第697回「往年の名盤、オーマンディ&フィラデルフィア管によるレスピーギ《ローマ三部作》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日3月12日はユージン・オーマンディの命日です。今年で没後36年となります。そんな本日はオーマンディの名盤を取り上げていきます。20世紀後半に多くの名盤を残したオーマンディとフィラデルフィア管のコンビ、本日は数ある名盤の中からレスピーギの「ローマ三部作」を取り上げます。複数回録音したオーマンディにとって「ローマ三部作」は重要な作品といえるでしょう。今回は2018年3月にSACDハイブリッド仕様でリイシューされた1957/1961年録音のものをみていきたいと思います。


「ユージン・オーマンディ指揮/フィラデルフィア管弦楽団」


レスピーギ作曲:
交響詩「ローマの松」

交響詩「ローマの噴水」

交響詩「ローマの祭り」



 オーマンディといえば、ラフマニノフやシベリウス、ショスタコーヴィチ、スクリャービンなど近現代の作曲家の録音はもちろんなこと、ベートーヴェンやブラームス、チャイコフスキーなど幅広いレパートリーを録音している。フィラデルフィア管とのラフマニノフ交響曲全集は特に有名だが、その次に名前が上がるのが今回の「ローマ三部作」である。「ローマの松」は4種類、「ローマの噴水」と「ローマの祭り」は3種類それぞれ録音している。今回はその中でもステレオ録音初期を代表すると録音である。

 「ローマの松」、いつもならば「ローマ三部作」のアルバムが作られる際には三曲目に配置される数が多いが、今回は最初に収録されている。1958年に録音されたがこんなにも色彩豊かで、なおかつ煌びやかな「ローマの松」が聴けるなんて非常に貴重だと私は考える。鳥の囀りも情景を上手く再現できているため、その後に始まる混沌とした「アッピア街道の松」の始まりがこの上なくカッコいい。また、徐々にオーケストラが増えていき、バンダが加わり最終的にオーケストラ全体が演奏する状態はまさに最高の状態である。最終的に金管楽器が全てを飲み込んでしまうが、圧巻のフィナーレであることは間違いない。ただ残念なところとすれば音割れと揺らぎが最後に酷くなってしまうところがもったいないと感じている。

 「ローマの噴水」、「ローマ三部作」の記念すべき一作目となったのがこの「ローマの噴水」である。金管楽器が目立った「ローマの祭り」や「ローマの松」とは違い、木管楽器や弦楽器がメインとなり、美しい情景を再現する。今まで何度も聴いてきたこの曲だが、煌びやかなフィラデルフィア管のサウンドが合わさることにより、他に負けない名演がここに誕生する。もちろん他の2曲同様に金管楽器が目立つシーンはあり、その際のエネルギーはステレオ初期の録音だからこそ感じられるパワーがある。

 「ローマの祭り」、「ローマ三部作」最後にして最高の難易度を誇る「ローマの祭り」。吹奏楽編曲版はもちろんのこと、オーケストラでも頻繁に演奏される名曲中の名曲であることに間違いない。不協和音、変拍子など現代的な要素が多い中でも冒頭のバンダトランペットにはいつも爽快感を覚える。複数回録音したオーマンディによる他の演奏も気になるところではあるが、今回SACDハイブリッド仕様で復刻されたリマスターは良質なフィラデルフィアサウンドをより良いものへと進化させた。フィラデルフィア管の全ての楽器が良い音を奏で、オーマンディの表現に対して応えている。

 当盤に関しては以前より存在を知っていたものの、中々購入する踏ん切りがつかず今日に至る。結果これまで聴いてきた「ローマ三部作」の中でもトップクラスの演奏だったことは間違いない。今後はオーマンディの他の「ローマ三部作」も聴いてみたいと思っている。それで少しでもオーマンディの演奏を理解できたらさらに彼の音楽を楽しむことができるに違いない。