第367回「再投稿!巨匠リヒテルが奏でるピアノ、ドイツグラモフォンから蘇る名演の数々」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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好きな作曲家はマーラー、ストラヴィンスキー、ブルックナー、三善晃、ショスタコーヴィチなど
吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



みなさんこんにちは😃
今回ご紹介していく名盤としましては当ブログの初期にご紹介した、20世紀を代表するピアノ界の巨匠であるスヴャトスラフ・リヒテルによってドイツ・グラモフォンから発売されたピアノ協奏曲の名盤を集めた「ドイツ・グラモフォン協奏曲録音集」の再投稿となります。
改めて聴き直してみると名演の数々に思わず言葉を失うものばかり。
あのカラヤンやクルト・ザンデルリングとの共演による演奏も収録されている至高の名盤を改めてご紹介していきます。


「スヴャトスラフ・リヒテル他」


ドイツ・グラモフォン協奏曲録音集



1年前のこの時期に発売され2019年度のタワーレコード内で人気を誇ったCDとしてランキングの中でも上位に組み込まれていた今回の曲集。
注目すべきはその曲目と演奏者である。
まず収録されている曲と指揮者、及びオーケストラをご紹介したい。

[ディスク1]
1. ロベルト・シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調 作品54
2. 同:序奏とアレグロ・アパッショナート ト長調 作品92
3. ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト:ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K.466

[ディスク2]
4. セルゲイ・プロコフィエフ:ピアノ協奏曲 第5番 ト長調 作品55
5. ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 作品37
6. 同:ピアノと管弦楽のためのロンド 変ロ長調 WoO.6

[ディスク3]
7. セルゲイ・ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18
8. ピョートル・チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 作品23

【演奏】
スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)
ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団 (1-4,7)、
ウィーン交響楽団 (5,6,8)
ヴィトルド・ロヴィツキ(指揮) (1,4)、
スタニスラフ・ヴィスロツキ(指揮) (2,3,7)、
クルト・ザンデルリンク(指揮) (5,6)、
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮) (8)


ディスク3以外のディスク1,2は今回世界初SACD化。
ディスク3の2曲に関してはエソテリックSACDで初期に発売され今日において話題を呼んだ人気作。
すでに廃盤でなおかつチャイコフスキーのピアコン1番、ラフマニノフのピアコン2番の2曲のみ収録で10000円前後というプレミア価格となっている。私はすでにエソテリック盤も所有しているのだが、マスタリングが今回のタワーレコード限定によるSACDが違うためよく交互に聴くようにしている。ただ金額面で言えばこちらのSACDは約7000円で他の曲も多数収録されている点を考慮すると価値は高いのではないだろうか?
ただリヒテルが演奏するラフマニノフのピアコン2番、チャイコフスキーのピアコン1番は今日において最も人気が高い地位に属する名盤であることは明白なのでエソテリック盤も手に入れておいて損はない。

今回の曲が録音されたのは1958〜62年。
多少のノイズは残るもののこの時代の録音としては音質はトップクラスの仕上がりには感無量である。
曲ごとに表情も音も全く違うリヒテルが奏でるピアノの音色には魅了されっぱなしなのだが、ピアノがメインの協奏曲に対してオーケストラの生き生きとして力強い演奏に関してもさすがとしか言いようがない。
それに加えてなんといってもダイナミクスが広くとられているところを今回のSACD化はまさに成功の形へ導いていてより臨場感を楽しめる仕上がりには満足しかない。
またディスク3だけでなくディスク1やディスク2に関しても注目すべき点があり、特にプロコフィエフのピアノ協奏曲第5番。
プロコフィエフとは親交が深くピアノ・ソナタ第7番を初演したのはリヒテルであるし、リヒテルにとってもこの曲に関しては愛着があったものと考えられる。
ただ、リヒテルといえばやはりラフマニノフのピアノ協奏曲第2番、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番が最も人気の高い演奏となってしまっているのは事実なのだが、今回収録されているシューマンのピアノ協奏曲やベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番なども聴くことにより最後のディスク3の2曲をよりよく理解できるようになる結果へ繋げられる。
つまり今回の曲集は最初から聴かねば意味がないと私は感じた。

あとはラフマニノフのピアコン2番、チャイコフスキーのピアコン1番のタワーレコード盤とエソテリック盤。どちらが良いのかという点であるが、正直どちらも優れたクオリティ。
ただ言うなればエソテリック盤に関しては音に対してより広がりがあるイメージを受ける。今回のタワーレコード盤に関してはよりダイナミックで迫力ある印象を受けた。
結論として同じ演奏なのだがレーベルによって音質がここまで違うのには驚きだ。
個人的によく聴くのはタワーレコード盤の方で、購入した順番もタワーレコード盤を購入してからエソテリック盤を購入している。おそらくタワーレコード盤を先に購入したことによる印象が頭の中に残っている結果なのだろう。

録音状態の良さに関しては今日の録音に劣ってしまうかもしれないが、リヒテルのピアノは一度聴いてしまうと耳に残り忘れられなくなってしまう。
20世紀の巨匠たちの演奏はそういうものが多かった。
今ももちろんそういう演奏は多いのだが、私は平成生まれでなおかつ21世紀を生きる人間なので当時の様子を詳しくは知らない。
個人的には昭和時代が好きなので生まれた時代が昭和だったら良かったのにと考えることは多々あったけれど、こうして新規マスタリングによって元から評価されていた演奏が更に良くなって蘇る。
これ以上に嬉しいことはないだろう。
今回の演奏はぜひ私と同じ20代に聴いていただきたい。
聴いていただければきっとリヒテルだけではなくクラシック音楽の虜になることは間違いない。そんなCDである。