マリオ・セレーニ(バリトン)
ガストーネ(レトリエール子爵):セルジオ・テデスコ(テノール)
ドゥフォール男爵:ヴィコ・ポロット(バリトン)
ドビニー侯爵:シルヴィオ・マイオニカ(バス)
グランヴィル医師:ロナルド・ジャイオッティ(バス)
ジュゼッペ(ヴィオレッタの下男):レナート・エルコラーニ(テノール)
ローマ歌劇場合唱団(合唱指揮:ジュゼッペ・コンカ)
「旧EMI」に残された貴重な録音ということもあるが、数多くのイタリア・オペラを指揮してきたセラフィンによる最高峰の録音となっていることは言うまでもない。デ・ロス・アンヘレス、デル・モンテをはじめとする豪華な歌手陣による伸びやかな歌声と聴くもの全てを圧倒するかのような歌唱力には聴いていてただただ圧倒された。同時に鳥肌が立ってしまうくらいに素晴らしい名盤であると感じることができた。マスター・テープの状態も非常に良かったという記載もあり、それによる2022年最新マスタリングが施された演奏のダイナミック・レンジの幅広さには実際に生で演奏を聴いているかのような臨場感を味わうことができる。また、歌手だけでなくローマ歌劇場管の美しさ極まった音色と幅広い豊かな響きもセットで聴くことができるため、これほど豪華な演奏があるだろうか?テンポは緩急もありつつ穏やかで落ち着きのある荘厳的な「椿姫」を楽しむことができるようになっている。
久しぶりに聴いた「椿姫」、以前聴いたカルロス・クライバーとバイエルン放送響によるエソテリックSACDハイブリッド盤よりも今回のセラフィンとローマ歌劇場管によるタワーレコードSACDハイブリッド盤の方が好みだったようにも思える。たっぷりとセラフィンによるアプローチで演奏を効かせていて歌手やオーケストラが伸びやかに、自由に演奏できているように感じ取ることができた。後日同シリーズで同時発売されたヴェルディの「レクイエム」と序曲集をまだ購入できていないので、そちらを購入して聴いてみたいところである。
https://tower.jp/item/5374107/ヴェルディ:-歌劇「椿姫」全曲(歌詞対訳付)<タワーレコード限定>
![](https://ssl-stat.amebame.com/pub/content/9477400408/amebapick/item/picktag_autoAd_301.png)