第956回「マゼール&ウィーンフィルによるシベリウス交響曲第1番と《カレリア》のエソテリック盤」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのはウィーン・フィルが残した唯一のシベリウス交響曲全集となったマゼールとの共演から、今回は全集の中からエソテリックSACDで発売された交響曲第1番と「カレリア」組曲をみていきます。1963〜1968年にかけて録音されたマゼールによるシベリウスの世界、それを良質なエソテリック盤で聴くことができるのは非常に満足できる代物と言えるでしょう。2009年に発売され、現在では廃盤となっているため市場の値段は大分上がっていますが、演奏を聴いてみるとぐうの音までないくらい素晴らしい演奏でした。


「ロリン・マゼール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

シベリウス作曲:
交響曲第1番

「カレリア」組曲



 マゼールとウィーン・フィルのシベリウスは2015年にBlu-ray Audio付きの全集が発売されるなど比較的手に入れやすいのだが、今日においてはあまり表向きに大きく取り上げられていないような気もする。私はあいにくこの交響曲全集を持っていないため今回は第1番のみ取り上げる形となったが、第1番を聴いただけでも交響曲全集をぜひ聴いてみたいと思える素晴らしい演奏だったと聴き終えた今は感じている。

 シベリウス:交響曲第1番、1960年代といえばマゼールが多くの名演、名盤を残した時期だが今回のシベリウスも同様のことが言えると思う。エソテリック盤になったこともあるのだろうが、常にオーケストラのスイッチがオンになっているかのようなダイナミック・レンジの幅広さには第1楽章冒頭から驚かされた。これまで数多くのエソテリック盤を聴いてきたが、一番マスタリングが優れているのではないだろうかと感じてしまうくらいにその世界観に取り込まれたようにも思える。というのもこれまでシベリウスの交響曲とは全く真逆のアプローチがされているかのような演奏だったからである。これまで第2番、第4番や第6番などの有名どころの幻想的な演奏を聴いていることが多く、今回マゼールがウィーン・フィルを指揮した演奏も同様のイメージをしながら聴き始めた。しかし、その考えはすぐに崩れ去ることとなる。打楽器の強烈な一撃、咆哮する金管楽器、強靭かつまとまりのある弦楽器、軽快で重さを感じることのない木管楽器、各楽章におけるテンポの「緩→急」、「急→緩」や細かい溜めなどをしっかりと取っている。それでいてウィーン・フィル全体の音の鳴りは非常に輝かしいサウンドでいて豪快だ。聴いていた時には「これがあのウィーン・フィルの演奏なのか?」ととても信じがたかったくらいで、この曲の演奏が終わってからももう何度か聴き直し次の「カレリア」組曲を聴いたくらい衝撃は非常に大きかった。

 「カレリア」組曲、元々劇音楽として作曲された後に作品10である序曲と今日知られている作品11の「間奏曲」、「バラード」、「行進曲風に」からなる3曲の組曲が作られた。先ほど何回か繰り返して聴いた交響曲第1番を聴いた流れでこの「カレリア」組曲を聴いたが、この演奏も中々に素晴らしい演奏だった。各曲の演奏時間は短い中でも親しみやすいメロディを思いっきり歌い上げているのに加え、ダイナミック・レンジの幅が広くなったことによってオーケストラの個々の楽器の鳴りが非常に良くなっている。それを各曲で見つけるのが今回の演奏で非常に楽しかったことだろう。「間奏曲」での重さもなく良く響くタンバリンや「バラード」での弦楽器と木管楽器のはかなくも美しい対話や「行進曲風」での気品溢れるとでも言おうか、華麗で高貴な全体のサウンドは聴いていて非常に清々しい気分になった。

 以前当ブログでも取り上げた藤岡さんと関西フィルによるシベリウス交響曲全集を聴いてから何とかして近いうちにシベリウスのCDを聴きたいと思っていて今回ようやく聴くことができたが、この流れでおそらくまた近いうちに交響曲全集を聴くことができればと考えている。その時おそらく当ブログでも取り上げると思う。この頃聴きたいCDがたくさんありすぎて時間の配分がうまくできていないが、出勤中や休日に良いペース配分でCDを聴ければいいなと思っているが中々難しいところだ。