第218回「アバドとロンドン響によるアンサンブルの美ペトルーシュカとプルチネルラエソテリック盤」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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みなさんこんばんは🌇
本日はストラヴィンキーの作品から特に名曲として名高い2曲をご紹介していきます。
バレエ音楽「ペトルーシュカ」とバレエ音楽「プルチネルラ」です。
「ペトルーシュカ」は言わずと知れた有名作品で、ストラヴィンキーの原子主義時代に書かれた初期の三大バレエ作品の中の一つ。
「プルチネルラ」は位置的には新古典主義時代の作品として扱われることが多い作品で、ペルゴレージの曲を編曲してストラヴィンキーが完成させたものが今日に演奏されている1947年版となっています。
ストラヴィンキー変わるごとに作風を変えておりその点から「カメレオン」と呼ばれるほどに作品が多種多様です。
今回は高いアンサンブル力を発揮しているアバドとロンドン交響楽団の演奏で両曲をお届けします。


「クラウディオ・アバド指揮/ロンドン交響楽団」


ストラヴィンキー作曲:バレエ音楽「ペトルーシュカ」1911年版、バレエ音楽「プルチネルラ」1947年版



プレヴィンの後任として1979〜1988年までの間ロンドン交響楽団の首席指揮者、音楽監督を務めたアバド。
ロンドン響とは「かるた遊び」、「春の祭典」、「火の鳥」組曲と「ペトルーシュカ」、「プルチネルラ」の録音を70年代に入ってから行っています。
同時期では他の指揮者も多くストラヴィンキーの作品を指揮したりとおそらく年代的にストラヴィンキーの作品を録音しています。

この二曲「ペトルーシュカ」は終わり方が大分暗いですが作品のほとんどが明るいためこの二曲的には共通点は多くあるかと思われます。
複雑なリズム、拍子が絡み合った作品である原子主義時代に作られたバレエ音楽である「ペトルーシュカ」。ピアノ、木管楽器、弦楽器とソロも多く存在しており後の「春の祭典」とも共通点は多く存在していますが三大バレエの中でも特にわかりやすい作品ではないでしょうか?
今回演奏されているのは1911年版で1947年版の改訂と違う点も存在しますが卓越されたアンサンブルがこの曲を輝かしい作品にしておりスコアを見ずしても目を閉じただけで全てのパートが目に浮かんできます。
個人的に「ペトルーシュカ」の名盤を中々見つけられていないのですが正直このアバドとロンドン響の演奏が一番クリアで輝かしく一つ一つの楽器も生き生きしていて聴きやすい印象を強く受けます。

先ほどの大編成オーケストラから打って変わり小編成化された「プルチネルラ」。
初演の指揮はエルネスト・アンセルメが務め、衣装、舞台のセットはパブロ・ピカソが務めるという芸術面で巨匠が大きく関わっています。
また音楽においてはほとんど同じ旋律を使っているからとはいえ忘れてはならないのはストラヴィンキーの手が加えられていること。
今回の演奏としては「プルチネルラ」の方が「ペトルーシュカ」よりも生き生きと演奏されていること。
クリアや細部にまでこだわった作りが行われているのが「ペトルーシュカ」なら「プルチネルラ」はエネルギッシュに生き生きとした演奏が全面的に溢れている演奏と言えます。
同時に歌われる歌手達の歌声も小オーケストラとマッチしていて非常に聴きやすいです。

ストラヴィンキーの作品を早い段階でSACD化させたエソテリック。
すでに廃盤になってしまっているため手に入れるのは一苦労するものが多いですがその苦労すら快楽に変えてしまう演奏がこのアバドとロンドン響のストラヴィンキーだと私は思います。
個人的に「ペトルーシュカ」の名盤を未だに決めかねていますが今後目立ったものがなければ個人的に一番好きな演奏になることは間違いありません。
エソテリック盤で良くなるのは特に歌手の歌声や打楽器の音、弦楽器の音など全てが素晴らしく心に問いかけてくるのが私は好きですね。
早く次のエソテリックが発売するSACDの続報が気になるところになります。