第643回「フルトヴェングラー1953年のルツェルン音楽祭、ベートーヴェン《英雄》とシューマン」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃極限状態にまで寒かった日々から急に暖かくなってきました。春は向かっているのでしょうか?何にせよ寒いのよりも暑い方が個人的には好きなので、嬉しいと言えば嬉しいと考えたらします。

 さて、本日ご紹介していくのは以前よりずっと気になっていた「1953年ルツェルンのフルトヴェングラー」です。曲目としてはシューマンの「マンフレッド」序曲、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」、シューマンの交響曲第4番。2017年に発売された当盤は、「マンフレッド」序曲が初出音源という貴重な存在であることを売りにしつつ、1953年当時の全曲が復刻されたということで多くのファンから注目されました。今回はこちらをみていきます。


「ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮/ルツェルン祝祭管弦楽団」


シューマン作曲:
「マンフレッド」序曲

交響曲第4番


ベートーヴェン作曲:
交響曲第3番「英雄」



 「audite」といえば「ルツェルンの第九」のリマスターを発売し、話題になったレーベルだ。「ルツェルンの第九」に関しては私も購入し、聴いている。確かに他の「第九」の録音と比べても非常に優れたディスクだということは間違いないと言えるだろう。1953年8月26日にルツェルン音楽祭にて行われた全曲が今回こうした形で復刻されたのは非常に嬉しいことだと思う。

 シューマンの「マンフレッド」序曲、今回初出音源として収録された歴史的な録音。編成としては金管楽器が3管編成で、木管楽器は2管編成という偏った形にはなっているものの、曲の構成は抜群に良いもので、トランペットが活躍を見せる。まさにルツェルン音楽祭の序曲に相応しいようか選曲で、活気がある。

 交響曲第3番「英雄」、1年前の1952年にはウィーン・フィルとの旧EMI録音が存在しており、今日においてはそちらが有名かつ代表的な名盤とされている。宇野功芳は今回の「英雄」を「1952年のスタジオ録音の次に選ぶべき」と残しているようだ。(タワーレコードCD紹介文参照)近年の室内楽編成やピリオド楽器(古楽器)での演奏と比べると悠然としたテンポで進んでもいく当盤は全く別物の雰囲気が感じられると思う。これは1952年の旧EMI録音も同様である。演奏が若干遠い気がするが、録音の鮮明さはこれまでのライヴ録音と比べものにならないくらいに美しく、迫力がある。第2楽章を聴き、これまでこれほど悲愴感が感じられる演奏に出会ったことがなかったのだが、1953年のルツェルン音楽祭の「英雄」は素晴らしい、毎回聴くたびに新しい発見が得られる素晴らしい録音だ。

 シューマン交響曲第4番、再びシューマンの作品に戻る。先ほどの「英雄」よりも重心が深くなり、一音一音の重みがより出てきた演奏と言える。ライヴ録音ならではの迫力があり、わりかしこの演奏は好みな気がしている。弦楽器と木管楽器の相性抜群の音色や低音の重厚的な響きには思わず痺れること間違いなしだ。特に第3楽章はやや重めのテンポながらカッコいい仕上がりとなっている。

 「ルツェルンの第九」に引き続きこの演奏がマスタリングされてリイシューされたのはまさに成功だ。曲が始まる前や終わった後の拍手もより演奏を楽しむことができる味付けのような役割があり、非常に満足している。フルトヴェングラーの演奏は放送用録音が多く、ものによっては聴きづらい点がなかったりするのだが、今回の演奏含めこれは素晴らしい。「ドイツ帝国放送局アーカイヴ」も素晴らしい味わいだったが、「audite」のSACDも素晴らしかった。目をつけておいて正解だったと聴き終えて感じている。