みなさんこんにちは😃コンヴィチュニー時代の名演が続々とタワレコ限定のSACDとなってリイシューされている今、現代のゲヴァントハウス管の演奏を聴いていくもの一つの楽しみといえるでしょう。今回ご紹介していくのは以前取り上げていたネルソンスとゲヴァントハウス管による「ブルックナー・チクルス」の続きにあたる交響曲第9番、6番です。カップリングにはワーグナーの「ジークフリート牧歌」、「パルジファル」より前奏曲と濃厚で美しい演奏となっています。その後ブルックナー・チクルスの続きは発売されていませんが、今後の活躍が気になるネルソンスとゲヴァントハウス管によるブルックナーとワーグナーは目が離せません。
「アンドリス・ネルソンス指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団」
ブルックナー作曲:
交響曲第9番、6番
ワーグナー作曲:
ジークフリート牧歌、「パルジファル」より前奏曲
まず交響曲第9番をみていこう。インバルやラトルが補筆版を演奏し、徐々にその存在が変化しつつある9番、しかし未完成で演奏される形がしっくりくるのはまだ補筆版が耳馴染みないということだろう。今回は未完成の3楽章での演奏となっている。冒頭の響きからして音質が良いこともあり美しい美音が奏でられている。自粛期間中から来ているブルックナー・ブーム(私個人のみ)は少々去りつつあるのだが、今回の演奏を聴き再び息を吹き返したと言っても良い。今回演奏を聴く際AirPods Proで聴いているが、ノイズキャンセリング機能がマッチしたのか音の広がりにおいてはこれまで聴いた9番の中でもトップクラスのものだった。
続く交響曲第6番、人気曲である交響曲第5番と7番の間に挟まれた曲で今日において演奏回数はそこまで多いものではない。しかし7〜9番よりも前の交響曲の中でも屈指といえるくらいの美しさを秘めた交響曲でもある。ネルソンスとゲヴァントハウス管との相性が非常に良かったようで全体的にバランスも良い。しかし曲として頂点に来る場面が少ないということもあってかしつこすぎるというのがこの曲での欠点。今回の演奏では9番に引き続き響きを味方につけ美音となっているがしつこさと帳消しになっている気もしなくはない。しかし、数少ない交響曲第6番の名盤として名を残してもおかしくはない演奏だと私は思う。
カップリングとなった「ジークフリート牧歌」と「パルジファル」より前奏曲、両曲共に比較的9番と6番に近い形の作品である。ゲヴァントハウス管のまろやかで奥行きのある響きがより曲の特徴を大きく押し出していると言ってもいいだろう。個人的にワーグナーの管弦楽曲は活気のある「ニュルンベルクのマイスタージンガー」の第一幕への前奏曲や「ワルキューレ」、「ジークフリートの葬送行進曲」などを良く聴く。しかし今回の2曲を改めて聴いてみた結果、新しい姿を見ることができ満足している。
1年前に発売したウィーンフィルとのベートーヴェン交響曲全集以降目立った動きはネルソンスにないものの、21世紀を代表する重要な人物になっていることは言うまでもない。今後ゲヴァントハウス管とのブルックナー・チクルスは続きが出るのか非常に気になるところだが、コンヴィチュニー時代のゲヴァントハウス管を聴いてから現在のゲヴァントハウス管の演奏を聴くのは中々面白かった。コンヴィチュニーの名演では残すところベートーヴェン交響曲全集をまだ聴けていない。こちらも早い段階で聴いておきたい。