第1218回「カラヤンによる《ドン・キホーテ》、《ドン・ファン》、《ティル》のエソテリック盤」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃先日からエソテリックSACDシリーズを取り上げ続けていますが、その一度聴くと虜となってしまうような名盤がさらに高音質盤となって蘇る瞬間というのはこれほどまでに嬉しいことはないでしょう。今回は7月に発売された4種類のうち1種類であるヘルベルト・フォン・カラヤンとベルリン・フィルハーモニー管弦楽団によるリヒャルト・シュトラウスの名作である交響詩「ドン・キホーテ」、「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、「ドン・ファン」の3曲をみていきます。



「ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」


リヒャルト・シュトラウス作曲:

交響詩「ドン・キホーテ」作品35


交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」作品28


交響詩「ドン・ファン」作品20




 カラヤンによるリヒャルト・シュトラウス作品の録音は非常に多く種類が存在し、大変人気のある名盤である。ウィーン・フィルとの管弦楽曲集もそうだし、ベルリン・フィルとの各曲の録音は決定盤に近い名盤として扱われている。エソテリック盤でも何枚か登場しており、「アルプス交響曲と死とメタモルフォーゼン」、「英雄の生涯と死と浄化」が直近でエソテリックSACDシリーズで発売されている。それらは当ブログでも取り上げているが、言葉を失うほどの美しさを誇る演奏であることは言うまでもない。


 リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ドン・キホーテ」、1986年1月録音

・・・1965年、1975年、1986年と計3回カラヤンは「ドン・キホーテ」を録音している。今回は3回目にあたる録音だ。1965年録音ではピエール・フルニエ、1975年録音ではムスティスラフ・ロストロポーヴィチが独奏チェロを担当しており、1986年録音ではアントニオ・メネセスが演奏している。独奏ヴィオラにはヴォルフラム・クリスト、コンサートマスターはレオン・シュピーラーが演奏している。変奏曲ではあるが、チェロ協奏曲というわけではないこの曲。他の交響詩のような高度な技術を必要とするような場面はそれほどなく、穏やかに物語は進行していく。チェロ協奏曲ではないにしても独奏チェロの伸びやかで曇りのない音色には思わずうっとりさせられてしまう。ベルリン・フィルのサウンドも重すぎるというわけではなく、広大で広々としたこれまでの圧倒するタイプの演奏とは対照的なダイナミクスとスケールを持って演奏されている。


 交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」、1986年6月録音

・・・1951年、1955年、1960年、1972年、1986年の計5回カラヤンはこの曲を録音している。5回目の録音となった今回の録音は、カラヤンが十八番としているリヒャルト・シュトラウス作品であるということもあって落ち着きと安定感のあるバランスの取れたサウンドを聴くことができる。重厚的な低弦を土台とし、キャッチーで軽快で明るさを前面的に押し出した木管楽器や研ぎ澄まされた煌びやかで柔軟性のあるスケールを描くヴァイオリンをはじめとする弦楽器が非常に聴きごたえがある。金管楽器の存在も多く、決めどころを逃すことのない打楽器との組み合わせが威力抜群となっている。また、テンポの緩急もあるためバラエティに富んだ楽しいアプローチもされている。


 交響詩「ドン・ファン」、1983年2月録音

・・・カラヤンはこれまで1943年、1951年、1960年、1972年と「ドン・ファン」を録音してきた。今回の演奏は5回目にあたる1983年録音である。まさにリヒャルト・シュトラウス作品の中でも顔と言ってもいいくらいの存在感を見せつける素晴らしい曲である。冒頭からオーケストラ全体が一丸となって勢い良く全身全霊を持って演奏している姿は聴いているだけで鳥肌が立つし、晩年の録音とはいえ衰えを一切感じさせない。テンポの緩急もわかりやすくアプローチされている上に弦楽器のハイレベルさが目立つ。個々のソロも素晴らしく美しい音色で奏でられ、弦楽器全体としては壮大で聴くもの全てを圧倒するようなスケールで演奏されている。これもSACDハイブリッド仕様になるにあたってDSDマスタリングの効果が絶大に大きい。


 カラヤンによるリヒャルト・シュトラウス作品はいつ聴いても白熱する面白さを兼ね備えた素晴らしい名盤ばかりだ。エソテリックSACDシリーズではベルリン・フィル、ウィーン・フィルそれぞれのリヒャルト・シュトラウス作品をすでに聴くことができるようになっている。ほとんど廃盤となって中には市場で発売時の倍の値段で取引されているものもあったりするわけだが、手に入れて聴いた際の達成感や感動は非常に大きいと言えるだろう。今後もカラヤンによるリヒャルト・シュトラウス作品の復刻が続くかはわからないが、ここ最近聴いていなかった他の録音も改めて聴き直したいと思える名盤だった。


https://www.esoteric.jp/jp/product/essg-90261/feature