第62回「サロネンによる人類にはまだはやすぎたオペラ《グラン・マカーブル》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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こちらはクラシック音楽のCDの名盤をレビューするブログです!
年間500枚以上クラシック音楽のCDを購入します。
好きな作曲家はマーラー、ストラヴィンスキー、ブルックナー、三善晃、ショスタコーヴィチなど
吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。


みなさんおはようございます☀
最近はあまり聞きませんが少し前「人類にははやすぎた〜」というシリーズがよくネットの中で見受けられました。
それが最もわかりやすいのは映画「パプリカ」夢の中の話ですが非常に狂っていて最初は理解しがたいイメージ。現に私も子供時代に家電量販店のテレビでパプリカが流されていた時理解に苦しみました。
それと同様にパプリカの音楽を担当した平沢進もそうでジャンルはテクノポップ。しかし歌詞が中々難解でありマーラーの交響曲はスコアで見ながら聴かないと理解できないように彼の曲も歌詞を見ながら聴いた方が理解しやすいかと。
また、人類に早かったかはわかりませんが一部の層にカルト的人気を誇った伝説的アニメ「チャージマン研!」今でも多くの謎が残されている名作で
はっきり言って頭がおかしいヒーローアニメ。近日舞台化されるらしいです。

前置きが大分長くなりましたが、今日ご紹介する名盤はそんな理解しがたい曲を名演に変えたこの曲唯一のCD。
リゲティが作曲したオペラ「グラン・マカーブル」です。20世紀における最も人気があり上演回数が多い現代音楽のオペラ作品です。

「エサ=ペッカ・サロネン指揮/フィルハーモニア管弦楽団」

リゲティ作曲:オペラ「グラン・マカーブル」


まずはじめにこのオペラは情報量がまず多いです。登場人物やストーリー内で出てくるのは死神、大酒呑み、同性愛主義、女装家、SM、男色家など正直言って「え、これオペラなの?」と考えてしまうような設定が盛りだくさんです。実際CDを聴いていて客の笑い声が聞こえてきますしもはやネタになりつつあります。
それを踏まえての前置きで大分長く語りました。

私自身初めて聴いた時は中々理解できなかったのでまずはスコアを大学の図書館で借りて聴きながら読みましたがまぁ変拍子なので分かりづらかったです。
あくまでオペラなのでスコアは分厚かったです。
ただやはり訳ありで見ながら聴くと下ネタも多くよくオペラにしたなと思ってしまいます。

しかしリゲティが作曲した曲の中でもとても有名な曲でありこの曲から派生した作品「マカーブルの秘密」はトランペットソロとオーケストラ、トランペットとピアノ、ソプラノとオーケストラなどとヴァリエーションを増やし人気を博しす曲となりつつ同時にソリストを苦しめる難曲ともいえます。そんな中私は大学時代に好奇心でマカーブルの秘密(トランペットとピアノ版)の楽譜を手に入れ密かに練習しましたが正直無理でした。(笑)トランペット専攻の友人にも驚かれましたし、日本では中々演奏機会が少ないのにも納得がいきます。

演奏ですが、レベルははっきり言って高いです。
さすがフィルハーモニア管とも思いますが、それ以上にライヴ録音でこのクオリティという印象でしょうか。
オーケストラ以外にもメトロノーム、クラクションなど特殊楽器が入っています。それも日常的?に使用されておりリゲティの作品全てを詰め込んだ作品という印象です。

全4幕の構成ですが2時間くらいで往年のオペラ作品と比べれば短く聴きやすい?はず。あとは聴いている側が耐えられるかどうかの根比べのような印象です。
ただそれでも前置きの言葉を借りるとしたなら「人類にははやすぎたオペラ」とでも言いましょうか。
しかしそれでも私はこの曲が現代音楽作品の中では一位二位争うくらい好きな作品です。
また、演奏記録も少なく貴重な録音としての価値もあるので店頭に置いているのを見かけたら一度手に取り視聴してみることをオススメします。
オペラにとってはありえない作品ですが、聴いた人のなにかを変える作品であると私は思います。