第1100回「三島由紀夫原作《金閣寺》を黛敏郎作曲のオペラで聴く」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃第1000回に佐村河内守及新垣隆さんによる交響曲第1番「HIROSHIMA」を取り上げてから早いもので第1100回を迎えました。ありがとうございます。そろそろ現代音楽CDの手持ちが段々少なくなってきたので、近いうちに探し回ろうとも考えていますが、まずは第1100回に取り上げる曲をみていきたいと思います。本日は三島由紀夫原作、黛敏郎作曲のオペラ「金閣寺」をみていきます。ベルリン・ドイツ・オペラへの委嘱として作曲されたこの曲の日本初演を今回はみていきます。世界初演は1976年ですが日本初演は1991年で、岩城宏之と東京フィルハーモニー交響楽団による演奏でオーチャードホールにて行われました。1994年に「fontec」からタワーレコード限定で発売されましたが、現在では廃盤となっており少々手に入れづらい名盤となっています。


「岩城宏之指揮/東京フィルハーモニー交響楽団」

黛敏郎作曲:
オペラ「金閣寺」



 黛敏郎のオペラ「金閣寺」は非常に貴重なCDで、1994年に発売されてから再プレスされた2015年以降発売されていない。同時に全曲盤も当盤だけである。YouTubeでは「金閣寺」の全三幕が投稿されているので、聴こうと思えば聴くこともできるようにはなっている。「金閣寺」の内容は実際に1950年に起きた「金閣寺放火事件」を基に書かれている。


 配役は以下の通り

溝口:勝部太

父:松本進

母:亀田眞由子

若い男:上原正敏

道栓和尚:山口俊彦

鶴川:佐野正一

女:大沼美恵子

柏木:蔵田雅之

娼婦:桑田葉子

有為子:加納里美

東京混声合唱団


 1991年3月8日ライヴ録音。この貴重なライヴ録音が唯一の「金閣寺」全曲盤の記録であり、現在では廃盤となっており手に入れづらいことは言うまでもない。たまにディスクユニオンでも見かけることとある。今回この曲を取り上げることにしたのはつい先日の4月10日が黛敏郎の命日で、今年で没後25年だったからということがある。本来ならば10日に取り上げてもよかったのだが、第1100回の投稿を控えていたためこれに合わせる形で今回取り上げることとなった。


 演奏としてドイツ語のオペラであり、ベルクの「ヴォツェック」や「ルル」と同じような現代音楽としてのオペラ作品と言えるだろう。ただ、リゲティの「ル・グラン・マカーブル」ほど聴きづらいというわけではない。しかし、終始暗く不気味で不協和音など複雑なものとなっているため積極的に聴けるかと問われれば、そこまで積極的にはならないかもしれない。しかし、ライヴの臨場感や音質の良さなども考慮した上で聴いてみると日本人作曲家による貴重なオペラ作品の一つとしてみてみると非常に希少価値の高いものであるということはお分かりいただけると思う。普段我々が聴き慣れたオペラとは違う姿をしていることは言うまでもない。また、第三幕終盤に同じく黛敏郎の作品である「涅槃交響曲」でも使われている「楞厳咒」が用いられている。


 今回は黛敏郎のオペラ「金閣寺」をみてきた。現代音楽の聴き方は人それぞれだが、私個人としては聴いているだけでストレスが発散されるような心地良さを毎回感じている。この曲自体聴くのは大学4年以来のこと。当時当盤を大学の図書館で借りて聴いたのを今でも覚えている。今では黛敏郎作品は「涅槃交響曲」を定期的に聴くくらいなのだが、改めて「金閣寺」を聴いてみると複雑ながら面白い曲となっていることを再認識することができた。最近いろいろあってストレスが溜まりやすくなってきたので再び現代音楽によって癒しの力を借りることとなるかもしれない。


https://tower.jp/item/513975/黛敏郎:オペラ「金閣寺」全曲<タワーレコード限定>