第375回「アバドとウィーンフィルが奏でる今だからこそ聴きたいマーラー交響曲第2番《復活》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



みなさんこんにちは😃
先日アバドがウィーンフィル、ベルリンフィルそれぞれと録音をした名演集を集めたドイツ・グラモフォン録音集を購入しました。
それぞれCD枚数が60枚と58枚でそれなりの量でしたが気になったものから順に聴いているところです。
この全集にはすでに廃盤となっている名盤から、マニアしか知らないものもあるので期待しています。
そんな本日ご紹介していくのはアバドとウィーンフィルによるマーラーの交響曲第2番「復活」。
先日クラシック音楽館でエッシェンバッハとN響による「復活」を聴いた。
この曲をこの時期に聴くのは何か意味があるはず。
コロナとの関連性などないのだが、活量になることは間違いない。


「クラウディオ・アバド指揮/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団」


マーラー作曲:
交響曲第2番「復活」



アバドが「復活」を初めて指揮したのはウィーンフィルが最初で、1965年のザルツブルク音楽祭での演奏にあたる。
この時の演奏は「MEMORIES」からCDが発売されているのだが、音質はそこまで良くないのが残念なところ。
その後1976年にシカゴ響、今回のウィーンフィル(1992年)、2003年にルツェルン祝祭管といった形で今日までにCD化されているのは計4種類存在している。
今回の1992年に録音されたアバド2度目のウィーンフィルとの「復活」はマーラー指揮者としてその名を知らしめるに値する結果となったものと言っても過言ではない。
もちろんシカゴ響とのものはウィーンフィルとの交響曲第4番と一緒にエソテリックSACDとなった人気の演奏。そして晩年に近い時期に録音されたルツェルン祝祭管とのものは同時期に録音されたベルリンフィルとの演奏も含めて交響曲全集の中にその存在を知らしめているので、4回中3回の演奏は少なくとも名盤である。

今回の演奏はある意味アバドにおけるマーラーの「復活」の基盤と言って良いだろう。
シカゴ響の時はパワー型だったが、今回のウィーンフィルは全体的なバランスもよくとれていて非常に聴きやすい演奏になっている。
よく「復活」の名盤は熱演の部類に扱われるものが多いわけだが、この演奏はある意味冷静さを失っていない。「復活」はこれまで50種類以上聴いてきたが、今でも印象に残っているのはワルターとニューヨーク・フィルハーモニック、クレンペラーとフィルハーモニア管、小澤征爾とボストン響、メータとウィーンフィル、マゼールと読響などの演奏。
どちらかといえば熱演が多いのだが、こうして冷静さを保たれた状態での演奏は珍しい。
今回のアバドの演奏は2度目ということもあり、どこか「リベンジ」という考えも捉えられなくはない。
前回もライヴで、今回もライヴなのだが、空間的な作り、ダイナミクスも幅広くとられていてバンダもより遠くから鳴らされている。そして何よりマーラーの交響曲を演奏し慣れたのがよくわかる。(録音状態に関しては圧倒的差があるので触れない。)
より美しさを兼ね備えたアバドによる理想的な「復活」がこの時に誕生したと言って良いだろう。
そして最後のメインである合唱が加わった瞬間により一層空間芸術が完成される。オーケストラの演奏はまるで雲のように感じられ、合唱の歌声はまさに天から聞こえてくるかのような美しい歌声だ。歌詞がよりはっきりと聴きやすいというのもプラスなところ。
個人的にはこの演奏をぜひSACDで聴いてみたいと思った。

「復活」は多くの名盤が存在する。それと同時に吟味するのも難しい作品なのだが、この時期に改めて聴き直してみるというのもまた一つ新しい感性を得られるきっかけになることだろう。
そしてコロナが終息した時には「勝利」という意味を込めてもう一度この曲を聴こうと思う。
まずはその時を迎えられるように今を耐え、また楽器を演奏できる世の中が戻ってくることを願って待つのみだ。