第807回「中々手に入らないアーノンクール&ウィーンフィルのブルックナー交響曲第5番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃「TELDEC」から発売されたアーノンクールのブルックナー交響曲選集は現在比較的手に入れやすく、多くの人々を魅力していることと思う。また、ウィーン・フィルと録音した交響曲第9番と補筆版の一部も比較的有名な演奏の一つだ。今回ご紹介していくのは、ウィーン・フィルと録音したもう一つのブルックナーの交響曲についてで、その曲とは交響曲第5番である。交響曲第9番と同じ「RCA」から発売されたSACDハイブリッド盤なのだが、あまり市場に出回っていない。今回私は偶然手に入れることができたので、そちらを取り上げたいと思う。


「ニコラウス・アーノンクール指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」

ブルックナー作曲:
交響曲第5番



 「TELDEC」の交響曲選集、「RCA」の交響曲第9番を聴いた上で今回の交響曲第5番を試聴する形となっているが、アーノンクールのブルックナーは他のブルックナー指揮者による演奏とは全く違うものとなっている。アーノンクールといえばピリオド楽器や室内楽編成での演奏が多く取り上げられている傾向にあるが、ベルリン・フィルとはブラームス交響曲全集を完成させていたりする。なのでおそらくだが、ブラームスの交響曲全集も合わせて聴くとより面白い解釈を得ることができるのかもしれない。

 ブルックナー交響曲第5番第1楽章、多くの指揮者たちはこの楽章、もしくはこの曲自体のテンポを重くしたりして悠然と、壮大な対位法を駆使した交響曲と想像している印象を受けるが、アーノンクールの演奏は真逆で細かいテンポチェンジと引き締められたオーケストラのサウンドや奥深い響きなどがある。そして聴いていて複雑さよりも明確なわかりやすさが伝わってくる。これは録音状態の良さもあるのかもしれないが、分析時にはこの演奏を聴くといいかもしれない。

 第2楽章、わりかし速いテンポで演奏される優雅な緩徐楽章。歯切れの良さはここでも変わることなく演奏されており、全体の構成はシンプルかつ繊細になった印象。金管楽器の音色が非常に心地良く、疲れた身体にじんわりと流れてくる聴きやすい第2楽章となっている。

 第3楽章、激しさもあれば優雅な一面もある。そんなブルックナーのスケルツォ楽章を存分に味わうことができるまさに理想的な演奏。ダイナミクスのバランスも絶妙なもので、テンポも割りかし速く、推進力に満ち溢れている。

 第4楽章、ここまで演奏してきた各楽章の持ち味をこのフィナーレで発揮している。それによって壮大かつ圧巻の最後を迎える。「これぞ交響曲」、「これぞブルックナー」と聴き終えた後に思わず頷いたり、ガッツポーズしてしまうこと間違いなしの素晴らしい仕上がりをみせている。

 今回のCDは2枚組となっており、1枚目は交響曲第5番を、2枚目は交響曲第5番のリハーサルを記録している。ウィーン・フィルはこれまで数多くの指揮者とこの曲を演奏してきたが、どの演奏とも重なることがないアーノンクールによる独自の視点が楽しめる。リハーサルもセットで聴くことによってこの曲の理解、アーノンクールが表現したことの理解に繋がることだろう。現時点で当盤は中々手に入らないが、手に入れ演奏を聴いた時の喜びは言葉にできないものとなることは断言しておきたい。