〈ドキュメンタリー〉
監督:ヤン・ヨンヒ
クスッと笑ったり泣いたり。ほっこりしたりイライラしたり悲しかったり。感情の起伏が激しかったけれど。
ドキュメンタリーというのは常に私の心を成長させてくれます。
なぜこの人はこんな考えをするんだろうか。
自分と異なった考え、自分が間違っていると思う考えを見聞きすると常に悩むよね。特に身近な存在だと自分に影響を与えるし、簡単に受け流せない。
けど。
人に歴史あり、なんですよ。
なぜその思考に至ったのか。その裏には、出生であったり環境であったり。個人の生き方が強く影響している。
学生時代の私はスポーツばかりしていて。驚くほど無知。色々と勉強するようになったのはアメリカに行ってから。
例えば、「アパルトヘイト」や「在日差別」。知っていたけれど、完全に別世界の出来事だったのよね。知らなくても困らないから深掘りもしない。という感じ。
そんな私だけど、友達と酒を飲んでいるうち、自然にいろんな世界に触れていったよ。
アフリカの友人からはアパルトヘイトについて学んだし。在日の同級生からはその現実を知らされた。
知ってしまったからには学ぶしかないでしょ。「興味の無い事」や「知らなくても困らない事」が一気に、「身近な人間に関する大切な事」に変わった訳だから。
今はあの頃のように自然に吸収していく日常はないので。こうしてドキュメンタリー作品を観るのはとても刺激的。こんな風に感情が激しく動く作品は特に。ありがたいね。
私の父親は一年のうち半分を韓国で過ごしていたので、酔っ払うと韓国語が混じり、ご機嫌で歌い出したり。監督の父上の姿が見事に私の記憶と重なって。とても懐かしかったわ。
母親が兄弟に対して・・・という部分も重ってしまい。そこは複雑だったけれど。
ドキュメンタリーを通して人間の行動や心を垣間見るというのは、好奇心を満たすだけでは片付けられない時間。苦い感情が残る事も多いので。
後半、母親の歴史に触れ、監督が泣いている場面は特に胸に響き辛かった。
それでも。
本当に観て良かったと思える作品でございました。誘ってくれたお姉さまに感謝。
そうだ。あと。旦那さん。
Tシャツで笑いとるのやめてください(笑。